一の過去編:プリン 8
遥は、あれからひとしきり泣いて落ち着いたのか、今は安らかな寝息をたてて眠っている。
「・・・」
俺は、遥がまた怖い夢を見ないように願いながら、遥の背中を擦り続けていた。
いやぁぁぁぁぁぁっ
あの遥の心からの悲鳴が、今も俺の頭の中で響いている。
今なら、父さんがこのことを心配していたのだとわかる。
最近は少なくなったが、遥は小さい頃はいつも父さんか母さんと一緒に眠っていた。
きっと、うなされる遥のため、安心させるために一緒に眠っていたのだろう。
そして、このうなされる夢の変わりに、遥は普通の小学生よりも頭がよくなったのではと、なんとなくだが俺は感じていた。
でも、遥からすれば、そんなのは嬉しくもなんともないはずだ。
このことを全て話さないといけないから、父さんや母さんは俺が大きくなったらと言っていたんだろう。
でも、俺からすれば、年齢なんて気にしないで教えてほしいと言いたい。
だって、たとえ俺が今より小さくて、教えてくれたことが少ししかわからなかったとしても、遥を守る気持ちはあっただろうから。
今みたいに抱き締めてあげることぐらいは、できただろうから。
もう一度、父さんと母さんに教えてほしいと言ってみよう。
そう、俺は決意を新たにした。




