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評価3000ありがとう☆御礼小話

評価ポイント3000ありがとー御礼小話です。

色々と展開が早くて、御礼小話書くのが大変…とか思ってないんだぞ?なちかーむです。

そろそろ落ち着くだろうし…


見てくださる方にお礼大事、お礼大事だよね?


さて、そんな今回の小話はこちら。


ドン


不憫担当ヒューフヴェナウさんからの視点です。


お転婆が過ぎるよ?なマリイミリアさんに振り回されてきたヒューフヴェナウさんの心労はいかに。


では、皆様の大切なお時間をいただけることに感謝を込めて。


私の番のマリイミリアは大地色の髪の美しいおしとやかな女性である。


普段は。


2日間受けていた治癒魔法で癒されたおかげか。

日頃の疲れもすっきりとれて、清々しい気分でヒューフヴェナウは愛しの番のために作った巣に戻る道を歩く。



私とマリイミリアはノヴァイハ様と同時期に卵から孵った竜人である。

人とつくが竜人は卵生。

卵は産落とされた後に王城に集められ竜体で孵る。


そして竜の本能しか持たぬ幼体の竜は、竜人として生きる知識を、王城の知識のオーブに触れることにより得ることとなる。


その後幼体は、竜人国の全員から保護を受けて育つ。

産みの親との関係は人族ほどではないが、親の所属する群れに引き取られることが多い。そして群れ全体で世話をするのだ。


この通常の竜人とは、異なる育ち方をするのが竜王種である。

竜王種とは、強き卵のことである。

他の竜人よりも卵でいる期間が長く、知識のオーブに触れた後も、城下に降りず王城で育つ。


強い竜は頭も良い。

そして家族を形成する。そしてオーブだけではたりぬ知識を教えていくのだ。


通常の竜人は、人よりも竜に近い生き物である。

知識のある竜、といった方がいいかもしれない。

そもそも、群れることを必要としない竜が根底である竜人。その基本姿勢は、思い付いたら即行動、欲望の赴くまま…である。

そんな竜人だけで、国が成立するわけがない。少し、いやかなり頭の足りない竜をまとめて国とするのが、竜王種である。


そして竜王種の卵と共にあった竜の卵は、強き卵の影響力をうけ、他の竜人よりも何かしら突出したものを持つ。


私は強さ、マリイミリアは愛情


王城で働くもののほとんどは、卵のときに竜王種の影響をうけたもの達である。

そしてそのもの達は、竜王種の手となり足となり働くことに、喜びを感じるように出来ている。


愛情に特化されたマリイミリアは、竜人としては珍しいが、竜王種と同じように家族を形成する竜人であった。

幼い時は妹のようにノヴァイハ様に甘え、大きくなってからは姉のように接して過ごした。

卵から孵った我が子を引き取り己の元で育るという竜人としては珍しい行為もした。

そして、そんなマリイミリアの子供も竜人にしては比較的頭の良い子達であったし、そのまた子供達も王城や役所で働いている。


そんな愛情深いマリイミリアであったから、陛下よりノヴァイハ様の番の方を側で支えるようにと命令が下されたのだ。


番の方が現れ、私がノヴァイハ様の顎に挟まったその日


巣に戻ると、私を迎えたマリイミリアは既に覚悟を決めた顔をしていた。

私も事情は王より直接聞いていたので、何も言わず彼女を抱き締めた。


「もし、私がこれから先ノヴァイハ様の爪や牙の前に散ることがあったとしたら…」

「マリイミリアやめてくれ、そんな、そんな話は聞きたくない!」

「もしもよ?あるかもしれないし、ないかもしれない、そんな話よ。」


強く彼女を抱く腕を軽く叩かれた。

どうやら、きつかったらしい。


「仕返しの方法は、机の上に置いてあるあの綴りに書いてまとめておきましたわ。必ず全てをやってから私の元にきてくださいませ。」


「仕返し!?」


私に何をさせる気なんだ!?


「ええ、私の命を散らせた仕返しですわ。細かく書いてあるから、必ず全部よんでちゃんとやってから私の元にきてくださいね?約束ですわよ?」


「ああ、愛しい君の願いなら。でもマリイミリア決してそんなことにはならないことを私は願うよ。」


そういってマリイミリアの額に唇をおとした。


ノヴァイハ様と幼竜の頃から共にあったマリイミリアは、ノヴァイハ様に容赦がない。

そんな彼女から渡される仕返しの指令…

それは、とてつもなく恐ろしい内容である予感がする。

私にできるのだろうか…


非常に不安だ。




歩きながら、怒濤のごとく過ぎたこの数日を思いかえしていたら、いつの間にか巣へと着いてしまっていた。

ヒューフブェナウの巣は家である。竜人によっては街に住まず、岩穴に棲むのを好むものも多い。しかし、竜王種の影響を受けた竜人は街に住むことが多い。


家の中は夕日に染まっていた。

マリイミリアは今日、遅くなるという。


家に入ると部屋の端においてある机の上にあの綴りがあった。


…禍々しい気を放っている気がする。



…読むべきだろうか。

しかし何も起きていない。

今読むのはマリイミリアも望んでいないだろう。


しかし…

あのぬるぬる地獄よりも…凄いことをするのは私には無理だ。

いや、あのぬるぬる地獄も無理だ。


やはり今読んで、無理そうだったら変えてもらおう…

いや、だがしかし…。


悩んだ、私は猛烈に悩んだ。

その綴りを手にとったまま。


「ヒューフブェナウ?帰ってましたの!?」


急にと明るくなった部屋に驚き、バサリと手の中のそれが落ちる。


「まあ!ヒューフブェナウ、もう読んでしまったの?いけない人!」


振りかえると苦笑しているマリイミリア。

「いや!いや、まだ読んでいない。悩んで結局、読めなかった。」

あわてて首をふると、マリイミリアは私の顔を見て「そうみたいですわね」と頷いた。


「だめですわよ?決してその時まで開いてはいけませんわ、ヒューフブェナウ?」

念を押す彼女に、やっぱり読まなくて良かったと思う。

読んでいたら口に椅子でも突っ込まれていたかもしれない。


「わかっているよ、愛しのマリイミリア」

苦笑しながら、落ちたままのその綴りを拾う。

奇しくも最期の紙が折れていて、その一文が見えてしまった。



『私はノヴァイハ様を赦している、と必ず伝えること。そして白い花を私に。』




字が急に滲んだ。


「もう、読んではいけませんといいましたのに。」

マリイミリアは。私をなみだごと抱きしめた。


マリイミリア優しき私の番。

大切な友のノヴァイハに、愛しい番のマリイミリアを奪われた私が、どうなるか考えていてくれたんだ。


そして、君は私がノヴァイハを許すこと望み、けれど…私が君の後を追うことは、止めないでいてくれる。

ノヴァイハ様にこの言葉を伝えたら、君の大好きな花を、腕いっぱいの白い花を君に届けにいこう。


ああ、君は本当に愛情深い。



「4頁で書いてある方法に使うニャルルドドヒゲルデアの本数は、5本がいいとおもいますわ。」


そして容赦がない。


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