表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です  作者: 涙乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/26

12

外へ出たフィオナは、はぁっとため息をもらす。


旦那様に握られた手の温もりがまだ残っている。


このままではいけない。


自身の荒れた手を見て、先程のメアリー達のことが頭をよぎる。


彼女達の肌や手や髪質、そのどれもが自分なんかよりもはるかに綺麗だった。


仕方のないことですね。

ライアンが無事に一人立ちしたら、貴族籍から離れて、庶民として働いて生きて行くしかないかもしれません。


ライアンが結婚して家庭を持ったら、私の存在は邪魔になる。


ライアンにはルブラン家を建て直してもらいたい。


その頃の自分の年齢を考えると、結婚相手を探すのも、持参金のことも、ライアンの負担にしかならない。


それに、こんな荒れた手や、少し筋肉のついた腕……


「はぁ……」



今までおしゃれなどに興味を持たないように、抑制していたけれど、やっぱり綺麗に着飾って舞踏会にも参加してみたかった。


旦那様と一緒に参加できたなら、きっと一生の思い出になるでしょう。



自分の中に、まだそんな乙女心が残っていたことに戸惑うフィオナ。


ほんのりと芽生えてきたこの淡い恋心も、これ以上大きくなる前に忘れないといけません。


肩を落とし歩いていると、囁くような声が聞こえる。



「ティナ、ティナ、クリスティナ!」



フィオナはキョロキョロと辺りを見回すと、木の陰に隠れるように佇む人物を見つける。



庶民の男性がよく着ているシャツにパンツというスタイルで、帽子を深く被っており、手まねきしている。


「どなたですか?」


フィオナは警戒しつつ、その人物に声をかける。


その人物は顔全体がフィオナに見えるように、帽子を少し持ちあげた。


「っ! フィオ姉様!」



その人物は、「しー!」っと口の前に人差し指を立てて、声を抑えるように合図をする。


フィオナは周囲に誰もいないことを確認すると、急いでフィオーリの側に駆け寄った。


「クリスティナ‼︎ 」


フィオーリはガバリとクリスティナを抱きしめる。


「フィオ姉様、説明してください! というか、大変ですっ、人違いかもしれません」



「どういうこと?」


きょとんと首をかしげるフィオーリに、フィオナは今までの経緯を説明した。


「なるほどねー。どうりで、お会いした記憶がないはずだわ。じゃあ、ティナはどこで見初められたの?ねぇねぇ、詳しくおしえて。 というか、ティナ、あなた、ケチったのね?

 髪色が……ふふふ、なんだか、昔を思い出すわね。よくこんな風に入れ替わって遊んでいたわね。

 

いけないっ、あなたに依頼料を渡すのを忘れていたわ。うっかりしていて、ごめんなさい。

これを、受け取って。


でも、間違いだったのなら、あなたがカミングアウトしたら、全て解決ね。


嬉しい!」



フィオーリは満面の笑みを浮かべて、ポケットから小袋を取り出すと、クリスティナの手に持たせる。


ずしりとした重みにフィオナは動揺する。


「これは?」


そっと中を覗くと金貨が詰まっていた。


「姉様? ど、ど、どうしたのですこんな大金?受け取れませんっ」



フィオナはフィオーリに慌てて押し返した。


「いいのよ、これは依頼料含めて、迷惑料、受け取って」


「意味がわかりません!」


返そうとするフィオナと、渡そうとするフィオーリ。 何度も繰り返すうちに手が滑り地面に小袋が落ちてしまう。

ジャランと金貨が小袋から溢れる。


二人で慌てて拾い集めると、フィオーリはフィオナに押しつけた。



パキッと枝を踏む音が聞こえてくる。


「誰か来るわ。もう帰るわね、ティナごめんね!でも、ロシュフォール伯爵様のお相手が私ではなくて本当に良かった‼︎手紙が入っているから読んでね」



「ちょっと、待って」


フィオーリは素早く立ち去って行く。

帽子からはわずかに金髪が垣間見える。


姉様、髪色は染めていないのですね。


フィオナは無理矢理渡された小袋を手に持ったまま、その姿を見送っていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