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ベルを持ち上げた瞬間、異臭がしました。



おそらく、いえ、これは間違いなく、中に何か詰められていますね?


ですが、怖くて中を確認する勇気がでません。


この呼び鈴は諦めましょう。



こうなったら、部屋の外へ出てみましょう。


自分から直接誰かいる所に出向けばいいの

です。




許可なく勝手に出歩くのは気が引けますが、この際致し方ありません。



フィオナは部屋の入口の扉へと向かった。


ドアノブに手をかけて押してみる。



ガタ、ガタ、と、開きません。



私としたことが、引くのですね。



あらあら? 先程と違い、引いてもビクとも動きません。


やはり、押すのですよね。



ガタ、ガタ、ゴ、ゴゴ、



っと、変な音が聞こえますが、心なしか、先程より数ミリ程度扉が動いた気がします。



何度確認しても、鍵などかかっていません。



「もう少し、せーの、うーん、きっと、開けてみせます。待っていてくださいね、旦那様」



フィオナは服の袖を軽く捲ると、扉の持ち手を掴み、身体全体を扉に体当たりするように預けた。



その可憐な容姿からは想像できない逞しい精神でもって全体重をかける。


実際にフィオナの上腕は、逞しい。


冬の厳しい寒さを凌ぐために、自ら木の枝を拾い、薪割りをしているのだ。



こんな、豪華な扉には負けません!



フィオナの中で、扉と自分との戦いと化していた。



ゴー、カチャカチャ、ズズズ、



と、先程の音に陶器のようなものがが擦れる音も混じり聞こえる。



「とぅえーい!!━━━ あ、開いたわ」




やっと部屋の外に出られたと思ったのも束の間、




ガシャガシャガシャーン



という盛大な音が鳴り響く。



「え⁇」


フィオナは目の前の光景に蒼然とする。


キャスター付きのワゴンが横転しており、

タイヤがくるくると空回りしている。


その周囲には、おそらく食器に綺麗に盛り付けられていたであろうと思われる食べ物が散乱。


もちろん、その衝撃で数枚の食器類が割れている。



フィオナは、開放感された気分から一転、サーっと全身青ざめる。



「ご、ご、ご、ごめんなさい! ど、どうしましょう‼︎」


フィオナは誰もいない廊下にも関わらず、

一心不乱に謝罪の言葉を紡ぐ。


な、な、なんということをしてしまたのでしょう‼︎


というか、なぜ扉を塞ぐように置いているのですか‼︎


いったいこんなところに置いたのは誰ですかー。


と、人のせいにしても致し方ありません


この散乱とした状態にしたのは、紛れもなく自分ですっ。


親切に朝食を運んでくださったのですね。


置き場所には問題ありますがっ。


食べ物を粗末にしてしまい申し訳ありません。それに、


しょ、しょ、食器がーー⁉︎


な、な、な、なんということでしょう‼︎


こ、これは、先程の紐の金額の比ではないかもしれません。


フィオ姉様……もう、私だけの責任では済まないかもしれません。


お父様、あぁ、ライアンの未来が……


ど、ど、どうにか、謝罪を、


一刻も早く旦那様にお会いしなくては‼︎





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