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ビギニングサマーツインテール

開いていただきありがとうございます。娯楽の足しにぜひ。

 「何者かになる」というフレーズはやはり、何というか、いいものだ。


 この十七年、可も無く不可も無くだった気がする。大体が普通であり、学校に行き、家へ帰り、ぼちぼちの成績を取る。家に帰れば、好きな事をする。いいのだ。別に変わらずとも。しかし、テレビやネットを見れば同年代、ましてや年下で何者かに成った輩が沸いて出てくる。そして身近にも。嫉妬、とかそんな感情では無い。だが、普通の人生なら他の人と変わらない。なら私は私である必要も無く、他の普通の人間でいいのでは無いか、いる意義はさほど変わらないのでは無いか。と、そんな気がするのだ。有名人が死ねば一気に話題が広まる。インターネットでは、心から悲しむ者、善人ぶったコメントを打ち込む者、聞いてもいない自分語りを始める者。色々な人が活発になり、死んだ人によっては、社会の雰囲気だったりが大きく変わる。そんな時、不謹慎で、本当に失礼で、虚しくて、情けなくて、でも、死んだその人を「羨ましい」、と思ってしまうのだ。


 明日はいつもよりちょっと早く起きてみようかな。


 今日が終わり、今日が始まる。昇り行く朝日が私を照らす。黄金色とも形容できるその塊は、何と美しいものなのかと見惚れて、一瞬動きが止まってしまう。街並みの彩度がぐんと上がり、瞬きをしてしまうような反射光が辺り一面を射す。光の射す部分は燃えるように明るく、影の部分は何処までも暗く。暖色で構成された風景は、何故か涼やかな感覚を私に与える。無防備にも開け放たれたベランダに、朝特有の肌を包み込み、纏えてしまえるような、心地よい風が吹く。少し肌寒い。だがそれがいい。視界全てに景色が広がる。まるでこの世界の一部になったかのように思えた。


 目が覚め、スマホに目をやる。11時か。まあいいだろう及第点である。いや、まあ、その、何と言った物であろうか、違うのである。さっきの朝日の件の事を言いたいのだろう。あれは、まあ、その、演出である。少しばかりの瞬き、というか、フィルターを掛ける、とも言えるし、何はともあれ人生には鮮やかさが必要だろう。まさか、私以外は、この世界の表現が全てリアルと思っているのではなかろうか。あれだろう。テレビにやらせがないと思っているのだろう。着ぐるみの中に人がいるのを知らないのだろう。それとも、サンタさんは居るとかだろうか。流石にそんな事は誰も思って無いのは分かっているし、皆、誰かを楽しませるための表現、と知っていて、それを踏まえて受け入れている。つまり、そういうことである。あれは私という人物を表現するための、いわば、少し派手目の自己紹介だ。そうだとも。ここで、「こいつ口だけか」だとか思う、想像力の無い輩に、いちいち言語化という過程を通して、吐いてやる必要もないだろう。いや全く辛いものである。理解を追い求める過程で、理解を避けるものとの出会いは避けられないようだ。すまない。凄い言い訳だった。やっぱり私は小物だろうか。一応目覚ましを早朝に設定しておいたのだが、二度寝したらしい。


