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猟奇的な竜と私


タイトル通り非常にアレな感じです。


ホラー&スプラッタな猛烈ヤンデレ注意です。


子どもをほにゃら~な話が苦手な方は読み飛ばし推奨です。


不思議な紫の瞳を爛々と光らせてノヴァイハは私に語りかけてくる。


言い聞かせるような、独り言のような、不思議な調子で滔々と。




「ねえ、ツムギ。

私から君を僅かでも奪うものがあるのなら、たとえそれが何だとしても私は君を取り戻すよ?

君が他の誰かに心奪われるのならその誰かを消してあげよう。


私は君の愛が僅でも私以外のものに傾くのを許せない。


君に私の他の誰かが触れるのも。

ましてや、君の肚の中へ私以外が触れるなんて…



許せる訳がない。



考えただけで腸が煮えくり返って引きちぎれそうだ。



だから、



君がその小さな腹に命を宿すなら、


君がそれに僅かでも愛を向けると言うのなら…



その命を消してあげよう。



そう、ツムギ、君の腹を割いてその命を消してあげる。


大丈夫、痛くないようにするからね。

全部済んだら傷ひとつなく綺麗に治してあげるよ。



君の柔らかな肌は爪先で軽く触れただけで容易く裂けるだろう。


ああ、溢れる血は1滴たりとも溢さず舐めとってあげよう。


ツムギの血はとてもとても甘くて美味しいから。



そして、裂いた腹の中を指でかき混ぜるのはきっと苦しいだろうから、優しく舌を使ってあげよう。

ツムギのお腹の中は、この可愛い口の中よりもよりも熱く私の舌を包みこんでくれるだろうね。

きっと素敵に絡み付いて私を夢中にさせるよ。



そして、君の胎のなかにある余計なものは…



舌で絡めとって、そのまま噛み砕いて呑み込んで、跡形もなく消してあげる。



ああ、でも…



もし君が無くしたものを恋しがって泣いたりしたら…

私は酷く君を虐めてしまうかもしれない。


大切な番にそんなことはしたくないんだ。


だから、


だから子供はいらないよ。


私は君がいればそれでいい。



私は、君しかいらない。



いらないんだよ」




ノヴァイハはうっとりと私の髪をなでた。

優しい、誰よりも優しいその手が何度も何度も私の髪をすいた。


その心地好さに私は目を閉じる。


瞼の裏には直前まで見ていたノヴァイハの息がとまりそうなくらい美麗な微笑み。



幸せそうな顔。



幸せそうで、けれど、全然幸せじゃなさそうな。


<幸せそう>でしかない、そんな笑顔。



私にはノヴァイハの光るような紫の瞳が酷く怯えているように見えた。



酷いことを言われているのに。

ものすごく猟奇的なことを言われているのに。




不思議と怖くなんてなかった。




私はぱちりと目を開いてノヴァイハの紫の瞳としっかり目を合わせた。

ノヴァイハは美人だからこんな不思議な瞳の色も似合うなって。


右も左もわからないこの世界で私が一番信じられるのはノヴァイハだけ。

それに、不思議なほど私の中で揺るがない絶対の信頼。

それは孵ったばかりの雛が初めて見たものに対して行うインプリンティングみたいに。


ノヴァイハと一緒に居たのはまだ短い間でしかないけれど…


これは、これだけは…


揺るがない絶対の真実。




ノヴァイハは私を決して傷つけない。



だから大丈夫。

ノヴァイハの言ったようなことにはならない。


だって私は卵を産めない。


だから、さっきの話はそもそも有り得ないこと。

ノヴァイハを怖がることなんてひとつもない。

そして、ノヴァイハも


起きていない出来事に怯える必要なんかどこにもない。



「馬鹿だなぁ…」



私は思わずふふって笑った。

そうしたら紫の瞳のノヴァイハが驚いたように目を見開いた。

こんな脅すようなことしなくても大丈夫なのに。

こんな怖がる必要なんてないのに。




『言葉を惜しんではいけませんよ』



マリイミリアさんの言葉を思い出す。


私のこの気持ちは、どうやって言葉にすればいいんだろう?

どうやったらこの怖がりな人を…





安心させてあげられるんだろう?








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