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2人が施設から出ると、そこには談笑しながらヒスイの登場を待つ5人の魔法学院生が立っていた。
「お友達になりたい」と言っている人がいるということはシスイから聞いていたが、こんなにも多い人数を見たのは初めてで、ヒスイは咄嗟にシスイの後ろに隠れる。
その様子を見て少女がヒスイであることを察した5人は片膝をついて頭を垂れる。
「お初にお目にかかります、我が君。我らは今代の守護獣、俺は炎龍一族のオウガ!」
「白虎一族のアカリ」
「雷狼一族のライトだよ」
「風雉一族のユキネと申します」
「……毒蛇一族のシオン」
「「「「「我ら5騎、我が君を護るために参りました」」」」」
予想外の出来事にヒスイは呆気に取られて目をぱちくりとさせる。
「ひぃたんを護る?何から??」
「その体質から♪ ま、これからよろしくな!我が君」
そう言いオウガはヒスイに手を差し出すが、当のヒスイは何が気に入らないのか、それを表現できず地団駄を踏み苛立ちを表す。
「あーうん、わかったよひぃたん。みんな、こう見えてひぃたんの精神年齢は5歳で止まってるんだ。この子は守護者なんて望んでない。欲しいのは傍にいてくれる友達なんだ」
その言葉にアカリとユキネは瞬時に目を輝かせ、ヒスイの両手を握り合う。
「「では、我ら5騎とぜひお友達に!」」
「おー、じゃあ俺らはお前のことお嬢ってよぶぜ?ちんちくりんにはお似合いのあだ名だ!」
子供の扱いに慣れているのか、オウガがそのようにヒスイをからかうと、ヒスイもまたそれに応えるが如くそっとオウガの元へと向かっていく。
そして、容赦なく膝頭を蹴飛ばした。
「イッテェ!何しやがんだクソガキ」
「ふん!何かはその立派なお口に聞いてみたら?ひぃたんは強いんだから!」
2人が取っ組み合いになりポカポカとお互いを叩き合っている姿を、シオン以外はやれやれと遠い目で見つめている。そんな中、シオンはオウガの後ろ襟を掴むと後ろへ引き、ヒスイから引き離す。
「守護者を望まない、身体年齢15歳で精神年齢5歳のお姫さまか。覚醒夢でも見たことがない、初めてのパターンじゃねぇか。おもしれぇ。
今はまだ俺にはお前と共にいる権利がねぇのが残念だ。時が来たら俺が遊んでやるよ」
ヒスイにそう言い残し、他のメンバーには舌打ちするとシオンは頭を掻きながら踵を返していった。そんなシオンをヒスイはぽかんと見守る中、アカリはヒスイの頭を撫でる。