 朝、というか、昼に近い時間に布団からのそりと出る。リビングへ行くため階段を下るのだがどうにも疲れるもので、それもその筈非常に暑いのである。まだ気分的には十分春なのだが、時間というのはこちらが思う以上にせっかちらしく、窓から見える雲も上へ上へと忙しなく伸びている。暑苦しい廊下を、ラクダに乗った旅人の如く進み、ようやくリビングに辿り着くのだが、カーテンは閉まっていて人の気配はない。どうやら私の両親は、可愛い一人娘を置いてお出かけらしく、ついでに朝ごはんも自分で作れという意思を察したので大人しくキッチンへ向かい、支度を始める。小さい頃は、三角巾やエプロンは身につけて当然という意識だったのだが、いざ生活の中でやるとなると普通に使わないものである。朝っぱらから料理とはやはり面倒で、しかし、ここで手を抜けば何とも敗北感が強いため、簡単だが、美味しい。そんな物を模索した。チャーハンはありかもしれない、いや、流石に朝からは重いだろうか、じゃあ味噌汁、は地味すぎる。ここは思いっきり高級イタリアンでも作ってやろう、そうだ、私は大きい皿にちょびっと載せるアレが、非常に嫌いなのだ。だから、大きい皿にものすごい量のイタリアンを積み重ねてやろう、そうしよう。結局、おにぎり、卵焼き、ウインナーという王道セットに落ち着いたのだが、図らずも感じるこの勝利の感覚は、全くもって偽物で無く、むしろ誰かに誇れるような、そんなものだった。さて、今日は何をしたものか。考えてはいるのだが、如何せん暑すぎて、頭が回らない。私の方がまだ回転してという事実に納得ならない。ソファーの上でゴロゴロ動きながら、ベストポジションを探しているのだが、今日に限り、なかなか見つからないため、少しばかり不愉快である。これも当然の如く暑さのせいと、責任を押し付けてみるもやはり、というか当たり前にそんな訳ではないため、やり場のない不快感を飲み込むのであった。流石に5月からこいつを使うというのは、人並みに遠慮してしまうところではあるのだが、干からびて情けなく死んでしまうのを防げると思えば、電気代など安い物だ。リモコンを足で手繰り寄せようと、奮闘し、少しの苦戦の後手に取る。いくら歳を重ねようと、こういうのは楽しんだもの勝ちである。幼少期に見たアニメの必殺技を、うろ覚えのまま叫び、リモコンをブンブン振り回す。何とも言えない気分になって、周りを確認したのは、別に恥ずかしいとかではなく、私の内に眠る、必殺技すら打ててしまう、そんな常人ならざる力を悟られないためである。まったく、超能力者というものは辛いもので、得る力の代償は日常の消失なのだ。日常に刺激が足りないいうのはよく聞くフレーズではあるのだが、驚天動地は日常というベースがあるからこそ楽しめる代物であると、どれほどの人が気づいているだろうか。下地のない非日常など寿司の乗っていない皿にわさびぶっかけであり、辛くて食えたものではない。と、もっともらしい事を言ってみれば、凄い人に見えるからもと思ったが別段そんな事は無い様だ。私は、安定を求めている様で、何処か刺激を求めている。様な気がする。もう何とも言えないまま、されど止まることはない日常に飽き飽きしているのかも知れない。もうこれ以上頭の中で何を言っても毒にも、薬にも、暑さの紛らわしにもならない。大人しく私はスイッチを押した。起動音と共に涼やかな風が、ということはなく、異臭と生ぬるい風が私に降りかかる。勘弁してほしいもので、季節が移り変わるころには毎回この現象を忘れている。窓を開けるのも、部屋から出るのも、やはりめんどくさい。耐える。うずくまって耐える。岩の如し。しばらくすれば、涼しい風が降りかかる。おお、これが楽園か。今まで岩と化していたのだが、涼やかな感覚を例えるのならば今の私はガラスといった所だろうか。私のように輝きを放ちつつも、繊細で、儚い、しかして色は無く、何処までも、染まらず、染まれず、からっぽだ。冷風が私を流れる。纏わり付いた不愉快さが飛ばされる感覚がして何とも心地よい。古くて醜い殻を破り、蛹を破り、羽化する。蝶となり、羽を広げる。しかし、羽化する条件がいかんせん室内に篭ることなので、飛び立つことは出来ず一生を終える。皮肉にも、美しくあるが、行き場が無い今の私とそっくりであり、不愉快の蛹をまた一つ纏ってしまうのであった。何を言っているのだ私は。とは言えどもやはり快適なもので、悠々自適な気分である。いや、少し待て。ここでエアコンというものについて敢えて語ってみるのだが、何とも不可解な物体ではなかろうか。よくよく考えてみてほしいのだが、自然界にあるものを組み合わせて、ボタンを押せば冷たい風が出る装置を作る。正直な感想、すごいを通り越し唖然である。当然の如くこれを作った人は天才である。おそらく死んだら悲しまれる側の人間で、成功者なのだ。それを踏まえて今の状況を振り返ってみるのだが、何と情けない物か。成功者の作った代物に肖り、ダラダラと怠惰の限りを尽くす。これはどこからどう見ても、何の言い訳の余地なく、凡人のお手本のような状態であろう。何だか無性に腹が立ってくるものだ。出かけよう。他人の才能の内では何も変わらない。ましてや家でどうこうなるわけがないだろう。


 まずは髪を結ぶ。髪型は当然ツインテールである。しかし、何故と聞かれても返事に困るのだ。世間では、可愛いとか、オシャレとか、流行だからとか、そこあたりが選定基準なはずだ。いや、違う。それでは良く無いのだ。別に、他人の髪の事までとやかく言うつもりは毛頭無いのだが、ここのこだわりは譲れないのである。無理に言語化するなら、ツインテールは「なんかいい」のだ。申し訳ないのだがこうとしか言えない。だがしかし、何より素晴らしく、均一で、美しい。何がいいのだろう。ツインテールの良さについての証明は人生のサブテーマにでもしておこう。顔を洗う水に身震いしないことへ、若干の季節の変化を感じつつ身支度をする。携帯と財布、あとは何がいるだろう。時代が進むごとに何だか荷物が減っている気がして寂しいものだ。小学生の頃などリュックに詰めても詰めきれず、どうしたものかと、荷物の角度を変えたりしたものである。普段より重いチャックを無理やり押したりもした。チャックが山場を超えた瞬間、一気に閉まるようになるのが何とも気持ちよかったのだ。ノスタルジーも程々に、出発だ。太陽は丁度真上。さながらスポットライトといったとこだろうか。今の表現はちょっと良いのではないだろうか。


