また会う私
ふと目が覚めた。
ぼんやりとした白い空間。
柔らかい雲の上みたい。
ここ、いつか来た気がする。
「あっれー?つむぎたん?なんでここいるの?」
能天気な声。
ぴんぴんふわふわな金色の頭。
そう、ひよこみたいな…
あ、後輩君だ。
あれ?よんだんじゃないんですか?
「えー?よんでないよ~あっれ~?センパーイ!せんぱーい、つむぎたんまた来てるっすよ!!?」
呼ばれてないの?
っていうかこの人私のこといつからつむぎたんって…
「え~なんできちゃったんだろ?つむぎたんちょっと待っててね~先輩~」
ドダダダダダ!!ゴン!バン!
なんか凄い音がしてドア先輩が何もないところから現れた。
頭を擦ってる。
そうだよね、ぶつけた音したよね。
「おい、なんでいるんだよ!!ここにいるってことは死にかけてるってことだぞ!?」
あれ?そんな状況だったっけ?
おいしく?草とかモシャモシャとご飯食べてただけなんですけど…
「食あたりか?気を付けろようちの世界で人間は子野ネズミ並みに最弱だからな。お前はその中でも最弱のハムスターだからな」
「そうっすね!僕の管理してる地球の人間は弱さ設定MAXす!」
「あそこまで弱くしたら死ぬかと思ったのに栄えたよな~お前んとこ」
「見直したっすか先輩!?」
「人間をな」
目の前で聞いちゃいけなさそうな話をしないでほしいなぁ…
でもってハムスター!?
ハムスターくらい弱い?掃除機にドゥルンって吸われて死んじゃうくらい弱いのか私。
あの国の掃除機はすごそうだものね。
しかし、食あたりって…
そんな変なのたべてないけど…あ、ルコルアの根を食べました。
「それだ!!!ルコルアの根は人間が一定量以上摂取すると昏睡するからな。お前は最弱だから数口くらいか。気付け薬のまねぇと永遠に起きられねぇぞ?それにここに来るってことはかなり深いな…あっちじゃ瀕死になってるだろうな。まあ、加護があるから死にはしないか。向こうもそのうち気づくだろ」
永遠?!
「そっか!つむぎたんここでちょっとのんびりできるんだね!いま飲み物とお菓子持ってくるよ!!」
そんなに弱いのにびっくりですが、いつのまにか瀕死んですね私…
とりあえずこんな場所でお茶もらえるの?
いいのかな…
「折角だからちょっと覗くか。運命は動き出してるか?」
そういって先輩はタブレットのようなものを出してきた。
リンゴマークの代わりにザクロマーク。
え、禁断の果実ってやっぱりザクロなの?!
「おお、結構すすんでんじゃねぇか、やるなお前。あの面倒な二組が動いたら上々だな。」
二組?
「いいさ、気にすんな。お前は今まで通り適当にふらふら歩いて、解らないこと聞いての回ってあの世界に慣れてけ。」
え~なんだろそのモヤモヤ感。
ちょっとくらい教えてくれてもいいのに…
あ、なんかひっぱられてます!!
「体が起きるんだろ、さ、お前の番のところにいってやれ、今度から食べ物には気を付けろよ、ルコルアは加熱してから食えよ!!」
はーい!!
って私、忘れるんでしょ!ここのこと~!!!
ぎゃー落ちてーるーしー!!
「あれ?先輩つむぎたんは?」
「もう戻ったぞ」
「なんだ、せっかくお茶入れたのに~」
「ここじゃどうせ飲めねぇよ」
「はっ!そうっすね!!なんだ、先輩気付いてたら教えてくれたっていいじゃないっすか。あ~あ、もう少しつむぎたんとお話したかったっす」
「珍しいなお前がそんなこというの」
「え~だって僕と先輩のはじめての共同作業で産まれた、愛の子つむぎたんじゃないっすか、そりゃ愛もめばえるっすよ!」
「死ね」
ドゥルン!!
「ぎゃぁ~!!吸い込まれる!吸い込まれるっす!この吸引力わぁぁぁあ」
「フィルターのいらない唯一のやつだな」