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2‐2

いざ綿あめを購入しようとしたその時、後ろから肩を叩かれ振り返るとそこには学院服に身を包んだアカリとユキネが笑顔で立っていた。


「すっごいでしょ!ここは商業都市だからね。イベントの日にはこんな風に出店が並ぶんだよ。でも、学院生はイベント終了後まで買い食いは禁止なんだよ。ほら、しおりにも書いてたでしょ?」


その一言に絶望したのか、ヒスイは目を潤ませて体を膠着させる。そんなヒスイの絶望を解いたのは他でもないシスイだった。


「それは一般生の話だよな?俺達は特待生。これくらい許されるんじゃないか?」


「ほう……今代の大賢者は聡明のようだな」


「ゼロ先輩。去年ライトが入学した時も同じようなこと言ってませんでした?自分たちが賢いって言ってるようなもんですよ」


「アカリにはそう聞こえるか?それならそれでいい。で、そこの今代の姫君。名は?」


「……ヒスイだ。その服装、3年の先輩っすか?」


「あぁ、刀剣科3年特待生のゼロだ。お前ら風にいうなら、冥王アモンの生まれ変わりってとこか。」


ゼロは軽く肩をすくめながら続ける。


「魔法学院は不思議な場所だ。色んな生まれ変わりが自然と集結する。俺たちのように冥王だったり、そいつらのように獣だったりな。獣の中でも幻獣種だったり、そこの双黒の大賢者だったりーーおっと、喋りすぎたか。」


シスイからの冷たい視線を感じたゼロは、そこで言葉を止める。


一方、ヒスイはぽかんと口を開けたままだった。


(え……ひぃたん、なにひとつ分からないんだけど!?)


冥王? 生まれ変わり? 幻獣? そもそも双黒の大賢者ってなに?

頭の中が「?」でいっぱいになっていると、ゼロがふっと微笑み、

ヒスイの目の前で静かに膝をついた。


「ヒスイ……いや、ひぃ。」


彼の低く落ち着いた声が、不思議と耳に心地よく響く。


「知っているかわからないが、お前もこの物語に欠かせない生まれ変わりの1人だ。

わからないことはなんでも聞いてこい。な。」


「え……あ、う、うん?」


ゼロの真剣な眼差しに気圧され、ヒスイは曖昧に頷いた。

そんな彼女の反応を見て、シスイは眉をひそめる。


「……随分と馴れ馴れしいですね、ゼロ先輩?」


ゼロは微笑みを崩さず、すっと立ち上がると、軽く手を振った。


「おっと、気に障ったならすまないな。」


そして、背後のユキネに向かって軽く顎をしゃくる。


「また今年もやるのですか?」


ユキネの問いに、ゼロは「当然だ」と言わんばかりに肩をすくめた。


「ああ、今オウガとチビとで動いているからな。お前らはちゃんと学院に2人を届けろ。」


そう言い残し、ゼロは軽やかに踵を返した。

ヒスイは彼の背中を見送りながら、小さく呟く。


「……なんか、変な人。」


「同感。」


シスイは短く答えながら、ヒスイの手を引いた。

こうして、一行は王立魔法学院へと足を踏み入れるのだった――。


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