 重だるい暑さの中、道を歩くも、特に目的地など無いため、ダラダラと歩く。土曜ということもあり、それなりに人にすれ違うため、道ゆくおばあちゃんあたりに笑顔で会釈をしてみるも、やはりどちらも限界のようで、ぎこちない表情の見せ合いになってしまう。しかし、こうして見てみるとそれなりに色々な人がいるもので、友達といたり、家族連れ、犬の散歩をしている人。人間観察が趣味、などと友人から聞いた時は、単純に気味が悪く、悪趣味だと思い揶揄していたのだが、いざしてみると案外楽しいのかもしれない。目の前でこんなことが起こったのだが、犬の散歩中のお兄さんが、目の前から吠えてかかってきそうな犬を見かけて、一瞬止まった後、進路方向を変えたように見えたのだ。なるほど、これは案外癖になりそうで、この後この人がどうなるか追ってみたくなり、少しだけ背中が名残惜しかった。もし今暑くなかったらおそらく追い回していたとこだろう。友人には今度さりげなく謝っておくと共に、新たな観察対象となってもらおう。しかし思ってしまうところもあり、こういうものは、案外身内ではなく赤の他人でやる方が楽しい気がするのだが、どうなのだろう。その答えも考えるだけではおそらく分からないため、どの道友人は一度観察しておこう。このように普段全く目を向けないもの、気にもしないものに意識を向けるというのは、案外楽しいもので、例えば、あれ、こんな道あったっけ、だったり、ここの建物入った事ないな、の様に視界には入っているにも関わらず認識できていない物が多く発見できるのだ。これが非常に愉快で、癖になるため、散歩というのはやめられないのだ。今は暑すぎて観察などできないが。前述した通り、散歩というのはかなり好きであり、明確な趣味だ。涼しげな気分になり、落ち着く。風景を眺めるのは楽しく、景色が移り変わるのはワクワクするものである。まだ行ったことない場所へ行くのも、冒険感があり好奇心がそそらるもので、次は何があるだろうかと、ゲームの地図埋めの様な感覚になる。夏はその全てを否定する。涼しさの欠片も無く、落ち着かないので風景を見る余裕も無い。知らないところへ行く気も出ない。否定ばかりしていれば愛想が悪いとよく言うが全くもってその通りで、もし夏という人間が存在するならば、おそらく特に生産性がある訳でもないのに、周りのことは否定ばかりするタイプの人間だろう。とは言っても私も頭の中で夏のことをぐちぐち言っている、同じ穴の狢であり、これもまた、暑苦しさと合わせて不快の種となった。街を進むもいつもと変わらぬもので、何とも退屈である。もしこれが秋であれば些細な変化で喜ぶだろうに、それが分からない。脳が、考えない。蝉は鳴き、遠くの景色は歪む。額から垂れた汗は頬を伝う。もうさながら夏であり、空は鬱陶しいほどに青々としていた。


 感覚が消えるとはおそらく、恐るべく、この事であり、暑さとは何のことかもはや思い出せない。目の前にはただその生物が映っている。だが、しかし、なんと言うか、そう言えど、されど、それは、生物と言うにはあまりにも幻想で、幻想と言うにはあまりにも生々しい。生々しいと言うには何処までも無機質であった。それは本当に、何の迷いも無く、何もせず、ただひたすらにこちらを見ていた。いきなり現れた。いつもの様に、この街へ歩きに来たその時。でかでかと居座る街頭ビジョン、小洒落たカフェ、室外機の回る薄暗く雰囲気のある路地裏、くたびれたサラリーマン。何もかもが変わらないこの街で、そいつのいるその一点だけが何もかも違い、そいつがいるこの街は、何もかも違った。今いるのがいつもの街かも分からないが、しかし、確かにいつもの街で、だけど何かが違う様で、されど、人々は何の迷いも無く、ただ、敷かれた線路の上を、止まるべき駅にも止まらず進む様に、日常の様に歩いて行く。私だけが、途中下車した様な、そんな感覚だった。


