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ドアと私

結局、私はモステトリス君にノヴァイハの執務室の少し前まで案内された。


遠かった。

図面上でみるだけじゃわからない広さだった。

絶っ対に一人だと迷うねこれ。

今度はお一人でどうぞって言われたら無理ですって答えます。うん。


はじめてのおつかいにしてはハードル高すぎですよメロデイアさん…。


そしてモステトリス君はあと扉をひとつ開けた先が執務室ですよ。と告げてにこやかに去っていった。

メロデイアさんには会わないの?って聞いたら「これ以上俺がいたらご機嫌損ねられちゃうからいいんです」って意外に大人な返事をされてしまった。


二人の関係はそういうものなのかな…?


モステトリス君が去るのを見送ってからノックをしようと手を上げたら…

に叩く前に扉は開いた。


あれ?


「扉はツムギが触れる前に開くようにしたから安心して」

開かれた扉の先にいたノヴァイハはにっこりとそう笑顔で言ってきた。


その言葉に私は顔が一気に熱くなるのを感じた。


見られてた!やっぱりみられてた!!

ビリビリするんじゃないかってびくびくしてたの見られてた!!!


「あ、ありがとうゴザイマス」


私は恥ずかしくてのたうち回りたい衝動をむりやり押さえつけてノヴァイハにお礼を言った。きっと私のあの姿を見てよかれと思ってやったんだよね。


優しいなぁ…優しさが痛いなぁ…

ノヴァイハは私の側に来て、そして良くできましたというように頭を撫でた。


そして、入ったばかりの扉の横にある色の違う扉を開けた。


その中には私のよく知っている景色。


あれ?



「ここにツムギの部屋に執務室に続く扉を用意したよ。」


これで、迷って危ない外に出なくても大丈夫だね。そうにっこり笑って宣言されました。


わあ!便利!!

何処でもドアじゃなくて私の部屋ドアだ!


あれ?


これって今日ここに来た意味あったのかな?



「君に他の雄の匂いがつくのは許せないからね」


それだけの理由!?

それだけの理由でドアつくっちゃうの?


ドアの隣にドアなんて置いたら…


私の部屋に行こうと思ったら外にに出ちゃった!なんてうっかりもありそうだけど…

「魔術ってとっても便利ですね」


うん、この一言に尽きるね。





ニコニコとしたノヴァイハとその番のやり取りを離れた場所からお茶をのみながら見ていたメロデイアは番の少女の呑気な発言に思わず苦笑した。


「軽く監禁されてるのにねぇ…」


気づいてないのか、気づかないふりをしているのか。


ぽそりと呟くとギラリと鋭い視線が飛んできた。


「その顔をお嬢ちゃんにも見せてあげたいわ。」


百年の恋もさめるわよ。


メロデイアはくすりと笑った。

まあ、まだ恋も始まってないからさめるもなにもないのだけれど。





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