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暴れる竜

深く沈んでいた意識が何かに惹かれる様に浮上していく。

こんなにも短い間に意識が戻るなんて久しぶりだと思いっているとキィッと爪を立てるように何かがひっかかる。


何かが近づいてきている?


酷く遠くで非常に大きな魔力が展開された気配がした。


なんだ?


この魔力は…

人族のものとは違うもっと高位の…高次の気配?



もっとよく知ろうと闇の中、垂れていた首をもたげる。


ジャラッっと鎖が鳴る。


いつの間にか竜体になっていたのか。

今日はやけに力が安定していない…


いや、違う。


今日は珍しくまともに意識があるのだ。


そう気づき紫の目をほそめた。


何かが魔方陣に包まれたままこの竜人国王都に来ようとしている?


包まれているものの気配は…


弱すぎて僅かもつかめない。

かすかに何かがあるとしか…

僅かな…ごく僅かな…人…の気配?




ドクンッと心臓が大きく脈打った。



歓喜だ。


体の底から、魂の奥底から沸き上がる歓喜。

体が指先まで喜びに満ちていく。

体の隅々まで染めるような多喜感。



そしてその喜びを与える者の気配の脆弱さに…恐ろしいほどの恐怖を感じた。



喜びを幸せを噛み締める間もなく、全てを真っ黒く塗りつぶすほどの恐怖。


ガチガチと歯が鳴る。

ぶるぶると全身が瘧のように震える。


恐怖


死んでしまう、あの子が死んでしまう!!!


シんデシまう!!!


そばにいくから、今アナタのそばニいクかラ!!


ギィン!鎖が鳴る、


厭わしい、忌々しイ、私とアの子を引き離すコの鎖が。


ああ、邪魔だ。


こんナ玩具など、このまマ引きちぎってしまオう。



ゴゴゴゴとあたりが揺れた。



ギシャァァァァア!!!!!



近くで竜が啼イている。


ソうダ、引き裂ケ、私と番を引き離すもノなど壊れてしまエ。


ガキィンッ!!!


繋いでいた鎖が粉々に崩れた。



今イくかラ、いマあなたのそばにいくから


だから、だから



ワたシをおイて逝カナイデ




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