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100話だよ!?御礼小話

いつのまにやら100話ですよ!?


気づかずにフツーに更新するところでした。

次にこういった機会が来るのは200回話…

ってさすがにそこまでは行かないからね。うん、いかないからね。


で、100話記念にふさわしいものってなんだろう?って2日悩んだ結果がこれ。


あれ~( ´△`)

相応しい話にするべく2日悩んだんだけど…



ということで、これからも「竜のしにかけつがい」とお付き合いよろしくお願いいたします~


では、これまでも、これからも皆様の大切なお時間を頂けることに感謝をこめて!!




庭園を散歩していると、みたことがあるけれど…ちょっと知っているのとは違う。

そんな花が沢山ある。


水色のひまわり、深紅の紫陽花、青いラナンキュラス、ミカン色の茉莉花、濃紺の百合…


色はともかく形状は地球の花にとても似ているものが多い。


一重咲きだったり八重咲きだったり、吊り鐘型だったり…花弁に包まれた花芯や根元の咢の形はやっぱり知っている花に近くて。


世界が変わっても植物の進化にはあまり関係がないのかもしれない。


散歩の足をとめて、そんな花達を手にとってはまじまじと観察していた私のそばにノヴァイハが近づいてきた。


「何か面白いものでもあった?」

「うん、やっぱり知ってる花とはちょっと違うなって…」

「うーん、ここの花の殆どは観賞用だから取り寄せてから改良したものも多い、多少の差はあれど人族の住む土地にもあるものが多いかな。竜人の住む土地固有の植物はもっと元気に走り回るし、ツムギひとりだと散歩ができないくらい騒がしいものが多いからね」



元気に走り回るし騒がしい?

…植物の話だよね?



「ほら、あんな感じで」


すらりと長い指先がすっと目の前を横切った。ノヴァイハの綺麗な爪先からその先、指さされた場所にはくるくるうねうねとうごめく茨の塊。



なにあれ…



じりじりと近づいても逃げる様子もない。

ノヴァイハが何も言ってこないってことは安全なんだろう。


近づいてじっとよく見ると、そのうねうねは茨というよりは緑の透明ゴムホースみたいなしなやかな蔦?と柔らかそうなトゲトゲを持った物体だった。



「イバラキ。竜人国固有の植物だよ。触っても大丈夫」



その声に後押しをされ、しゃがんでうねうねにそっと手を伸ばす。




ぷにん。



うねうね改めイバラキも、こちらにうねうねの先っぽを伸ばして私の指先にふれた。


「柔らかい…」


トゲは指を傷つけることなくぷにんと曲がった。


その感触は子供の頃に縁日で買ってもらったトゲトゲの光るボールに似てる。


イバラキは目が無いのにこちらの動きを認識しているらしく、手を左右に動かすとうねうねも左右に動いた。



「可愛い」



思わず呟いた。

うねうねして気持ち悪いけれど動きは小動物系で憎めない感じ。

クリアグリーンのボディも見馴れたらチープで可愛い。



「うん、可愛い」



再度そう告げるとまるで照れているようにイバラキはいうねうねくねくねもじもじした。

そのあとに…ぶるぶるっと震えて


…ポン!


「わあっ!」



茨の真ん中から赤い塊を吐き出した。

いきなりのことに私は思わず避けてしまった。

ボトリと地面におちたそれはベルベットのような花弁がいくつも重なった深紅のーーー



「薔薇!?」



拾うと少し重い、強烈な薔薇の匂いまで同じだった。


「凄い!!」


誉めるとむにむにのイバラキは


キイッ!キイッ!


っと高い声でないた。

どうやら知能もあるらしい。


今さらだけどこれ、本当に植物なんだろうか?

一抹の疑問をもちつつも私はうねうねに向かって再度誉めた。



「凄い、すごいねぇイバラギ」




誉めたのにイバラキはチッチッチと不思議な音を出して一本の蔦を左右に揺らした。

まるで違うというジェスチャーのように。

そして高らかと



イブァーーラキィィィ!!!



って鳴いた。



巻き舌すごっ!!!!