 「あんたは何なんだ」


 この状態であんたは何なんだとは何なんだと言いたいのだが、この静寂は恐怖そのものだったため、喋らざるを得なかったし、何と言おうかこのままいたらあの目、と言っていいのか分からないが、目としか例えようのないものに、吸い込まれて何も無くなる様な、何者でも無くなる様なそんな気がしたのだ。当然返事は返ってはこなかった。振り出しにまた戻った、と言いたいのだが、スタートがいまいち分からないもので、出会ったその時か、それよりもっと前か、あるいはもっと先なのか。帰る場所を失った様な、おかえりが聞こえない様な、そんな心具合で開始地点が掴めない。沈黙が始まる。何故こいつは私をずっと見ているのだ。その目には、怒りも、歓喜も、愛情も、悲しみなんて物ではなく、何でもなかった。私という一点を、いや、私というより、何か、もっと深い私を見つめられている様な感覚がする。逃げたい、でも、逃げられない。金縛りでも、脚がすくんでるということも無く、ただ、心が動こうとしない。まるでここが居場所である様に。居なければいけない様に。私はこの化け物に関わりを持った覚えは無いし、関わりたくも無い。でも多分、逃げれないのだと心では無く、私自身が悟った。それが私の役目の様に、私も見つめるしかなかった。驚くべき事であるが、古今未曾有の化け物と対峙した状態が、これ程までに俗っぽい言葉で表せられるとは思いもしなかったし、思いたくも無かったのだが、1分ほど見つめ合った結果感じた物が「気まずい」という感情であった。他人様と事実上の二人きりなことにそう感じたのでも無く、親族の前で少しランクの高い下ネタが流れたとか、そういう感じでもないし、でも無理に例えるなら、親に悪事を白状するときの様な、そんな気まずさが流れているのだ。余裕ぶって頭の中で喋っている様で、時間は正常に流れていて、少しづつ化け物との距離は近づいている。物理的には近づいてはいないが、確かに、心の側に歩み寄ってくる。おそらくここが死に場所だ。私は、結局何だったのだろう。


 化け物が切り捨てられ、その瞬間消滅する。居なくなった、と言うより、元からそんなもの居なかったとでも言いたげにその姿を失った。元々化け物がいた場所には、水色の髪をした、余裕ぶった男が立っていた。


 急に化け物が出て、急に死んだ。現実かも怪しいが、それは確かに、不確かなままに、私の前で消滅した。


 「おいおい失礼なんじゃあないかい、ツインテ女。おれぁ救世主だぜ。んな珍獣見る様な今すぐ目はやめるべきだ。」

 

 喋った。張り詰めて、割れてしまいそうな空気が、一気に融解した。しかし、何やら私が失礼な奴の様になっている。別にそんなつもりは無かったのだが、珍獣を後ろからぶった斬るのは流石に珍獣の中の珍獣すぎて、そんな目で見てしまってもしょうがないだろう。しかし、人を助けておいてそんな目線をされるのもおそらく、癪であるはずだ。というより、今の私は唖然という言葉が最も良く似合う。


 「ありがとう…ございます?」


 「何で疑問系なんだツインテ女。そこは【ありがとうございます!】がベストだ。」


 ツインテ女とはまあ、明らかに私のことであろうし、また、見透かしてるぜと言わんばかりのその目は、先ほどのものとはまた違う不快感があった。とはいえ、命の恩人であるのは事実であり、本当に心から感謝しているため、お礼は言わないとと思い、恐怖の余韻の中頑張って声を出してみたのだが、まさかこんな面倒な返答をされるとは思わなかった。


 「ああ…悪い悪い。別にんな空気にしたいわけじゃ無かったんだよほんとに。あのーあれだ、最近の高校生は最初は何の話を振ればいいんだっけ。」


 男は、頭をぼりぼり掻きながらぶつぶつ何かを言っている。先ほどの余韻が恐怖としてこびりついてるため、気のいい事、以前に普通に返答するのが難しかった。個人的にはさっきまで持っていた刀が何処へ消えたかが気になるのだが、目を離した隙に、いや別に離してない気がするのだが、気がついたら消えていた。


 「そうだ、アニメだ。最近こういう文化も市民権を得たみたいだし、これを聞こう。どんなの見てるんだツインテ女。」


 「え、あ、えぇと…。」


 この人多分あんまり、性格の割にコミュニケーションが得意ではなさそうである。あるいは、身内のテンションで初見で出すタイプか。私も別にグッドコミュニケーションではないため、攻めれたものではなく、私の中途半端な感謝がこの気まずさを生んだなら、それは私の非である。


 「…エヴァですね。世界観がたまらなくて。」


 言い切りではなく、少し感想も混ぜたことで先ほどより愛想は良くなり、次にも繋げやすい…かな。


 「エヴァー??いいねえおれも大好きだよ!エヴァ!劇場版なら序破Qどれが好きだ?」

 

 「んー…まあやっぱりQですかね。エヴァっぽさもあるしやっぱカヲル君がね…良いですよね。」


  反応はどうだろう。割と無難な返答なはずだ。


 「はは!あんたは確かにQが好きそうだ!おれぁそう言うって思ってたぜ!」


 「なっ…!」


 何が面白いのか、あひゃひゃひゃと笑う成人男性は、恩人であろうと、かなり苛立ち感じさせるのだが、ほんとに何しに来たんだこの人。いや、私を助けるためではあるはずなのだが。エヴァQというのは歴とした名作なのだが、複雑な内容で、一般層に受けない代わりに、オタクに受けそうという作品のため、エヴァQ好きそうというのは、これもまた歴とした悪口なのである。


