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たとえ世界が滅びても  作者: リオン
8/16

始まり

夕日大会が始まる。


「続いて、学園長の話です。」


「青春しろよ!」


「ありがとうございました。続いて生徒会から。副会長の…」


林は軽く聞き流していたのだが、それを聞いて水蓮に聞くことにした。


「なあ、何で副会長なんだ?」


「あれ?聞いてなかったんですか?会長さんは今留学生を迎えに行ってるからいないそうですよ。」


「あ、そうなのか。」


林はそれを聞くと納得して、また聞き流す状態に入る。


「さて、がんばりますか。」


「まあ大会といっても屋台を回りながら遊んで、最後に夕日まで走るってだけですけどね。」


そう。夕日大会は縁日みたいなものだった。しかも、学校でやってない。


「あっ!林に水蓮!」


「先輩。リュウたちですよ。」


そう、今年の夕日大会は華神神社(ハナガミジンジャ)でやっている。


華神神社は栄華市南東部にある丘の上にある神社で、リュウとサクラの住んでいるところである。


「楽しんでね。僕たちもそのために準備したんだから。」


「ん?準備?」


「うん。希望者にだけど神社から家庭菜園用の種がもらえるんだ。」


それを笑顔で渡していくと。やばい、毎日参拝するようになるかも知れない。


「何処で配るんだ?」


「本殿だよ。」


華神神社は北に本殿。南西に花畑(神社の人が育てているらしい)。東に参道がある。


「リュウとサクラも配るのか?」


「いや、神主さんが隣で竹箒で掃除していてくれって。」


ああ、かわいい2人が巫女服で外にいた方が客が集まると思うしな。でもそれはそれでナンパが心配だぞ。


そんなことを考えていると、リュウとサクラは本殿に向かった。


「さて、水蓮。俺たちも行こう。………っておい。」


水蓮は綿飴を買っているところだった。


「…満喫してるな。」


「んんんはふぇふぇふほ。」


「ごめん。日本語で頼む。」


「あたり前ですよって言ったんです!」


「そうか。そろそろ俺たちも本殿に行くぞ。」


もらえたのはキュウリの種と紫陽花の種、白菜の種だった。満足だ。


家事をよくする俺としては助かる。食費が減らせるからな。


「さて、帰るか。」


「そうですね。」


傍から見たら恋人に見えるかもしれない。まあ水蓮だったら嬉しいが、残念なことにそんな感じは無い。


「楽しいな。高校。」


「そうですね。」


笑顔で帰っていく。







そして、何も無いまま6月になった。


このときから、俺の運命の歯車が狂いだした……いや、正しく動き始めたというべきか。




知らなくていいことも、知らなくてはいけないことも、思い出すべきことも、知ってしまうのだから。




「やばいよ……。」


教室に着くと、リュウが何故か落ち込んでいた。


「どうしたんですか?」


水蓮が聞く。


「僕に……ファンクラブが出来てたんだ!」


「ああ、結構前から…っていうか入学直後くらいからあったな。」


「そのファンクラブの半分が……男なんだ!」


「「………………………」」


あたりを沈黙が支配する。まあそれはそうだろう。一応男と明言してるけど、こんなかわいい子が男の子ってことは、正直信じられないし。


「このままじゃ……何かわかんないけどまずい気がする!」


「えっと……がんばってください…。」


そのままリュウは悩んでその日の放課後を迎える。その姿が可愛くて授業中、先生に注意を受けることもなかった。(なんなら頭ポンポンされてた)






「……案外青春校舎って使えるな。」


「そうですね。」


今日は部活が無い。だから青春校舎で遊んでいる。


「何かいいな。こういうの。」


少々時代が古い校舎にオレンジ色の光が差し込んでいて、趣がある。


「そうですね。時に先輩。」


「なんだ?」


笑顔だった水蓮の顔が不意に真剣になる。


「……やっぱ、何でもありません。」


が、また笑顔に変わる。


「なんだよ?」


「ふふっ。内緒です。」


笑顔で、おかしそうに言う。


「気になるだろうが。」


「でも内緒です。」


はぁ。まあいいか。言いたいときに言うだろ。


「………もし…………守りますから…。」


「ん?何か言ったか?」


「空耳じゃないですか?」


「そうか。」


少しだけ、空気に違和感を感じながら家に帰った。



次の日。


違和感は、消えない。


「なあ水蓮。なんで元気ないんだ?」


「…えっ?そんなことないですよ。」


どこかいつもの水蓮と違う。けど、本人がそういうなら大丈夫だろう。


「そうか。ならいい。悪いな。」


教室に着くと。違和感が酷くなる。


瞬間。激しい頭痛に襲われる。あまりの痛みに目を閉じ、地面にうずくまる。


「っ!痛ぇ…何だよ…これ……。」


頭痛が治まり、目を開けて立ち上がる。


「水蓮!大丈夫か?」


「……先輩!どうして……。」


水蓮もうずくまっていたが、俺が話しかけるとすぐに立ち上がり、驚いていた。


「何でそんなに驚くんだよ………!?」


水蓮に話しかけて気がついた。気付いてしまった。


「みんな!?どうしたんだよ!」


俺たち以外の人の色が褪せたようになっている。そして、まったく動かない。徐々に、消えていく。


「…先輩。…私たちは“聖戦”(ジハド)に来てしまいました。」


「聖…戦……?」


聖戦。確か宗教的な意義付けから正義の戦いとすること…だったか?


「これは魔術師による魔神を決める戦いです。500年周期であるみたいです。詳しいことはすぐに分かります。」


すると、目の前がだんだんと白くなる。


「じゃあまた会いましょう。きっとペアになれますよ―――。」



そして、俺は気を失った。


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