世界の危機と英雄
「壮大な物語を作るのは簡単だ。
世界の危機に英雄が立ち上がればいい」
これは、かつて某所SF大会の夜の部という名の飲み会で聞いた言葉であり、私の創作の原点の一つである。
そういう意味においては、なろうの物語群を見ても、英雄たちで一杯なのだ。
では、何が問題なのか?
世界の危機の方だ。
あまりにもありふれてしまったがゆえに、読者も『作者も』世界の危機に慣れすぎて麻痺してしまっている。
その結果、世界の危機なのに冒険者が日常を歩むという物語が幅をきかせているのが、今のなろうのファンタジーである。
え?
ハーレムでイチャイチャしたい?
嫌いなあの娘にざまぁかましたい?
それはよく分かる。
私も大好きだ。
だが、その世界の住人のロールプレイをしてみよう。
勇者が世界の危機を解決するために、召喚して優遇しているのだ。
「イチャイチャもざまぁもしていいから、さっさと世界の危機をなんとかしろよ!」
これが、今のなろうテンプレファンタジーの弊害だと私は思っている。
そして、ここを改善する事で、テンプレでありながら他の作品とちょっと違う物語を提供するという事がこのエッセイの目的なのだ。