あああああああああああああああああああああああああああああああ
「いたいた、騎士長。うへえ、これが、バルガグルスか。アスハの奴、よくこんな物倒したな……」
町を襲おうとしていたボスモンスター、バルガグルス討伐跡地に、白銀の鎧の姿があった。
埃が舞う大地に汚れ一つない白はよく映えた。
オリオンの長、円卓会議を開き、騎士団長となったリーダー、アルス・エンドール。
彼はバルガグルスの亡骸を前に笑みを浮かべていた。
周囲には数人の転移者がドロップアイテムの獲得や調査をしていた。
しかし、町を救った英雄たちに拍手を送る物は誰一人いない。
「やるねえ、アスハ君も。恐らく、前のダンジョンで兄弟を倒してレベルが3に。そして今はこのバルがガグルス戦で4になった疑いでバランスに囚われた」
「じゃあ、本当にレベルキャップが?」
「ああ、解放されてるんだろう。次の上限も分かったものじゃないし、また忙しくなりそうだ。だがまあ、今は帝国人たちの保護を優先して。復興支援も惜しむな」
「了解。リーダー」
「リーダーか。今回の件で、僕ではなく彼女がふさわしいと思う人が出てくるかもしれないね。彼女は決まりに収まらず、正しいと信じた道を貫いた。僕らの助けなんてなくとも」
「それは違う。俺達には歴史がある。転移者の歴史を作ってきたのはお前だよ。それに、アスハは50年前を経験してない。この差は大きいと思うぞ」
「だといいけど、彼女はほら、スター性があるだろう? 大晦日の歌番組のゲストが年々変わるように、新陳代謝していかないとね」
「とはいえお前がリーダーなのは変わらない。レベルを気にするならモンスターを狩ればいい。このボスからドロップした素材でまた何か作れるかもしれないしな」
「かもね」
アルスはゆっくりとバルガグルスの死体から、何かを見つけた。
それは剣。漆黒の刀身を持つ、細身の片手直剣だ。
アルスは吸い込まれるように剣に手をかけた瞬間――
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
突然叫び声を上げたアルスに、転移者は慌てた様子で駆け寄った。
「どうした、エンドール……大丈夫か?」
「全て、理解ったよ。この世界のエピローグまでね」
転移者が見たアルスの瞳は、既に彼のものではなかった。




