死にかけの私
ドンッと衝撃をうけた。
あ、浮いてるって思ったらそのまま落ちた。
グシャッって嫌な音がした。
一生聞きたくないような生々しい音。
呆気なく人が潰れる音。
自分の体が潰れる音。
わたしの命が終わる音。
『…あれっ?またぁ?おっかしいなぁ…』
やけに能天気な声がすぐ側で聞こえて目が覚めた。
さっき寝たばっかりなのに…寝てる人の耳元でしゃべらないで欲しい。
『なんで死ぬかな~おっかしいなあ…』
そりゃ、トラックに跳ねられれば誰だって死ぬでしょ。
『いやいや、君ねぇ~死にすぎだからね。君の前もその前もその前も…どーして寿命を全うしてくんないのかなぁ?困るんだよね、こっちにもさぁ、予定ってもんがあるんだよねぇ~』
私の前?
『そう、もう何回も…ってあれ?今誰と話してるんだっけ?』
あなたが大きな声で騒ぐから目が覚めたんだよ。
『いやいや、うちの魂は監理局で喋る力はないはずなんだけど…』
うちの魂?
監理局?
『って、あっれーー?この魂…なんか模様ついてる?…センパーイ!センパーイ!!ちょっと、ちょーっとこの魂みてくださいよぉ~』
模様?先輩?
うえっ!振らなっ!ふらないでっおええぇ!!!
『んだよ、仕事中に遊んでんじゃねえよ、ん?んん?あぁ?!てっめぇ!!これ俺んとこの魂じゃねえかっ』
おえっ…なんか新しい人出てきた。
この人が先輩かな?
『ギャー!!!まじっすか!?これ、やっぱりつがいもん!?ってことは…やっべぇ!!!』
つがいもん?なにそれ?
うえっ!ふらないでぇぇぇ!!
『おまっ!!このつがいもん、あいつのかっ!!くっそ、どうりで出てこねぇとおもったら…犯人てめぇか!!うちの世界が壊れるところだったじゃねぇかっ!!!』
うわぁ…この先輩怖い…
『ギャー!すんません、マジすんません!!今からそっち戻しますから怒るのはマジ勘べ……あっ…』
えっ?
不穏な「あっ」の直後にふわって浮いた。と思ったら凄い勢いで落ちていく。
『てっめぇ!落としてんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!』
『ヒイイイイ!!!あの魂まだ体とくっついてるうううう!!!』
『ボッロボロの瀕死じゃねえかーーーーー!!!終わった…俺の世界が終わった…』
落ちていきながら思ったよ…
使えない後輩を持つと大変なんだよね…って