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評価ポイント2000突破 御礼小話

皆さまお読みくださりありがとうございます。

評価ポイント2000突破の記念小咄です!!

書き始めた時はこんな評価をいただけるとはおもってもみませんでした…(*´ω`*)嬉しい!


今回はあまり出番の少ない宰相ヌェノサスのお話。

片眼鏡の似合う壮年雄竜人です。

ところで…皆さん気づいてます?


今のところこの小説に出てくる竜人達が陛下とノヴァイハとつむぎ以外は目尻の皺がラブリーなお年の皆様だということを…。


あ、陛下の眉間の皺は老化ではなく心労ですよ?


少女小説という括りには当て嵌まらないです。

登場人物の年齢的に。


それではこのお話が雨の日に貴方のなぐさめになれれば幸いです。




宰相のヌェノサスは現王ヘリディオフの命により人族について調べることとなった。

極希にであるが獣人や魔人、妖精族等と番になるものがいる。


しかし今城内で働くものの番に人族はいなかった。

唯一の人族番は城下に住むギルド長の番だ。


あのギルド長は癖がある。

…仕方がない。

もう、伝令は出したのだし…


ヌェノサスはモノクルの位置をなおした。

来るまで人族についての知識を増やそう。

人族の本を手に取った。


「きたぞーーーー!!!」


バーン!!!とドアが吹き飛んだ。

ドアのあるべき場所にはギルド長のヤグエオッドと番のユリイがいた。


「相変わらずここの扉は脆いな」

「お前は相変わらず暑苦しい筋肉だな」

「お前は相変わらず嫌味な眼鏡だな」


ハンッと鼻で笑う。

奇しくも同じタイミングだ。


「ノヴァイハ様に番が現れたな。人族だったか」

「ええ、そこでユリイ殿に話を聞きたいのです。あなたに用は無い」


ヤグエオットの後ろから見ていたユリイが一歩前に出てきた。


「えっと…私の知る人族は随分と昔のことになりますよ?国も変わりました」

「ええ、人族の儚さは知っておりますがさほど変わらぬものもあるのですよ」

「変わらぬもの?」

「ええ、ここから先はあちらの部屋でお茶を飲みながら話ましょう」

この部屋には壊されたら困るものが沢山あるのだ。




「あなたはヤグェオットに会ったときどう感じました?率直にお願い致します」


ちらりとユリイは横に座るヤグェオットの顔を伺う。

見た目は暑苦しい筋肉だるまオヤジと美少年だ。人族は番になった時から時がとまる。年をとっても外見は変わらない。

番の呪の効果はとても強烈でその生き物を根底から変えてしまうのだ。


「怖いと思いました。…目が。それに時折現れる鱗も爪も」


ああ、人とは違う縦に裂けた瞳孔と捕食者のそれはやはり本能的な恐怖を誘うのか。

この点はノヴァイハ様に言い聞かせなくてはならないな。


「ヤグェオットは…人族にはない勢いもありましたし…それに竜体はとても大きくて…家の屋根が壊れたときは本当に死ぬかと」


…この男は何をしたんだ?


「驚いて泣いていた私の涙を舐めてくれたのですが竜体だったので食べられるかと本気で思いました。

事実、村人は皆私が食べられたと思ってましたし

…それに舐められたときも唾液が凄くて息が出来ず危うく溺死するかとおもいました」


うわぁぁ…


「名問いの後に次から次へと持ってこられる獲物も大きすぎてとても処理に困りましたし…生肉が頭の上に吐き出されたときはもう何が何だか…

それをむりやり口にいれられたのですが…人の体に生肉は合わないので次の日はお腹を下して大変なことになりました」


人族に向けての求愛給餌を竜体でしたのか!?

驚いてヤグェオットを見たらはじめて聞くのだろうか…


目が死んでいた。


「会うたびに花を持って踊って見せてくれたのですが…残念なことに人の目には竜人の動きは早過ぎて見えないので、花が風に打たれて散っていく様を見せられているようでしたね。それはとても無惨で…しかも…いつも赤い墓標に備える花を持ってきていたのでいつかは私もこの花のように命を散らされるのかなと…」


…なんてことだ…昔馴染みの壮絶な失敗談を聞いてしまった。

竜人としては当たり前の求愛行動がここまで違う意味にとられるとは…


ゴンッ!


ヤグェオットは机にめり込んでいた。比喩ではなく物理的に。


「そんな状態で…良く彼を受け入れましたね」


…私なら無理だな。


「悪いヒトではないと知っていたんです。ここが、あのときはわからなかったけど最初からずっと知っていたんです。だから人としては凄まじいことを沢山されましたが嫌いにはなれなくて…」


ここと胸を押さえたユリイ殿。

そこは番紋があらわれる場所、魂のあるとされる場所。

そうか、番の導きは人族にもあるのか。竜人ほど強烈ではなくても。


「結局、ほだされてしまいました」


それは優しい微笑みだった。

私の番が私に向けるものと同じ微笑み。



「ゆりいいいいいい!!!!!」



ドゴーン!!!と机が割れた。

ヤグェオットが復活したようだ。


「今日はありがとうございました。私はこれで失礼いたします。ユリイ殿、傷心のヤグェオットが落ち着くまでこちらでお過ごしください」


扉をしめてから足早に西の離宮に向かう。


まずは番の方が起きる前ノヴァイハ様に言い聞かせなくては!!!



急いで行った西の離宮では半分竜体になったノヴァイハが番の方を舐めて溺死させる寸前だった。





このアホどもが!!!





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