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竜のしにかけつがい  作者: ちかーむ


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狼狽える竜

王城から派遣された治癒師ミルエディオは番の様子を見て思わず息を飲んだ。生きているのが不思議なほどの怪我だ。


「これは…ノヴァイハ様の番の方は非常に危険な状態です。ヒューフブェナウ様の時限魔術がなければ恐らくは…この状態では王城への転移は非常に難しい。転移時に術が歪めばどのような影響があるか…」

「ここでの処置になるか?」

「ええ、そうですね。まずは体の傷を治してから王城に移動その後魔力の流れを調整しましょう。しかし…」


ここまで体が壊れていて番の方が目を覚ますかどうか…

人の脆い精神は目を覚ました時どうなっているのか…



そういいかけて…しかし、ミルエディオは結局その言葉を口には出さなかった。


可能性の話でしかないのだ。


目を覚まさない己の番をノヴァイハ様がどうなさるのか考えるだけても恐ろしい。


「ヒューフブェナウ様、時限魔術を解いた瞬間に治癒を始めます」

「ああ解った」

ヒューフブェナウ様の硬い声とともに番の方の時間が動き始めた。


こぽっと口から赤い泡が溢れた。

止まっていた血がボタボタと垂れ始める。


「ミルエディオっ!」


ノヴァイハ様の悲痛な声にうなずきで返し、抱かれたままの番の方に治癒を次々と重ねがけていく。


治癒光がくるくると番の方の廻りをまわる。

まずは止まりかけていた心の臓と肺をそして砕けた骨を、潰れた内蔵を、破れた皮膚を治していく。


頭の破損が体に比べて少ないのは幸いである。


いや、幸いなのだろうか?


通常このような場合、頭も損傷しているはず…

頭は意図的に潰さずにいたのなら?


こんな小さな子供にいったい何を…


消費されていく魔力の量に背かにヒヤリといやな汗が流れる。

頭以外を念入りに隅から隅まで潰されたその怪我の意味は…?


怪我の多さに本来ならば一瞬で終わるはずの治癒魔術が長く続く。

息を飲む音さえ聞こえそうな緊張感の中、ようやく治癒光がゆっくりと小さくなっていく。


光が消えたならば体の治癒は完了である。



「ノヴァイハ様、王城へ転移いたしましょう。」


ふらつく体をヒューフブェナウ様が支えてくださった。


「あちらに転移陣をご用意いたしております。」


「ああ」

ノヴァイハ様はそうっと壊れ物を扱うよりもなお丁寧に、愛しい番を抱きしめる。


それはごくありふれた番同士の姿。


その姿を見送りながらこの後に悲しみが待たぬことをミルエディオは願うばかりであった。





王城の転移陣からそのまま自室に転移する。

愛しい番を興味本意でこちらを伺うような輩に見せる気は微塵もない。


そうっとベットに番を降ろす。


濡れたままでは可愛そうなので服も髪も乾かし清浄魔術をかけ血の痕を消していく。

そのまま寄り添いたかったが、番を迎えたからには用意するものも多い。


まずは食事。

この子は何を食べるのだろう?

綺麗な花も服も用意しなければ。

それにこの部屋ももう少し変えなくては番に相応しくない。


そういえばこの子の性別はどちらなんだろう?

綺麗な黒髪は肩で短く切られているのだから男の子かもしれない。

綺麗な顔をしているから女の子にも見える。

どちらだろう?


触れた手はふにゃりと柔らかく…子供のようだった。



そっと手をもちあげると手首にきらりと光るものが


金色の鎖



それは王族が奴隷に堕ちたときの印。



腹の奥にどろりと怒りがこみあげる。


しゃらりと音をたてたそれには小さな石がついていた。

複雑にカットされ輝く石の色は薄い青色


青。


青い色を持つものがこの子の主人だったということ。

私以外のものがこの子に触れてこの子に…


ぶわりと怒りが膨れ上がった。





この日2度目の爆発が王城で起きた。




直後

「この大馬鹿者!城を壊すな!!!」

部屋にはの叫びが響いた。




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