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解き放たれた竜

ギシャァァァァア!!!


地下とは思えぬほど広い空間には次々に増えていく鎖にがんじがらめにされた白い竜がのたうっていた。

鎖は竜が引きちぎり砕くほどに数を増やしていく。


岩壁が竜の哭き声とともに放たれる閃光で崩れていき、波打つ尻尾は地面を抉っていく。

しかし竜は自由にはならない。

鎖は竜の影から次から次へと生まれては竜にからみついていく。



あぁぁあ!

早く、はやく、はやく行かないと!


番が、番が死んでしまう!!!



ギャシャァァァッ!


悲鳴のような叫びが閃光と共に辺りを壊していく。


皆を守るために念入りに己を繋いだ歳月が恨めしい。

砕いても砕いても新たに鎖が生まれてくる呪。

狂った竜が解き放たれぬよう念入りに作られた縛呪。



しめつけてくる鎖を無理矢理引きちぎると鱗とともにブツリと肉が裂けた。


ギチギチと鎖を軋ませ足を進める、

ボタボタと垂れる血で床がぬるつき踏ん張りがきかず片膝をついた。


そこへ走り寄る小さな影があった。



「ノヴァイハ!何があった!!」


赤い髪の美丈夫この国の王。

この鎖をほどける唯一の人。


『ほどいて、コレをはやく!!』


兄の赤い髪がまるで血のようだ

まだ見ぬ愛しい番が流す血のようだ


「何を言っている、その呪はお前と話し合って…」


そう、これは狂った私から皆を守るための縛呪。

いまはあの子の側に行こうとする私の邪魔をする忌まわしい鎖。


『死んでしまう!!あの子が死んでしまう!!だから、だからはやくっ!!!』


「ーーっ!まさか!番か!?」


驚いた顔で兄は解呪を施していく


兄の解呪に合わせて己の側から施していた呪も同時に消していく。

兄と共に縒ったそれは複雑に絡み、ほどくことは決して容易くない。



ああ、間に合わない、あの子の命がもうすぐ消えるっ!



解呪の途中だったがそのまま鎖を引きちぎる。


足元で誰か叫んでいた。


ひと吠えすると閃光が呪の基盤になってる壁に埋め込まれていた魔石をくだいた。


もう一度吼えたら空が見えた。


今そばに行くから、

あなたを一人で逝かせはしないから。



羽ばたき1つで体は空にいた、甘い香りが鼻孔をくすぐる。

目指す場所はすぐそこ。



始祖の泉



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