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放課後のエンタングルメント  作者: 五五五 五
第三章 冬の果てに
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第123話 想定外

 エイダと朋子がセラフモドキから逃げてくるのを見て、篤也は即座に全員に指示を出した。


「よし、全員馬に乗れ! 撤収するぞ!」


 希美が未来を救い出すところは遠目にも確認できていたので、これ以上無理に戦う必要はない。

 ここまでは予定どおりだ。

 篤也は雷光の魔術を広範囲に撒き散らして、敵の群れをまとめて薙ぎ払った。

 その隙にそれぞれ手近の馬に跳び乗って、元来た吹雪の壁の中へと駆け込むつもりだったのだ。

 しかし、次の瞬間、吹雪の壁の中から伸びてきた無数の銛が、三頭の馬をことごとく貫いてしまう。


「なに!?」


 魔力で生み出されたエクウスたちは哀れないななきを残して、そのまま光の粒子となってかき消えた。

 茫然と立ち尽くす篤也たちの前に、吹雪の壁を抜けて金色の巨体が姿を現す。全身に生えたトゲをしならせながら、地響きすら響かせていた。


「二匹じゃなかったのかよ!」


 新たに現れた二体のセラフモドキを前にして、藤咲は悲鳴じみた声をあげた。


「てめえらは下がれ!」


 慚愧が大刀を手にセラフモドキの前に躍り出る。頭上から降り注ぐ銛の雨をかろうじて大刀で払いのけるが、その表情に余裕はない。


「下がれって、向こうにもいるんだが!?」


 喚く藤咲だが、それでもここに止まるよりはマシと判断したのだろう。朱里たちとともに廃村の奥へと走って行く。

 振り向けば、エイダたちは、すでに進路を変えていた。自分たちを追っていた二体のセラフモドキを(エクウス)に乗ったまま別の方向へと引っ張っていく。そのまま逃げ回っていれば、あるいは向こうは戦わずにすむかもしれないが、こちらはそうもいかない。

 鈍重に見えるセラフモドキだが、この深い雪の中、馬無しではとうてい逃げ切れない。

 篤也は覚悟を決めて金色の回転鋸(バトルソー)を構えると、セラフモドキの前に立ち塞がった。

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