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鍵となるこども

魔術師団団長のメロデイアは久しぶりに会う従兄弟の眉間に刻まれたシワが少し浅くなったのに気付いた。


「あら、ずいぶんと嬉しそうじゃない?」


「お前を見たら気が滅入ったがな。ノヴァイハも番と出会えたんだ、お前ももういいだろう」


「ま、それはそれよ…。」


メロデイアは赤く染めた指先で白いままの髪を後ろにはねあげる。

過剰なまでにつけた手首の飾りがシャラシャラと音がする。


「ノヴァイハの髪も今に婚姻色が現れるだろう。その時は白持ちの竜王種はお前だけになるぞ」


「そうねぇ…」


ぼんやりと遠くを見つめる従兄弟の瞳に先日までの弟が重なる。

まったく何で私の世代の竜王種はこうも曲者ぞろいなんだか。


「転移陣の解読は出来たか?」


話を変えるとメロデイアは表情を一変させた。

「いいえ、非常に腹立たしいことに出来ておりません。まず文字が違う、魔術の形式もなにもかもが竜人や人族のものとは異なりました。魔神や妖精族のものとも。すっかりお手上げです」


「番の魔力器が頭に移動されている件についてはどう考える?」


「緊急処置的対応かと」

「ほう?」

「非常に高度な技ながらも処置は稚拙そのもの。精査も何もなくただそこに置いただけそんな印象です。

そして、本来そこにあるべきではないものが頭にあることにより何かしらの影響が番の方には出ていると思われます。」

「正常な場所に戻すことは?」

「非常に難しいかと。失敗した場合のリスクが大きすぎます。…それに…ノヴァイハが同意するとはおもえないわ」


伝えるべきことは伝えたのだろう。

メロデイアの口調は一気に崩れた。


「しばらく様子を見るべきでしょうね。それに番の呪がどのように作用するかもわからないわ」


「ならばしばしお前がノヴァイハと番の側にいることにしろ。ノヴァイハが本気で暴走したときマリイミリアでは荷が重い。今ノヴァイハに対応できる竜王種は私かお前しかいないからな。ついでにあの子供の知識を調べ竜人について教えていけ。

ノヴァイハに害になるようなものがあれば…ばれぬよう塗り替えていけ」


できるだろう?


弟を思う兄としてはいささか黒すぎる笑みをうかべたあと、ヘリディオフはもう用はないとはばかりに手元の書類に目をおとす。


「番のいない竜人をノヴァイハが側に置きたがるかしら?」


自嘲気味に言われた言葉を鼻で嘲う。


「いるだろう、お前にも。狂っていたとしてもノヴァイハもそこまでバカではない。そなたのために見てみぬふりをしていただけでな。地下で正気に戻ったときもお前を心配していたぞ」


メロデイアの顔が苦痛をこらえるように歪んだ。

そしてそれを隠すよう頭をさげ、踵をかえし去っていった。


その、白い髪の中には一筋だけ色がついている。

時折その色は変わる。青であったり黄色であったり…

本人はお洒落だといっているが…

何かを隠すように念入りに染められているその一筋の髪。



ノヴァイハの呆れるほどの甘ったるい態度を見て

共に番の居ない時を過ごしていた従兄弟の止まってしまった時も動き出せばいいのだ。



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