 「あなた、一体誰なんですか?」


 「おおお!いいね!なんか今のおれ、謎多き意味深なキャラって感じの立ち位置だな!【一体誰?】なんて漫画でしか見た事ないセリフだが、言われてみるとこうも気持ちが良いものとは思わなかったぜ!はは!」


 誰かは知らないが、まあおそらくこういう人なのだろう。


 「まあ、とりあえず名前を。おれの名前は正流華(ただるか)サラだ。正しく流れゆく華だ。かっこいいだろ?まあ、多くを語らない方がかっこいいから、別にこれ以上おれの事を話す気はないけどな、やってる事は見ての通り。まさか聞いておいて自分が名乗らないとかはないよな?ツインテ女。」


 聞きたい所が全部すっぽり抜け落ちているのだが、これ以上聞いても無駄そうだしいいか。


 「私はツインテ女ではありません。射楽(いるが)ロナです。まじで最強、渡る明石海峡、地元マジラブいつも幸ある今をときめく女子高生です。」


 「後半は触れないでおくけどなんか苗字若干似てるから、キャラ被りしそうでなんか良くないな。」


 触れないでくれてありがとうございます。ちょっと無理して派手めの自己紹介を勢いでやってしまった本当に後悔している何でこんな馬鹿な事を。


 「さあて、親睦も深めたし、本題に入ろうか。ツインテ女。」


 「説明あるんですね…。」

 

 男は手をポンと叩き、まるで空気を入れ替えたみたいな表情をして立っている。あまり親睦という事もなかったし、普通に何というか、外にいるのが怖いためさっさと帰りたいのだが、やはりあの化け物のことはどうしても気になるので、あの事だけは


 「教えてほしい。だろ?」


 「…はい。」


 そもそも化け物を殺した時点で、普通では無いし、この人も明確に凄い人側の人間だ。今日は何だか朝から劣等感が強く、常に敗北している気がする。と、いうかエアコンの時と同じ様に、また凡人サイドなのが、何というか、もう、情けない。


 「一応出会ったからにはって事でわざわざ説明してるんだ。感謝しろよ?」


 男は口を開く。


 「は、はい。」


 「ツインテ女。あんたは恨まれたんだよ。誰かに」


 あの化け物、そういう類のものだったのか。というか私は誰かに恨まれているのか。この人生、自分の意見は出しつつも、案外愛想良く振る舞ってきたはずだ。しかし、この現代社会何がどう巡り、どう転び、転んだ弾みでどの様にどんな人に当たるか、分からない。知らぬ内に誰かの地雷を踏み抜き、ノーダメージで走り去っていたのかも知れない。


 「恨み。ですか?」


 「そう!恨み辛みの恨みだ。別に占見村のことじゃ無いぜ。」

 

 「何処ですかそこ!」


 本当に何処なんだそこは。


 「別に私はそんな恨まれる様なことはしてません。身の潔白を証明というか、白すぎて肌ペッパー君くらい白いですよ。」


 「ねぇ…そのギャグ、そんな面白くないよ?」


 「占見村に言われたくないです!」


 男はふむと考えた後、ニヤリと笑った


 「しょうがない、おれがギャグの真髄を教えてやるとするか。このまま滑りっぱなしじゃ可哀想だ。」


 「え?」


 何がこの男にエンジンをかけたのだろう。この話を引きずられる事の方が、よっぽど可哀想というか、悲壮感が強い。


 「愛想悪いね、ペッパー君はニコニコしながらもうちょい気のいい返事をするぜ。」


 「ペッパー君はもういいですってぇ…!」


 何かよく分からないものが急に始まったのだが、どうすればいいのだろうか。それより本題はいつ出るのだ。このままでは私はただ、誰かに恨まれっぱなしの面白く無い人である。


 「こういうのは心が大事なんだ。一歩下がって3歩進むって所かな。あんまりグイグイ行けば薄ら寒いんだよ。あ、こいつ笑わせようとしてんなって感じがする。笑いは過程が生むものであって、笑いは笑いを生まない。それを踏まえてツインテ女のペッパー君を見たら、アレだろ?この会話の中で一発かまそうって魂胆が見え見えだ。タネ全部見えてるマジックって感じがして興醒めさ。」


 確かに一理、とは言わずとも一キロ程度は分からなくもないが、このまま調子に乗らせるのもそれはそれで癪である。


 「そんなに言うんだったら、面白い一発ギャグ見せてくれるんですよね。」


 「梅沢富美男。」


 「ぶはっ!」

 

