表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
18/68

一の過去編:プリン 4


「じゃあ、兄さんはそこのボウルに卵を割って入れてかき混ぜて。」

はるかは俺にそう指示をだし、遥自身はすぐ側で計量カップや計量機を前に牛乳などを計りだした。

「・・遥、料理をしたことがあるのか?」

本を静かに読んでいるイメージしかなかった俺は、遥の手慣れた様子に驚いて訊ねた。

「うん。父さんの料理を手伝ってるから。」

「父さんの。」

「一年生になる少し前かな?父さんが料理しているのを見ていたら、父さんがやってみる?って声をかけてくれて、それからずっと。」

「そうなのか。」

俺は家にいても2階の自分の部屋にいることが多いので、そのことを全く知らなかった。

「ところで兄さん。」

「ああ。」

「卵の割り方は知ってる?」

「・・・」

学校で調理実習はまだしたことがないため、俺はもちろん卵を割ったことなどなかった。

「じゃあ、一緒に割ってみよう。」

俺の反応でわかったのか、遥はそう言ってにこりと笑い、手に卵を掴んだ。

「やり方は、卵を横に平行にして、机に当てるだけ。後はヒビが入った所に親指を当てて開ければいいから。」

話しながら、遥は実際に実演して卵を割ってみせた。

それを俺はじっと見つめ、割り方を覚える。

「兄さんもやってみて。」

その後、遥がこちらを見てそう言うので、俺は恐る恐る卵を手に取り同じようにやってみた。

すると、ぎこちないながらも、なんとか失敗はせずに卵をボウルのなかに割っていれた。

「上手いよ、兄さん。じゃあ、あとの2個もお願い。私はカラメルを作るから。」

「わかった。」

俺が頷くと、遥はその後コンロのそばに行き、身長が足りないため踏み台を置いた。

そして、鍋をコンロに置いて、どうやら火を使う作業のようだ。


それを何気なく見ていた俺は、遥が自分より下の妹だったことを思い出して、慌てて声をかけた。


「遥、一人でコンロは危ないだろう!!」

「!!」

俺は思わず声をあげ、遥はビクリと肩を震わせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