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ペンドラゴンの騎士  作者: 内海郁


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3/5

0章ー3

 空中に映し出されるのは、1914〜18年の大戦における負傷兵テントの様子。

 そこでは多くの医療騎士が献身的に負傷兵を手当てしており、看護されている者たちの表情には安堵が浮かんでいた。

 また、別の映像では補給船から輸送された物資の管理を行なう騎士たちの姿が投影されている。


「次に、国内の騎士団立カデュケウス病院での勤務。

 こちらは騎士団の資金で運営される国立病院の一種で、常に最先端の医療や魔術、薬品の研究がなされています。

 騎士団内の負傷者だけでなく、一般人も入院可能の開けた病院として多くの人に親しまれています。

 もしかしてこの中にも世話になったという者もいるでしょう」


 映像は研究を行なう者や、看護師と共に看護にあたる医療騎士。


「他にも調査騎士団や守護騎士団と共に、事件の調査や用心警護に当たることもあるでしょう。

 後方支援として負傷した兵士の手当や、一般人の救護に当たることもあります」


 映像は廃屋敷の調査に当たる面々に切り替わる。

 そこでは、やせ細った少女の治療を施す若き医療器誌の姿が映し出される。

 少女の体はもう一人の長い黒髪の青年によって支えられており、二人は目配せしながら、少女の安全を確かめ合っている様であった。


「さて、次です。

 この黒髪の青年騎士の所属は前衛騎士団カタストロフ


 映し出されたのは、線上にて戦う前衛騎士団の姿。

 魔書を扱う部隊から、肉弾戦で戦闘を行う部隊までの一連の戦闘風景が映し出される。

 多くの生徒の視線にあるのは、先頭にて騎士を取り、自ら大斧を振り回す隻眼の騎士。

 その両脇には部、副官らしき異形の姿をした弊誌。

 彼らは圧倒的な戦力で敵を殲滅し、道を切り開いていく。 


 その様子を見た見習いたちの中には目を輝かせるもの、表情を歪める者と様々だった。

 新入生の様子を眺め、小さくため息をついたグレースは、説明の続きを行う。


「最も武力に秀でた騎士団と言えば、恐らく話題に上がるのがこの『前衛騎士団』。

 戦闘における最前線で、国を守る勇ましき騎士たち。

 国内最高峰の武力を持つ彼等は、正に一騎当千の実力を有する。

 英国の剣であり盾、彼等を表すならこの言葉が妥当でしょう。

 その強さを表現するには、剣を振るう腕、戦場を駆ける脚だけでは足りない。

 並はずれた精神力、そして一般兵たちを鼓舞し率いる先導者としての才が求められることがある。

 最も過酷な騎士団の一つであるが、燦然と輝く誇りが彼らの胸のうちには秘められている」


 そう言うグレースの表情は、ほんの少し。

 只少し顔を強張らせ、次の騎士団の紹介へと移るのだった。


 次に現れたのは、学生たちが幾度となく憧れた古城の風景、石造りのそれの中で学ぶ学徒。

 そう、流れてきたのはこの『アカデミー』校内の映像であった。

 ただ中心として撮られていたの、教室の中で教鞭を執る機嫌の悪そうな教師や、訓練に取り組むグレース自身。

 つまり、教員たちであった。


「教鞭を執り、未来ある若者を教え導く者、それが『教務騎士団』。

 その多くは元は別の騎士団に属しており、それぞれ専門的な技術を習得している者ばかり」


 すると、一人の学生が、静かに手を上げた。

 異国情緒を感じる、英国では珍しい中東の血を感じる少年であった。


「はい。

 何ですか?」


「先生も、元は別の騎士団所属だったんですか?」


 その質問にグレースは僅かに目を伏せるが、すぐに元通りの笑顔となり、頷いた。


「うん、いい質問。

 私は元前衛騎士団だったよ。

 今は脚が後付けの機械式になって、この杖無しでは歩けない。

 だが、教官としての責務は全うできるし、主希望者は直々に伸し倒すつもりだ。

 いくらでも相手をしよう。君も

 もしその気があるなら教務室に来るように。なんてね」


 パチンと少年に目配せを贈ったグレースは、華麗に素敵を舞わすと、更なるシーンへと導く。

 場面は代わり、職人器具が雑多に置かれた二つの映像を同時に映す。

 彼等の手元には本があり、一見両者とも製本作業をしているように見える。


「この光景を目にして『何か解らない』という不勉強な者はいないと私は信じているよ。

 これは『装幀騎士団』そして『修繕騎士団』の作業風景だ。

 魔書を扱う、と言う点では共通しているが、この二つの騎士団の性質は全くもって異なる。

 例えるなら、モノをゼロから作り上げること、元より十だった一を再び十に戻すこと。

 作業風景は似ていても、全く以て別物。

 彼等は別のプロフェッショナルだ。間違っても、同じだと口に出さないこと。

 各詳細へと移ろうか」


 まず映し出されたのは、柔らかな雰囲気を纏う栗毛の女性。

 丁寧に編まれた三つ編みを撫でながら、魔術式の下書きをしている。

 彼女の横から現れたのは、別の騎士団と思しき青年。彼は栗毛の女性に仕様書を渡す。


「魔書装幀騎士団は、魔書の生産・研究、古典魔書や写本の装丁など。

 魔書に関する研究の全般が行われている。

 紹介した修繕騎士団にも言えることだが、それぞれ城に常駐する者、各々工房を構える者の二通りがある。

 城では主に古典魔書の研究しや写本製作。

 工房を構える者は自作の魔書の管理販売など民間に対する仕事を行なう。

 それぞれの家庭の装幀技法を受け継ぐものはこちらを選択する傾向が多いですね。

 対して考古学に興味のあるもの、解読や研究に興味のあるものは城での勤務が適しているでしょう。

 何も英国における魔書文化を担う仕事だ。そして次」



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