2話
そんなある日のことです。
見たこともない綺麗な白いいぬが少年に声をかけました。
「君が動物と話せる少年かい?」
「そうだよ。ぼくに何か聞きたいことでもあるの?」
少年がそう答えると、犬はにっこりと笑ってこう続けました。
「向こうの方に楽しい場所があるんだ。一緒に行かないかい?」
少年はそれを聞いて嬉しそうに言います。
「楽しいところって、どんなところ?」
「たくさんの動物達が暮らしている、とても楽しいところだよ」
そう言ったいぬは腰を上げて、少年の返事も待たずに
どこかに向かって歩き出してしまいました。
「あ、ぼくも連れて行ってよ。お犬さん」
残された少年は慌てて立ち上がり、公園の外へと駆け出していきます。
他の動物たちを忘れてしまったかのように。
ずんずんと歩いて行くいぬの姿を、少年は必死に追いかけていきました。
いぬは一歩一歩前へ進んでいるだけなのに、走っている少年は追いつけません。
けれど、少年が疲れて立ち止まると、いぬのほうも立ち止まり、
じっと少年の方を見て少年が走り出すのを待っています。
まるで、「ほれ、早く来ないとおいていくぞ」と言っているようです。
少年が再び走り、疲れて立ち止まり、また走り出して、そして立ち止まり…
どれくらい進んだのでしょうか、いつの間にかあたりには白い霧が立ち込めてきました。
けれど、少年はいぬに追いつくのに夢中でそのことに気づきません。
だんだんと白い霧が濃くなっていき、いぬの姿が見えなくなってきます。
少年はそのことに気づくと、足に力を込めていっしょうけんめい走ります。
「まって、おいぬさん。ぼく、。おいていかれちゃうよ」
どうにか、いぬに追いつこうと少年は必死になって追いかけます。
それでも、いぬには追いつくどころか、どんどん離れていってしまいます。
やがて、少年が疲れて立ち止まると、いぬの姿はどこにも見えなくなってしまいました。
途方に暮れた少年が辺りを見回すと、
子供の大きさのような小さなれんがの門がうっすらと見えました。




