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シンデレラと前兆

 今日もシンデレラはいつものように日の昇る前に起きだし、ご飯を作り、奥方の魔の手(?)から逃げ延び、お姉さまたちからの暴言に耐え、割れた食器を見て嘆いていた。

 そんなとき、インターホンが鳴った。

 ピンポーンッ

「はーい」

 シンデレラは返事をしながら玄関へと向かう。

「あら、郵便屋さん」

「どうも。3日ぶりだね~」

 そこにいたのは、顔見知りの郵便屋さんだった。

「王宮からのお手紙です。都中の年頃の娘は全員出席するようにとのことです」

 そう言って差し出してきたのは招待状。薄っすらと青いその封筒にはこの国の王ただ一人しか使えない印が押してあった。

(ちょちょちょ勅令ぃぃっ!!!!)

 シンデレラは思わずそれを取り落しそうになった。

「ああ、大丈夫かな?」

 すっかり砕けた口調になった郵便屋さん。だが、そんな言葉もシンデレラの耳には届いてはいなかった。

「ななっ何で勅令!? そんなに暇なんですか、王様って!?」

「まぁまぁ、落ち着いて」

 郵便屋さんはとりあえず宥めようと試みる。物凄い剣幕に若干引いたのはモチロン内緒だ。

「いゃあ、王様もそこそこ忙しいと思うよ?」

「だったらっ! なんでっ!」

「んな、オレっちに言われても…」

 手紙だけ渡してさっさと回れ右をしなかったことを激しく後悔した郵便屋さん、だが時すでに遅し。そこらへんにいる魔王よりも数倍たちの悪いシンデレラという名の悪魔に捕まってしまいました―――――

 数十分後、やけに機嫌のいいシンデレラとぐったりと青ざめた顔をした郵便屋さんを見たのはぎらぎらと照りつける太陽だけだった。




「えぇっ!! 王様直々にわたくしに招待状を!?」

 せっかくのお昼寝の時間に起こされて不機嫌だった上のお姉さまは、シンデレラの言葉ではっきりと目が覚めることになった。

(正確にはそこらの淑女全員に送ったらしいから、それほど名誉なことでもないんだけど)

 そんなシンデレラの内心でのツッコミは無論届かず……届いてしまったらそれはそれで色々と怖いが。結果、上のお姉さまのいいように解釈された。

「まぁ! どうしよう! ついに陛下のお耳にもわたくしの美しさが届いたのね。ちょっとシンデレラ! 急いで王都一の仕立て屋を呼んで。とびきり素敵なのを作らせるのよ」

(あぁ、出費がああぁ…)

 この招待状、王様がだしただけとあってか、トンデモナイモノだったのだ。

 表向きは王太子殿下のご帰還祝い、しかし実際のところは――――――お嫁さん探し♡といったところだ。殿下本人がどこまで乗り気なのかは知らないが。

その上、下のお姉さままでやってきて

「あら、アンタはグラサムの男爵とデキているんでしょ?」

と上のお姉さまが聞けば

「なーに言ってるの。あんな貧乏男爵なんかより殿下の方が絶対いいに決まっているでしょ。それにたかだか男爵家。王城にすら来れやしないわ」

(うわ……とっても都合のいい女だわ)

 思わず引いてしまったのだが、幸いにお姉さまがたはシンデレラのほうを見ていなかった。

「シンデレラ!! ちょっとこっちに来て髪を結ってよ!」

「そのあとはわたくしよ!」

 シンデレラはお姉さまがたに気付かれぬよう、そっとため息を吐いたのだった。

家のパソコンが壊れました…

……いや、本当に遅くなっちゃってごめんなさい。

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