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それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
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入学式 14


はやとは昔、生死を何度もさ迷うぐらい病弱で、病院での入退院を繰り返していた。

そのせいかはわからないが、人の様子にひどく敏感で、とりわけ家族のことは気にしやすい傾向がある。

思い出さないように、普段通りにしようとしていたのだが、バレていたようである。


「別に、大したことじゃないなら良いんだけどさ。はるか、一人で抱え込みやすいから。」

「う、うん。」

隼の言葉に、私は嘘だとバレないかビクビクしながらも頷いておく。

たぶん、私は人生で2度目の大事に直面しているのだろう。

だがしかし、今回は突飛な内容すぎて私自身が未だに受け入れきれていないし、戸惑いのほうが大きい。

だから、さっきも疲れているのもあるが、そんなすぐにどうこうしようという考えが出てこなかったのかもしれない。

でも、もう一度考えてみよう。

本当に私の前世の記憶が正しく、ゲームの中に私たちが存在していたとして、ゲーム通りに物事が進むのだとすれば。

それは・・・。


「ねえ、隼。」

二人して黙っていたので、もう寝たかなと思いつつ私は隼に声をかけると、すぐに返事が返ってきた。

「どうしたの?」

「・・・運命って、あると思う?」


それは、運命のように逃れられないものなのだろうか。


「・・・。あったとしても僕は信じないし、嫌いだね。」

私の突飛な質問に隼は理由は訊かず、本当に嫌そうな声音でそう返答した。

「隼がそこまで言うなんて、珍しいね。」

隼は優しくおおらかなので、そんなあからさまに嫌がって嫌いと言うことは基本しないので珍しい。

「だって、運命があったとしたら、遥と僕を姉弟きょうだいにしたんだよ?絶対、あったとしても録なものじゃないよ。遥が姉さんじゃないなら、絶対結婚して一生幸せにするのに。」

「・・・・・・・・・・。」

私は今、心底私と隼が姉弟で良かったと思ったが、確かに運命があるとすれば録でもないものだろう。

隼は、さらに話を続ける。

はじめ兄さんも、嫌いなんじゃないかな。というか、あったとしたら絶対に抗うタイプだね。」

「なんで?」

「だって、今日遥のことですごく頑張ってたでしょう?一兄さんに任せたら、絶対大丈夫だって確信があったもん。」

「だから、安心して任せてたんだ。」と言う隼に、確かに一兄は私のために色んなことをしてくれたと振り返る。

私が入学式にまた事故に巻き込まれるのかなんてわからなかったが、もし巻き込まれたらと一兄は心配して頑張ってくれた。

私も、そんな風に頑張れるだろうか。

・・・いや、運命と言おうが言われまいが、頑張るしかないのだ。


「・・隼、ありがとう。少し元気出た。」

私がそう隼に話しかけると、ぎゅっと強く抱き締められた。

「こんなことで元気が出るならいつでも言って!僕へのお礼は、遥が作ってくれるカレーで十分だから。」

その言葉に、私は恐れおののいた。

「えっ、あのカレー作るの?」

「うん、お礼はそれで十分だから。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

私は転生してから、父の影響で料理をするようになった。

そのなかで、一時期カレーは色んな調味料で味が変わるという奥深さを知った私は、色々試して作っていたのだ。

そんなとき、辛いもの好きの隼がリクエストして、その通りの辛いカレーを一度作ってみたことがあったのだ。

だが、それが食卓に並ぶと隼はとっても喜んで食べたが、正直家族で楽しく食べれられるような代物ではなかった。

特に一兄はショックが大きく、あれ以来カレーは好んで食べなくなり、現在も食べるとしたら甘口でしか食べられない。

そんなトラウマカレーを、また作る。

・・・・・・仕方ない!こうなれば、一兄用の甘口と私や両親用の中辛に、隼用の激辛を作ろう。

そんなことを思いながら、私は隼と共に眠りについたのだった。



なんとか入学式の日は終わってくれました!

次は、すぐ次にいかずに小話をはさむ予定です。

前に言っていた十哉と絢ちゃんの話ではないです。

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