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再会と私

最初の門扉に戻ったつもりだったけれど、きづけば全然違う門扉の前にいた。ここは最初メロデイアさんと通った場所かな?

「困ったな…」

部屋に戻る道はなんとなくわかるけれど、そこから誰かに声をかけて、門扉を開けてもらって…ってするのはちょっと時間が掛かりすぎるかな?できれば午後の休憩に間に合うようにしたかったんだけど…。

むむむと悩んでいると


「あれ?ノヴァイハ様の…ツィー様!!」


鉄柵の向こう側から声をかけられた。白い頭の男の子。この前メロデイアさんにつめたくされていたあの子が、こちらに駆け寄ってきた。

「どうしたんです?こんなところで、今日はメロデイアは?」

男の子はキョロキョロと凄く嬉しそうな顔で辺りを見回した。ああ、この子はメロデイアさんが本当にすきなんだなぁってわかる顔で。

「ごめんなさい、メロデイアさんは一緒じゃないんです」

思わずそう答えるとズドーンと目に見えて沈んでしまった。


「残念、俺はメロデイアとはめったに会えないんだ…」

そういって悲しそうに笑った。そうだよね、あのメロデイアさんの様子を考えたらそうなるよね。

「あ、俺はモステトリスって言うんです。メロデイアの番です!!」

と、胸を張った。なんだかその様子が幼くて笑ってしまう。


あれ?でも前にメロデイアさんは番はいないって聞いていた気がする…


「俺は幼体なのでまだ番だって認めてもらえないんですが…でも!絶ー対!絶対メロデイアは俺の番なんです!!」


握り拳をつくって力説するたびに、くるくるの髪の毛がぽよぽよ揺れてとてもかわいい。思わず男の子の頭のてっぺんから爪先までみて顔に戻る。


うん、たしかにこれで手を出してたら犯罪だよね。メロデイアさんが認めないのもなんだかわかる気がする。だって半ズボンの美少年だし。


「メロデイアさんのことお好きなんですね。」

微笑ましいなぁ。

気分はすっかり近所のお姉さんだ。メロデイアさんのあの氷のような態度にもめげないなんて凄い。


「そうです!卵の時からずーっずーっと大好きなんです!!ーーん?そういえばここで何してるんですか?」


はてな?というように顎に人差し指をそえてきゅるんと首をかしげられた。ああ、可愛い。肩に触れるくるくるの髪の毛がふゆんと揺れる。様はまさに天使のような美少年。


「王城のノーイの執務室に行くようにメロデイアさんに言われて…」

「そうなんですね!案内します!」

ちょうどいい道案内係が出来てしまった。

見た目は凄く可愛いのにモステトリス君は性格も動きもきびきびしている。きっとさっぱりした性格なんだろう。


「えっと…この門扉をあけたいんだけど…一緒に開けてもらっていいですか?」

「?この建物全体には侵入防止の結界が張ってあって、どの門扉も内側からしか開けられないんです。だから俺はお手伝いできないんですけど…」


なんと!やっぱり自力でしなきゃいけないのか!!

観念してそっと取っ手に手を翳す。と…何故かギギギーッときしんだ音をたてて門扉が開いた。


「ええーーっ!?」

「ああ、ノヴァイハ様が術式を変えたのかな?ほら、あそこからメロデイアの使い魔が見てます。」


枝に留まった綺麗な鳥を指差してから、モステトリス君は鳥にむかって手を振った。


「使い魔の見たものは術者も見れるんです。だから困ってるツィー様の様子をみたノヴァイハ様が、触れなくても扉が開くようにかえてくださったんですよ。」


そうなんだ…つられて私も鳥に手を振ったけれど、気分は微妙だ。今までのあのやりとりをすべて中継されていたんだ…盗撮だよね…


絶対笑ってたよね。

絶っ対!笑ってたよね!!!


「声は聞こえてないので悪口をいっても大丈夫ですよ。」


私の不穏な気配を察したのかにこにこと笑顔は変えないままにポソリと


「覗き見なんて趣味悪いぞ~へんたーい」


とモステトリス君は呟いた。

わたしも思わず笑顔で手をふりながら


「サイテー」


と呟いておいた。





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