友に会う竜
「荒れてるわねぇ」
久しぶりに聞く声に顔をあげる。
化粧を施し赤い紅をさした従兄弟の顔。
いつも共にいた昔とはずいぶん違う顔だったけれど。
「その子がお前の番か」
急に真面目な声になった従兄弟になつかしさがこみあげた。
「メロデイア久しぶり」
本当に久しぶりだ。
「綺麗な色だな…珍しい、薄い赤か?」
「ピンク色だってツムギは言ってたよ」
「そうか、珍しい言い方だな。そうやって楽しいことを考えて落ち着いてろ、お前の気が荒れれば番にも良くない」
そう言われて慌ててツムギを見ると少し苦しそうにしていた。
慌ててメロデイアの顔を見る。
「まだ安定していないんだ、治った時に連れていく場所でも考えてろ」
メロデイアの頼れる兄みたいな姿は久しぶりに見る。
そうか、私が荒れていたから様子を見にきてくれたのか。
「そうだね。幸せにするって誓ったんだ」
腕のなかで眠るつむぎをそうっと抱きしめる。
先ほどより苦しくなさそうな顔にホッとする。
繋がってるんだ私と君は。
「良かったな…」
メロデイアのその言葉に全ての想いがこめられている気がした。
「それにしても…添い寝で済むのかしら?」
にんまりと笑うその言葉に眉をしかめる。
口調も戻ってしまった。
「手を出すのは番紋が出てからが常識よ」
うふふふと笑いながら去っていく従兄弟にかけたかった言葉は飲み込んだ。
その、言葉は白い髪の中にある一筋だけ染められた髪、その色の下に秘された色を見せてくれるときまで胸にしまっておこう。