  こんな理論臭く語っておいて何で顔マネなんだ。しかも超似てるし。普通にこの男、顔がそこそこいいのだが、何処をどう変形させたらこうもそっくりになるのだ。


 「見たかい見たかい。これが、【笑い】だ。」


 「ずるいですよ!流石に急すぎでしょ!過程は何処行ったんですか!」


 「家庭に帰ったよ…。」


 まだ重ねるのか。鬱陶しい。鬱陶しすぎるぞこの男。


 「概念に実家なんて無いですよ!というかそれは普通に面白くないですし!」


 「いや、案外いい家族を持ってるかもしれないぜ。そうだな、長男の過程、弟が舎弟。母は女帝で父は童貞。」


 「父が童貞なんですか!?何で!?」


 「母って事だね。帝母マリアが。」


 「帝母じゃなくて聖母です!というか過程がキリストじゃ無いですか!」


 「そうだな。おれ達は知らず知らずのうちに神を忘れ、疎かに使っていたのかもしれない。まるで錆れた神社の様に…。」

 

 「いい感じにまとめないでくださいよ…。」


 よくよく考えてみれば、別にいい感じでも無かった。


 「突然だけどツインテ女は何でツインテールなんだ?あんまりこの歳でツインテールにしないだろ。なんかガキくさいって思われそうじゃねえか?」


 あ。この男、言ってはいけない事を言った。しかしツインテールである私は余裕がある。軽くあしらってやるか、という感じだ。」


 「ふう、愚問ですね。貴方は行動に理由を求めちゃうタイプですか?内なる情熱だとかパッションに身を委ねるとかは無いのですか。無いからツインテールを馬鹿にするのでしょうがね!」


 「え、嘘マジそこ地雷なの?あと情熱とパッションは同じだろ。急に饒舌になるし。」


 「そこを同じだろって指摘しちゃう所が、人間としての底見えたりって感じですよ。私は感情に身を任せてツインテールにしているのです。理論がどうだとか知ったこっちゃ無いですね!」


 普通に考えずに情熱とパッションを言っていた。まあ、ツインテールを前にすればどうでもいいのだが。


「はーん。全人類ロング連合会長のおれからしちゃ馬鹿馬鹿しい話だな。ごめんな、ガキの考え分かってやれなくて。」


「はあ!あんなバカの一つ覚えみたいに伸び散らかした奴らの何がいいんですか!下品です下品!あいつらトイレ流してやりますよ全く!」


 「あんた何も考えず喋るって意味の感情に身を任せる、だったのか?脳みそ左右に分配された?」


 何故理解してくれないんだ。ネットで批判されがちな政治家はこの様な気分をしていたのか。


 「失礼すぎですよ。もしツインテールに脳があるなら頭脳明晰な筈です。今頃手に形を変形させて東大受験してますよ。全く可愛い子供たちです…。愛おしい…。」


 「キモ…。てかスマブラにそんな奴いたな。」


 「いいですね格闘技もいけそうです。でも残念です。他の髪の毛には二本の腕が無いんですね…。」


 「腕言うな。このままだと調子に乗りっぱなしだな。」


 別に私は調子に乗っていない。ツインテールが凄いだけだ。私自身は大した事ない。私は、宿主として、保護者としてこの子達を勝たせてあげたいのだ。


 「よし、おれが完璧な証明でロングの価値と勝ちを証明してやる。一個目、ラインが美しい。」


 「え、急に!?」


 まずい、本当に感情だけでツインテールにしてるため、いまいち言語化しての反論ができない。


 「は、派手!」


 「二個目、上品。」


 「かわ…いい?」


 「三個目、何本か跳ねてるアレ、なんか良い。」


 マニアックすぎて分からない。どういう視点で女の髪を見ているんだこの男は。


 「え、えーっと。」


 「四個目、女子がふざけてやるロングの髪全部前に持っていく奴、好き。」


 何なんだ。何で謎の性壁暴露をしているのだ。怖い怖い。というか押し負ける。


 「五個目、そろそろショートにしようかな、とか言いながら長い髪の毛弄ぶくらいの時期、エモい。」


 「六個目、長い髪の毛、床に落ちてたらなんかテンション上がる。」


 「負けです!負けでいいです!普通に負けでいいです!てかキモいです!」


 「はは!おれの勝ちだな、じゃあツインテ女、負けたらどうするか分かるよなぁ?」


 ま、まさか、そんな悪辣非道な事をする男と思わなかった。しかし、私は敗北者だ。逆らう権利なんて、どこにも無い。


 「ほら、早くしろ、分かってんだろ?」


 「く、クソがあああああああぁああぁああッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」


 私はツインテールを解いた!

