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夢と欠損

作者: 枝葉末節

思いつき。初投稿です。

友人が居た。大切な異性が居た。幸せな家庭が在った。


下らない会話で盛り上がり、有り触れた言葉で愛を伝え、変わらない平穏に安堵の息を漏らす。


その全てが消えた。


目が覚める。現実への回帰。夢との別れ。


冴えない頭で周りを見ても、その目に映るのは散らかった部屋だけだ。消すのを面倒臭がってバックライトが点いたまま放置されてるPCだけが、部屋の中で唯一光を放っている。


気だるい体を起こして、安物のベッドから起き上がる。ほんの数歩の距離を歩く事すら億劫だったが、それでものたのたと机と一緒に買ったこれまた安物のキャスター付き椅子に腰を下ろした。


右手にマウスを握り、カチカチと音を立ててブラウザを開く。最初に開くのはフリーのメールだ。新しく来たメールはオンラインゲームのメールマガジン、登録した覚えの無い出会い系サイト、9割以上が英語と思わしき謎の文。余計なものを迷惑メールにだけ登録して、適当な動画サイトに接続する。

気に入ったゲームの新着動画、今人気の動画、更にそこから関連動画と飛んで、暇を潰す。


一時間も経った頃、腹の虫が騒ぎ出した。ため息一つ零してから重たい腰を上げて下の階に下りる。


相変わらず人の気配はしなかった。父は既に居ないし、母は遅くまで仕事。朝の内に作られたラップに巻かれたおかずが台所に並んでいる。その近くにはメモがあり、当分帰って来れない、と言った事が書かれていた。何時も通りの事だ。


おかずとお椀に盛った米を電子レンジに入れて、適当な所に座る。


苛々していた。


別に今の所、何か問題がある訳でもない。


連絡を取る友人も居ないし、自分の様な愚図を愛する異性も居ない。父は何処かで新しい女とくっ付いて、母は居なくなった父の変わりに働いている。


腕に触れる。肉付きが薄く、とても力が有る様には見えない腕。色も白く、健康的とは言えそうにない。


顔を撫でる。何時の間にかヒゲは伸びていた。それと以前よりも頬が薄くなったようにも感じる。余りロクに寝てないのも原因だろう。もしかしたら隈も出来てるかもしれない。ここの所、生活リズムが酷く狂っていた。


目の疲れが取れない。目蓋を閉じてじっとしてると、夢を思い出した。


ここには、友人も恋人も家族も居ない。


不幸とは思わない。少なくとも、自分は生きていけるのだから。


辛いとは思わない。これが自分にとっての「当たり前」なのだから。


ただただ、何かを失ってしまったような感覚だけが、心を苛んでいた。


無機質な電子レンジの音が、酷く癪に障った。

夢を見たので、パッと意思の赴くままに書き上げました。とりあえず試しに投稿。多分、その内削除します。

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