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夜空を見上げる私

どうでもいい短編を書いてないで本編をすすめなはれ

と言われそうなので…

そう言われる前に書いた。

でも更新が遅いのはリアルが忙しいからと言い訳もしたい(´д`|||)









蔵書室から部屋に戻ると時間は既に夕方だった。

蔵書室から帰ってからのノヴァイハは、時折頬を染めて口を抑えたり頭を抱えたりしている。もしかしたら具合が悪いのかもしれない。具合が悪くても頬を染めるノヴァイハはとても綺麗だ。

頭を抱えてブツブツつぶやいていてもノヴァイハは美人だ。


美人は得だ。




夕暮れの気配を濃くしはじめた窓の外を見ていたら、ノヴァイハはテラスへ連れ出してくれた。


青かった空は端の方から紫と黒に染まりはじめた。そして空にキラキラ輝いていたゆらぐような光は小さな粒を散りばめたように変わりキラキラと瞬きはじめた。


地平線に沈むオレンジ色の太陽は無かった。

けれど、夜空に瞬く星も、夜の空気も変わらなかった。

きづかぬうちに少しずつ零れ落ちていく地球の記憶。

何を忘れているのか解らないくらい。ほろほろと崩れていく地球の記憶。


でもきっと、いつか殆どの出来事を忘れたとしても、この空を見るたびに懐かしく思う気持ちはきっと無くならない。そう思える夜空だった。


ノヴァイハは空について教えてくれた。

私それをぼんやりと聞きながら空を見続けた。

「日中は帯状に広がっていた魔力は夜になるとその姿が粒状だったことがわかるんだ。大きく輝きそのまま燃え尽きたり、凝って地に堕ちて魔人族になったりもする。この空から夜に生まれたものが魔人族となり、昼に産まれたものが妖精族となる。どちらも空にひしめく魔力の欠片がより集まり産まれるんだよ」


ノヴァイハの柔らかくて少し低めの声。

私はこの声がすごく好き。


そっと目を閉じる、瞳の奥に残る地球の星を思い出すように。

「ツムギ?ねむいの?」

ノヴァイハの胸に頭をおしつけた。

とくとくと心臓の音が聞こえる。

ああ、これも変わらない音だ。


「ううん…嬉しいなって…」


ノヴァイハはそれ以上何も言わずに私の頭をそっと撫でた。

優しく優しく何度も撫でた。


マリイミリアさんが呼びにくるまで私はノヴァイハの腕の中から空を見つめる続けた。



夕飯はお昼のお肉のように固過ぎるものはなかった。マリイミリアさんが厨房に言って頼んでくれたそうだ。

ノヴァイハがフォークにさした食べ物を次から次へと差し出してくること以外は問題なく済んだ。食事の後にマリイミリアさんにお風呂の使い方も教わった。すっかり忘れていたけれどずっとお風呂に入っていなかったのに体がさっぱりしていたのは清浄魔術のおかげだったそうだ。魔法ってスゴイ。


そして、長椅子に座って今日借りた本をパラパラと読んでみる。


病気の女の子が趣味の合う男の子と出会って恋に落ちる話だった。

ふむふむ、と読み進めているとお風呂上がりのノヴァイハが戻ってきた。

しっとりとして色が濃くなったピンク色の髪がちょっと色っぽい。

「どう?その話は面白い?」

隣に座りながら本をのぞいてくる。

「すごく面白いです。竜人の雄が番にロッココー山にオロシが来るのを表している勇壮な踊りをしたんだそうです」

ロッココー山のオロシ…何だろ?どんな踊りなんだろう?迫り来るオロシが何なのかもすごく気になる。

「ああ、火竜の代表的な踊りだね、火を巧みに操って踊るんだ。兄上が一度練習しているのを見たことがあるけれど…とても熱そうだったよ。」

そうか、ノヴァイハのお兄さんは火竜なんだ。

「その後とても大きなムギュ?ムロ…ギュ?を差し出したのを雌竜人が受け取って、二人は将来を固く誓ったんだそうです。」

ムギュほにゃらは名前かま長すぎて覚えられなかった。この国は名前が難し過ぎて、舌がもつれそうになる。

「ムロヴィアギュノレバかな?大きな角のはえた足の早い動物だよ。そうか、物語の二人は番になれたんだ」

「でもまだ話は半分も進んでないんです。このあと何があるんでしょうね。凄く気になります」

「そうだね、でも続きは明日にして、今日はもう寝ようか」

そういってノヴァイハは私を長椅子からひょいと抱き上げベッドへと運んだ。


そして「おやすみ、よい夢を」と頭を撫でられた直後私は猛烈な眠気に襲われた。


異世界に来てからの私は…

眼鏡を外したら目が3になる、青い狸みたいな猫に頼りきりの小学生並みに眠るのが早い。



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