神話をちゃんと読んでいますか?
実はここの所を語りたくてこのエッセイを書き始めたのだが、いつものようにちゃんとアドバイスをするとこの話がこんな所まで後回しされてしまった。
まあ、そんな話だが聞いて欲しい。
なろうテンプレートは、なろうの読者が求めている物の集積と書いた。
それを利用する事で、ハイ・ファンタジー『もどき』を作る事をこのエッセイの目的に掲げている。
あえて物語を終わらせることを力説した後で、今度はハイ・ファンタジー『もどき』になろうテンプレを『装飾』してみようと思う。
で、そこで必要になるものが一つある。
神話だ。
私は『スレイヤーズ』と『魔術師オーフェンはぐれ旅』をあえて『指輪物語』側に寄せてみた。
それは、この二作品が神を扱っているから……という訳ではなく、物語の根幹を貫くシステムによって物語を構築していると感じたからである。
『スレイヤーズ』の場合、第一話からラスボスだったがゆえに、その魔法と世界観を濃厚に出す事になった。
『魔術師オーフェンはぐれ旅』の場合、冒険者が勇者になる物語でキムラック編あたりからそれが加速していって行き着いた果ての終わりが世界の危機との対峙という実に王道な物語に仕上がっている。
この神話をトッピングする事で物語はぐっと奥行きが出てくる。
たとえば……
神と魔王が対峙する世界に勇者が呼ばれた場合、えてして神の側が不利な状況が多い。
よくある設定だが、それ故に、
「どうして神が勇者を召喚するほど魔王に押されているのか?」
を説明している物語はなろうファンタジー小説を見渡しても、驚くぐらいに少ない。
この「どうして?」がテンプレ世界を貴方の世界に変える第一歩なのだ。
先ほどの物語の終わらせ方で使ったやり方で神様の不利を考えてみよう。
勇者を召喚<<神が魔王に負けかけている<<神の弱体化<<神の信徒の減少<<魔王勢力による人への堕落化
ほら。
理由ができた事で、勇者の進む道がはっきりと見えてきた。
ハーレムを入れたいなら、そのように理由を考えればいい。
勇者を召喚<<神が魔王に負けかけている<<神の弱体化<<神の信徒の減少<<魔族の多産と戦争による人の減少
こうすれば、産めよ増やせよが正義になるのでハーレムも問題がない。
物語において主人公がやりたい事があるなら、その舞台を用意すればいい。
そして、その舞台背景に神話を用意出来たら、物語は途端にその色を貴方色に変えるのだ。
これこそが神話である。
神話とは神の物語であると同時に世界の物語である。
その神話を英雄の物語に組み込むのだ。
そうすると、一つのゴールが見えてくる。
英雄の末路。
これはたった三つしか無い。
王となる。
王に殺される。
すべてを捨てて去る。
状況に合わせて、物語を進め、この三つのどれかのゴールに英雄となった主人公を進めればいい。