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短編小説どもの眠り場

代わる変わる

作者: 那須茄子
掲載日:2026/09/16

今日の天気も曇り。傘を持たなくても、きっと雨は降らない。そう思えてしまうほど、空は曇り続けるだけ。まるであらゆる物や事が代替えされた後のように、馴染んでしまった。昨日の私なんか、妹のクレヨンの絵で、太陽の色が赤ともオレンジとも呼べる色であったことを、記憶を遡らせて照合させていたほどだ。そりゃ、六カ月ずっと曇りの日が続いていたら、太陽の存在自体忘れてしまうのも無理はない。光合成ができなくて枯れ果ててしまったチューリップの花(私が毎日庭で育てていた)の代わりに、曇り続ける空を恨んでいた時もあった。けれどその恨みも時間が経っていくにつれ、薄れて片付けられる。多分心のどこかの部屋に収納されてしまったからだ。育てていた花の代わりに持っていたあの恨みは、六ヶ月という長さには向かない。今となっては、どうでもいいことだと言えてしまう。随分と冷めた性格になってしまった。


変化はそれだけではない。私の外見でいうなら、太陽の陽に照らされていないからか、私の肌には日焼けがなくなっていた。私のアイデンティティが!と最初の内は困ったことになったなと唸っていたが、改めて考えてみると、日焼けは大人になるとシミになる。私も一応、女の子であるのだから、肌には気を遣わないといけないのだ。そんな女の子にとって大事な肌事情を、私は曇り空が続くこの日々で思い出せた。初めて女の子としての意識が生まれたのかもしれない。乙女になった私。これを機に、美容と化粧をしてみよう。


かつては太陽が燦々と注ぐ中を、走り回ることが好きだった私。走るとなると人一倍情熱を燃やすタイプだったはず(?)。遠い昔話のように語ってしまう、やはり私は変わってしまった。私を駆り立てたあの青く広い空は未だに姿を見せず、ただただ厚い雲に覆われている。もし空が青く澄んで、丸い太陽から焼かれるような熱さを身に浴びれば、私はまた走りたくなるのだろうか。いやむしろ、私は分かってしまう。異常気象では片付けられない、曇りばかりが続く空の下で、私はすっかりこの世界の住人として頭が回る。勿論、答えはノーだ。

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― 新着の感想 ―
寂しく感じる事があっても、悪い事と言う訳でも無いのだろう、きっと。
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