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たとえ世界が滅びても  作者: リオン
2/16

日常2

「ま…間に合った……」


「先輩がんばりましたね」


ゼエゼエと息を切らせながら集合場所に着いた。


褒めて欲しい。水蓮抱えながらここまで……300mくらいか、その距離をダッシュだぜ?普通無理だろ。……なんで出来たんだろ?


息を整えていると、入場の指示が出る。


体育館に入ると、周りのみんなが感嘆の声を上げていた。


「しかし、俺たちはさっき来たから」


「驚きません」


喋っていたら怒られた。


説教にはならないが厳重注意。イエローカード一歩手前だな。


校長の話が長い……わけなかった。めちゃくちゃな人だからな。


けど……落とし穴があったんだ。そう、奴だ。ふつうは奴の話はそんなに長くないはずなんだ。


「………であるからして、今年度の…」


現在、話し始めてから20分が経過している。


理事長さん、話が長いよ。校長を見習えよ。“若者よ、青春しろ!”の1言だけだったじゃん。いや、それもどうかと思ったけどさ。教育者として。


その後、10分。合計30分で話しが終わった。


「次は在校生挨拶。生徒会長、石鳴幽(イシナキ ユウ)さんお願いします」


あ、この人って特待生の1人の完璧人間だ。


「はい」


その姿が壇上に上ったとき、黄色い歓声が上がった。


それはそうだろう。ルックスは最高にクール。陸上インハイベスト8の運動神経。全国1位の学力。


何をとってもマイナスなところがない。おまけに、性格はクールだがなんだかんだ困ってる人を助ける。


これだけあれば有名に決まっている。この辺では石鳴を知らない人は居ない。アイドルみたいなもんだな。実際全国レベルで有名だし。


「……以上です。」


つっかえることもなく、完璧に読み終える。それによりさらに黄色い歓声が……上がらないで皆感動して泣いている。


「すごい声援ですね。」


隣で水蓮が言う。……これ声援か?泣き声も交じってるぞ?


「あれ?お前はキャーキャー言わないの?」


会長の姿を見たら女子は大体黄色い悲鳴を上げるだろう。それくらいイケ面なんだ。リア充なんだ。パーフェクト超人類的な人なんだ。


「言ったら嫉妬してくれます?」


「馬鹿いうな。俺が会長に嫉妬したら殺されるから。おもに追っかけとかに」


実際そうなるだろうから怖い。背筋が凍りつく。


「アハハハハ。それもそうですね」


何処からともなく笑う。幸せだ。


それに、俺はもう目立ちたくないんだ。地味に幸せに暮らせればいいんだよ。


そりゃ、小さい頃はヒーローにもあこがれたし、それを目指した。


でも……救うためには犠牲が必要だって知ったから……俺は…。


「どうしました?難しい顔していますけど」


そんなことを考えていたからか、水蓮が心配そうに覗き込んでいた。


「いや、ちょっと変なことを考えてただけだ。気にするな」


それを言うと水蓮は安心したように顔を綻ばせた。


「そうですよ。先輩は私の―――」


そこから先は放送と被って聞こえなかった。


「ん?何言ったか?」


「別に何でもないです。」


そういった水蓮の顔は笑顔で、輝いているように見えた。


「では新入生の皆さんは教室に移動してください。」


指示に従い、教室を目指す。


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