 


 


 「さあ、本題に入ろうか。」


 「どうせ訳分かんないダジャレを言うんですよね。」


 「ブルブル震えてたさっきより、威勢が良くなったかぁ?」


 この人にずっとペースを握られる気がして癪なのでプイとそっぽを向いてみた。しかし、これじゃあまるで


 「女子小学生かよ…。」


 実際言われると結構恥ずかしかった。


 「別に長々居座るつもりも無いからなおれは。さっきの続きだが、恨み、についてだ。別に」


 「占見村じゃないんですよね!!!」


 この会話を二度も擦られたらたまったものではない。もう一度始まるものなら、流石にぶん殴って占見村とやらに生贄として捧げてやる。いや、もし普通の村だった場合普通にこれを言うのは、シンプルに村に失礼である。


 「分かった、分かったって、落ち着けよ。悪かったって。」


 「…。」


 「あの化け物の正体は、心だ。」


 「心?」


 えらく抽象的ではあるが、もっともらしくもある様にも感じる。


 「そう。心、というよりそれが形を得た、と言ってもらって構わない。君にもあるだろう?心。あはは。でもめんどくさいタイプの人間は、【心なんてないよ、あるのは脳と心臓、そして器だけさ。】的なこと言うんだけど、ツインテ女は違うよな、流石に。」


 よかった。これで寺田心などと言ってたらもう私はもうどうなっていたか分からない。


 「誰かが人を恨む。そしたら当然なんかよく無い感じになるだろうが、それは誰にも知られずに外に漏れ出すんだよ。ひっそりと、潜む様にな。それがふとした瞬間に意思を持っちまう。それがアレだ。名前を、そうだな。上のお堅い連中は【特異的怪奇概念非所持生命体】、なんてガチガチもガチガチな命名しているが、まあ、めんどいから特怪とでも呼んでくれ。」

 

 「急にアニメの設定見たくなりますね。この会話側から見たら、痛いオタクの会話みたいですけど大丈夫ですかね…?」


 「うっせえ。それはちょっと気にしてんだよ。」


 気にしてたのか。


 「話を戻すが、特怪の行動は宿主の恨み方に準ずるんだ。【家族が包丁で刺されてめっちゃ犯人憎い!おんなじ目に合わせてやるぞ!むきーっ!】って時は当然包丁で相手を殺しに行く特怪が生まれる。ちなみにどの特怪も基本的な最終目標は、恨んだ相手を殺すことだぜ。物騒でたまんないよな。」


 やはり私は殺されそうだったのか。死ぬ直前は快感、だと言う噂を聞いたことはあるが、全くもってそんなことは無かった。ただ不快だったし、怖かった。


 「あれ、でもそいつに誰か殺されたってニュースは見ませんよ?あれですか、政府の情報隠蔽って奴ですか?」


 「はは。政府の陰謀とか好きな年齢か?でも、そっちの方がまだマシだぜ。」


 殺されてるのだから、マシも何も無いと思うのだがどうなのだろう。地獄に送られるとかそう言う類だろうか。


 「特怪に殺された奴は概念ごと消えちまうんだ。綺麗さっぱりな。死ぬと同時にそいつという存在が世界から消えて、元からそんな奴いなかったってことになっちまう。そして世界もそいつがいなかった前提のものに作り変えられる。だからそいつが死んだ事なんて誰も知らないし、そいつの事も誰も知らない。ツインテ女の友達も誰か消えちゃってるかもしれないぜ?」


 怖すぎる。そんな事あるのか。私はあと一歩でお葬式すらやってもらえない所だったらしい。


 「普通に怖いのやめてください!そんなの勘弁です。できれば不死身になりたいくらいですし。でも、倒してくれてありがとうございます。なんか胡散臭い印象もある人ですけど、おかげで助かりました。」


 私はぺこりと頭を下げる。よかった。まあ理屈はどうであれ終わった事だ。これからはもうちょっと安泰に生きようと心に決めた。


 「いや、普通に終わってないけど。」


 「へ?」


 何故?第二形態なるものがあるのだろうか。いよいよ結構怖くなってきたのだが。苦節十七年、誰にも知られず消滅など私がこの世界を恨んで特怪とやらになってもおかしくはない。


 「へ?じゃねえ。素っ頓狂にも程があるだろ。いいか、おれがやったのは一時的なもんで、別にあいつを倒した訳じゃねえ。まだあいつの本質が全然掴めねえし、ぶった斬るのが精一杯なんだよ。多分また沸いて出てくるぜ。というか、特怪を本当に全くの無にできるのは恨んだ奴か、恨まれた奴だけなんだ。そう、まさしくツインテ女の救世主はツインテ女って訳だぜ、なんかエモいなぁ!」


 「え!?私あいつと戦うんですか?嘘でしょ!?」


 びっくりして最後に言っていたエモいが何だに被せて言ってしまった。この話の何がエモいんだ一体。


 「はは!驚きすぎだろ!まあ、半分本当で半分嘘だ。実は、もう一個倒す方法があってそれは単純におれがあいつを封印してやるって事だ。消えはしないが絶対表舞台に出てこれねえから、まあ実質消えたみたいなもんだよ。」


