表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
28/68

芦の祭 1

(改稿)ですが、万里花の名字がなかったので載せています


あの入学式の後、光希みつきと私は他の女生徒とも仲良くなったが、普段は二人(と、時々十哉とおや)で行動して仲を深めている。

そして、光希は私の友達である中学メンバーとも親しくなり、友好関係は順風満帆。

嫌なこともあったりするが、ゲームの世界と身構えていたのが嘘なくらい、穏やかに過ごしている。

・・・と思っていたのは、昨日までのお話です。



とある教室の中央で、その演説は繰り広げられていた。


紗良さらさん、いいですか。はじめ様は、入学されてから今まで、テストで全教科100点を更新されている秀才でいらっしゃいます。さらに、合気道で黒帯をお持ちで、スポーツもできて文武両道。また、生徒会長として、あの凛々しいお顔立ちでみなさんを指導され、まさに王子といっても過言ではないかたです。」


少しきつめな顔つきの、長い髪を綺麗に編み込んだ少女が、相手を睨みつつそう言い切った。

その言葉に対し、睨まれている少女は、長い髪を下ろして毛先をカールさせ、彼女とは対称的なやさしい顔立ちに微笑みを称えている。

その少女は、こう切り返した。


「まあ、りんお姉さまはお考えが古いのですね。はるか様は、太陽のような暖かな笑顔で別け隔てなくみなに接され、女性に優しく、男性からも親しまれて人望がおありです。そして、王子のように凛々しくもあります。先日も、私たちのために横暴な先生に果敢に立ち向かってくださいました。ああ、あのときのお姿を思い出すだけで、私、胸がいっぱいに・・」


考えてみてほしい。

私が悪役というのなら、私が光希をいじめる側であって(する気はないが)、いじめられる側ではないはずなのだ。

だというのに、この状況はどういうことだろう。


「ですから・・・」

「いいえ、それなら・・・」


延々と教室の一角で繰り広げられる一兄と私の賛美大会は、私への新手のいじめとしか思えない。

一兄は、王子かどうかはわからないが、言葉通りの素晴らしい自慢の兄である。

そんな一兄と比較される私って。

・・・聞いているだけで、逃げ出したくなるんですが。



水無月みなづき先輩、一先輩のファンクラブの会長だけあって貫禄があるね。」

私の右横で、万里花まりかが感心したように言った。

瀬戸(せと)万里花は、中学時代の友人で、背は170センチと女性としては高く、テクノカットをしている。

パッと見で男性と勘違いされたり、スポーツをしているんですかとよく訊かれているが、美術部でインドアだったりする。

放課後、私が呼び出された時にたまたま一緒にいて、着いてきたのだ。

「それに対抗する花園はなぞのさんも、水無月先輩の従妹って聞いたけど、遥のことなのに渡り合ってるわ。すごいわね。」

そして、私の左横で私を貶しつつしゃべるのは、今回も私を呼び出した張本人のあやである。

「あのー、絢さん。この状況で私を呼び出して、私にどうしろと。」


ちなみに、私が呼び出された場は何かと言うと、今度行われる文化祭であるよしさいの実行委員の集まりである。

入学して早々に文化祭というのは大変と思うが、なんでも、新しいクラスになった生徒たちの交流を深めさせ、かつ受験生に秋の行事での負担を軽減させるためだそうだ。

集まりでは、各クラスで決まった男女一名ずつの実行委員メンバーと、各部活の部長と副部長たちが集まり、生徒会が進行を行う。

ここの学校は、各クラスと各部活がそれぞれ必ず参加するのだそうだ。

絢は、ここで実行委員のメンバーとして出席していたので、私を呼び出した。

ここで、絢の性格を知る人なら、絢が実行委員!?と驚き、さらに自ら立候補したという事実にさらに驚くだろう。

どんな行事でも、面倒事としか思っていない絢である。

そんな絢が、何故わざわざ実行委員をしているかというと、自分がなった方が仕事が楽ということらしい。

・・・確かに、中学二年の時の文化祭を思い出せば、私には納得の理由である。


「そもそも、一兄がいてもこの調子なんでしょう?なら、私を呼んだってどうにも・・」

よく考えてみれば、生徒会が進行する集まりである。

二人に気をとられていたが、一兄がいるはずと辺りを見回すと、声をかけられた。

「遥、なんでここにいるんだ・・?」

「一兄!」

一兄が私たちに気が付いてくれたようで、驚いた様子でこちらにやって来た。

「一先輩、ご無沙汰してます。」

万里花が、丁寧に一兄に頭を下げた。

「ああ、久しぶりだな。確か、万里花も遥と同じで委員じゃなかったと思うが。」

「私は、遥が呼ばれたときに一緒にいたので、付いてきたんです。」

万里花がそう言うと、絢がすかさず手を上げた。

「一さん、私が呼びました。」

「・・やっぱり、呼んだのは絢か。」

一兄は、なんとなく予想がついていたようで、納得したように言った。

「俺でも、彼女がああなると手が出せない。遥を連れてきても、解決はできないと思うぞ。」

予想していた展開に、ほら!と私は絢の顔を見たが、絢はさらに言葉を重ねた。

「私は遥を呼びましたけど、そう指示を受けたので呼びました。」

その言葉に、一兄は怪訝な顔をする。

「指示を受けた?」



というわけで、とりあえず1話載せます。

今日中に修正して、もう1話載せる予定です。

よろしくお願いします。


投稿すぐに読んでいただいた方、申し訳ないです。

名前また似たようなの被ってるので、さすがにこれは変えます!

観月 凛花先輩から、水無月 凛先輩に。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