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略してみる私

目の前に血を吐いてる人がいたから声をかけた。

声をかけたら猛烈甘い眼差しで名前を聞かれた。


しかも血が一瞬で消えるミラクルつきで。


そのまま頬擦りっていうほど押し付ける訳じゃなくて、空気みたいにそっと彼の手に包まれた私の手を頬に触れさせて猛烈美青年に幸せそうに微笑まれたら…


もう、固まるしかないよね。

そんな免疫ないし。

何度も言うけど凄い美形だし。


多分人間美形には弱くできてると思うの。

どう考えてもこの人不審者なんだけど。


しかもそんな不審者な美青年が真っ青な今にも泣きそうな顔をして「みねまえ つむぎ」が言えないのを頑張ってたらもう…

もう、胸をグッと捕まれた気がする。


多分、美青年に美が無かったらダメだと思うけど。

ただしイケメンに限る効果をまさかの実体験するなんて…。

いや、もっと気にすべき点はほかにも色々あるのだけれど…


「私の名前は みねまえ つむぎ ですけど…いいですよミネーマでもツィーギでも。言いやすいようにしてください」


握り締められて震える拳の上にそっと手をかさねる。

かなりの身長差に顔をのぞきこむ形になってしまった。

近い、近いよこの距離!


「ダメだよ!私は君の名前をきちんと言いたい」


涙まで浮かべて言うことなのかな?

でも、そう言うのなら…


「じゃあ、待ちますね。私にもあなたの名前をもう一度私に教えてください」


だって全然聞き取れなかったから。







私の番は世界一やさしい。

本当にやさしい。

こんなにもやさしい子はきっと他にはいないと思う。


名前が呼べない私を怒ることもなく励ますように優しく手を重ねて。

しかもその上で名問いまでしてくれた。



嬉しさと情けなさと上目遣いの可愛さに鼻の奥がつんと痛くなった。



私にとって彼女の名前が言いにくいように彼女にもノヴァイハが言いにくいようだった。


「ノアイハさん」と舌ったらずに云われたときにはもう色々と言葉にできないくらい胸のなかに嵐が吹き荒れて…興奮のあまり竜体になりそうになった。


危なかった。


竜人にとって名前は大切なものだけれど…

彼女にならなんと呼ばれてもいいとさえ思った。

むしろノヴァイハよりノアイハを私の名前にしてもいいくらいだ。

そうだ、変えよう、今日この日を期に改名をすることにしよう。


「うーん…私の居たところでは親しい人は名前を略するんですよ。呼びやすくして何度も呼べるように。だからノヴァイハさんはノーイでいいですか?私はツィーにしてくださいね」


彼女の提案に雷が当たったような衝撃が走った。

つむぎと呼べない私に合わせてくれた。

それに、何度も名を呼ぶといってくれた。



本当に私の番はどこまでもやさしい。



この優しさは私にだけかな?

それとも皆に優しくしてるの?




君が向けるその優しさを受けとるのが私一人だけだったらいいのに。







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