 「なんで軽く騙したんですか…?」


 「なぁんかおもろい反応するかって思ったんだ。でもなあ、おれ的にはツインテ女自身でなんとかして欲しいんだぜ?なんかそっちの方が自分の人生に向き合うって感じがしていいだろ?おれの仕事減るし。あと単純に封印するにしても、相手によってやり方が違うから分析に結構かかる。すぐ安心の保証ができる訳でも全く無い。まあツインテ女の自由だな。はは。」


 こんな所で【はいやります】、なんて言うほど私は主人公でもなんでも無いし、別に人生とか向き合う気も全く無い。というよりあんな奴私がどうこうできるものでも無いのだ。ここは無難にこの人に任せるのが普通だし、それが当然なはずだ。でも、なんか、また普通だ。私はこの人に会ってから、いや、ずっと前から普通だ。何か起きないかな、などと言いながら安定を取っていて、いや、安定というか逃げなのかもしれない。私は私から逃げている。本当の私を見たくなくて、私の中に私を置いてきて、空っぽになって、何者でも無い私になって逃げ去っている。本当は私は今嬉しいと思ってしまっているのだ。少し前の自分が聞いたら激怒してもおかしく無いが、でも、私は非日常のお手本の様なものに出会って、心では喜んでしまっている。そして、やっぱり恐れている。でも私はー。


 「やります。」


 「へ?」


 「素っ頓狂にもにも程があります。やると言ってるんです私は。」


 「いや、あの、冗談だぜ?ここは、【そんなそれっぽく言われてもしないものはしません。てか無理でしょ。】じゃねえのか?あの、弟子に試練与える師匠かよ!ってツッコミとかほら。え、何そんな覚悟決まってるキャラしてんの?怖いって、一旦落ち着けよ。急じゃん。急に来るじゃん、まじで。こうなる要素今までの会話であった?今までのなんかスカした態度は!?」


 「スカした態度言うのやめてください。私なりに考えた結果なんです。ちょっと自力でやってみようと。気まぐれです。」


 私は強がることにあまり慣れていないらしい。こんな私らしくないセリフに何とも言えず、恥ずかしみが出てきた。


 「あ、ああ。分かった。オッケーだ。ええ…?」


 「あいつぶっ倒せばいいんでしょう?やってやりますよ!ステゴロですステゴロ。ぶん殴ったら大体黙るんですよ。」


 テンションが変に上がっている。


 「な訳ねえだろあほか。何考えてんのか分かんねえけど、どうせ言っても止まらないからもういいよ。」


 男はそう言って刀と、何やらよく分からない石ころを渡してきた。というか刀だ。かっこいいなこれ。というよりこれを一体今までどこに隠していたんだ。


 「その刀は当然あいつを切るものだ。特怪の本質を掴めば掴むほど良く切れるぜ。」


 「本質…を…その…はい。」


 「よくわからないなら分からないって言え。さっきも言った行動理由を理解しろって事だ。心の化け物なんだから、対抗策も言わば心だ。相手を心から分析し、理解し、ついでに覚悟ガンギマリの精神を持てば、刀の火力はツインテ女であろうとめちゃめちゃ上がるからな。せいぜい頑張ってみてくれ。」


 おお、なんか行ける様な気がしなくもない。


 「ツインテ女。あいつはお前に何をしようとした?」


 何を、と言うなれば


 「ずっと見つめてきていました。なんか引き込まれそうな感じがして、その、普通に怖かったです。」


 「じゃあその【見つめる】っていうのがヒントだな。よかったな、慌ててよく分かってなかったら大変だったぜ。何の対抗策もないまま再戦はきついだろ。」


 正直ヒントがあっても分からない。誰がどう私を恨めば見つめて殺す特怪が生まれるのだ。


 「そうそう、あとこの石は何ですか?」


 「あ、この石は家に置いとけば結界になるぜ。家ぐらい安心できる場所じゃねえとな。」


 便利グッズじゃないか。よく考えればこれを町中に置けば


 「ちなみにずっと浴びてたら体に負荷ががっつり掛かるから、一週間くらいしたら回収しろよ。当然持ち歩きは絶対禁物だ。人じゃない何かになっちまう。」


 現実は甘くないみたいだ。


 「それじゃあ、頑張ってみます。また会いましょう。多分電話番号はくれないタイプの人でしょうし。」


 「はは!よく分かってるじゃねえか。まあ、別に実際には謎多きキャラで行くつもりも無いから、必要そうになるか、助けてー!って叫んだら普通に行くぜ。」


 一応滅茶苦茶強かったため、かなり心強くはある。よし、今日から新しい私が


 「あ、最後に一つ。特怪が暴れ散らかした影響で謎の変な化け物が自然発生する様になっちゃったから。多分特怪と関わったツインテ女には見えるはずだし、ワンチャン近くに出やすくなってるかもだからそこんとこ注意な。」


「え!?は!?」


 正流華は目の前から消えていた。ふざけるなよ。助けてー!って叫ぶぞ。

わざわざお読みいただいて幸福の限りです。評価頂けたら有頂天です。

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