7話
少年はがむしゃらに走りました。
どこをどう走ったのかなんて覚えていません。
ただ、お母さんに会いたくて、それだけでした。
そうして、ふと気づくと、薄暗かった周りはいつの間にか赤く染まっていました。
薄暗いだけの怖い場所ではなかったのです。
ようやく落ち着いて辺りを見回すと。
少年はいつもの公園のすぐ前に立っていました。
見知った場所に少年が安心したそのときです。
「○○~、そろそろ帰るわよ~。どこに行ったの~」
少年を探している、母親の声が聞こえてきました。
「おがあざ~ん」
母親の姿を見た少年は、泣きながら一目散にお母さんに向かって走っていきました。
母親も少年の姿に気づいたようです。
「あら? もう、公園の外に出ちゃだめって言ったでしょ」
よしよし、と頭をなでるお母さんの腕とぬくもりに、
ようやく安心した少年は本当に泣き始めました。
突然泣き出した少年に少し驚きながら、
母親は「何か怖いことでもあったの?」と少年をあやします。
しばらくして、ようやく涙が止まった少年は
しっかり母親の手を握ったまま決して離そうとしません。
「しょうがないわねえ」
そう言いながら、母親の顔はにっこりとしたままでした。
えぐえぐと泣き、母親に手をひかれながら、普通になった少年は家に帰りました。
少年の後ろ姿に、寂しそうな猫がにゃあと、鳴いていました。
終わり