「イバラキは名前の最後のキを濁らせると怒るから気を付けるといいよ」


びっくりしている私にノヴァイハが解説してくれた。

ああ、うん。イバラギじゃなくてイバラキなんだね。


「イバラキね。間違えてごめんね。」



ぷにんと指てつつくと「もう!まちがえないでよね!」っていう感じにぷにん!って、震えた。



異世界の植物って凄い。


私は薔薇をひっくり返したりしてみたけれど、どこからどうみても薔薇。

しかも切り離された茎の部分はとても綺麗な切り口をしている。


「どこから出したんだろう?」


ボディが透明なのはカモフラージュで、実はこっそりお腹の中で薔薇が咲いてるのかな?

首を傾げる私にノヴァイハが説明をしてくれた。


「イバラキは種固有の空間魔術を体内で使えるんだ。本体と花は体内に空間魔術て作られた亜空間の中にあるらしいよ。しかも、どうやらその空間は他のイバラキの体内にある亜空間とも繋がっていると言われているね。その空間の広さは大陸と同じとも。」



うわぁ…予想より大規模でした。



「亜空間のなかには見上げるほど大きなのっぺりとした顔の座像があるとか…沼があるとか…まあ、その辺りは実際見た者が居ないからわからないけれど」


ノヴァイハの説明に合わせてイバラキはえっへん!というように胸?を張った。

可愛い。

もうイバラキじゃなくてイバラキちゃんって呼ぼう。


「凄いなぁ…イバラキちゃん」


私は掌に乗せた赤い花をまじまじと見た。


うん、どこからどうみても薔薇。


「昔呼んだ本にね、この花によく似た花があって…愛の花って言われてたんですよ。相手に送る本数で意味が変わって…2本で『この世界に二人だけ』3本は『愛しています』っていう風に…999本まであったんです」


「へぇ…」


「999本は『何度も生まれ変わっても貴女を愛する』って意味で…一番凄いのは100万本だったかな?」


あんまり覚えていないんだけど…

まあ、調べ様がないからバレないしいいよね。


私は掌の赤い花をノヴァイハに「はい」って渡した。

イバラキちゃんの吐き出した薔薇もどきだけど。

さっき落としちゃったけど。


「一本の意味は『あなたしかいない』ノーイにぴったりですね」


愛してるとか死ぬまで一緒とかはまだ渡せないけれど。

私がこの世界で本当に頼れるのはノヴァイハだけだから。


ノヴァイハは酷く真面目な顔で薔薇を受け取った。


「ありがとう、すごく、凄く嬉しい。こんな素敵な意味があると知っていたら私がツムギに贈っていたのに…」


そういって私を抱き締めた。

ノヴァイハの顔はもう見えないけれど…


「私も贈るよ、気持ちの数だけこの、花を」


普段より少し硬い声音と、普段より少しぎこちない抱擁になんとなく違和感を腕の中で感じていた。


それに…


ノヴァイハならもっと喜ぶかとおもったんだけど。


って、少し残念な気持ちになった。








そんな事を暢気に思っていた、あの時の私の口を




塞げるものなら塞ぎたい。




朝起きたら辺り一面、赤い花だらけ。

ベッドも床も隙間がないほどに赤、赤、赤。


赤い薔薇もどき。


窓の外まで…もう、見渡す限り薔薇もどきだらけ。


足元にはぷにぷにボディがカサカサに干からびたイバラキちゃんが、カサカサ蠢いてた。



音がアレみたいでちょっと嫌だ。




「一万本と言わずイバラキの腹の中の花を全部君に贈るよ愛しいひと」


窓辺で満足気に微笑むノヴァイハのその後ろでは、わっさわっさと絶え間なく涌き出る薔薇もどきに対しての怒号と悲鳴が聞こえた。



ああ、なんてこった…


思わず頭を抱えそうになった所でカサカサと蠢いてたイバラキちゃんが

ポンってなにかをまた吐いた。


それは真っ白な薔薇の花もどき



私はそれを拾ってノヴァイハに渡した。


「意味は?」

ウキウキと期待に溢れるその顔に思わず苦笑してしまう。



「ありがとう。かな」



白い薔薇の意味は


「約束を守る」


あとは…


「無邪気」





ノヴァイハはこの後、兄王さまにすっごく怒られた。



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