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文化祭の余韻

「もう、いいよ!」

「どうも〜、ありがとうございました~!」


 オレと佐久田は深く頭を下げて舞台から去った。


「いや〜、受けたな~」


 オレ達は楽屋に戻り、マネージャーがスマホで撮った動画で漫才のチェックをした。


「佐久田、ツッコミが遅いよ! ここはスパッといかないと」

「受けたんだからいいだろ? なっ?」


 佐久田はマネージャーに同意を求めた。


「村瀬さんの言うとおりです。今のままだと事務所としても『岩盤ベイヤ』との契約を打ち切らざるを得ません」


 佐久田はため息を漏らした。


「また契約打ち切りの話しかよ! 俺ら頑張ってんじゃん」


 否、ネタ書いてんのオレだから。


「マネージャー、ちょっと外してくれないかな?」


 二人きりになり、オレはウーロン茶を飲んだ。


「佐久田、オレは芸人を辞める」

「はあ? ちょっと待ってくれよ!」


 佐久田が涙目になった。


「高校の文化祭で漫才やって、それがたまたま受けて」

「それは俺らが面白いから・・・」

「お前が調子に乗って、本気で漫才師になろうってオレにしがみついてきて」

「お前だって乗り気だったろ?」

「普通に大学行ってって人生がつまらないから、2年くらいならいいかなって言ったよな?」


 佐久田は分かりやすくションボリした。


「学費のかからないうちの事務所の養成所で、専用の舞台もあるからオレもお前に付き合った」

「もうちょっと付き合ってくれよ」

「親父が倒れて家業継がなきゃいけないんだ」


 佐久田は土下座をした。


「頼む! お前がいないとダメなんだ!」

「無理だ。お前はいつまでたっても文化祭気分が抜けない」


 佐久田のお気楽な性格が芸人には向いてるんだろうけど、オレは限界だ。


「お前はオレと違って先輩達に可愛がられている。相談に乗ってもらうんだな」


 高校の文化祭の時でもオレは乗り気でなかった。佐久田の熱意に抗えなかっただけだ。


「オレはいつまでも文化祭の余韻にひたってられないんだ」

「頼むよ・・・」


 オレはマネージャーに解散する旨を伝えた。


「えっ? 村瀬さんが辞めるんですか?」

「アイツは社会不適合者だ。芸人以外じゃとても生きていけない」


 マネージャーがオレに抱きついてきた。


「そういう、大輝君の優しい所。好き!」

「弥生ちゃん」


 オレと弥生は家業を継いだ。

いつもご愛読いただき、誠にありがとうございます。


今回は芸人さんの世界を描いてみました。


しばらく短編が続きましたが、来年は長編にも取り組んでいきたいと思います。


今年は初めての感想をいただいたり、多くの方にアクセスしていただいて、とても励みになりました。


来年も、私の作品を読んで皆様に喜んでいただけるよう精進してまいります。


少し早いですが、よいお年をお迎えください!

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