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たとえ世界が滅びても  作者: リオン
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日常1

春。桜が咲き誇るこの季節。俺はいつも通りに通学路を歩いている。

何も変わらなかった。高校1年になってもたいしたこともなく、目立とうとせず、目立とうとも思わない。


クラス分けを見て2組に行く。


……まあ、それでもそこそこ目立ってるんだけど。


「おはよー」


「ああ、おはよう」


クラスメートに挨拶され、挨拶し返す。


1年の教室は3階にある。昇降口で上履きに履き替え、教室を目指す。


教室に入ってそうそう、俺は話しかけられた。


「この前の大会ビデオでもう一度見ました!凄いです!」


ウキウキとしながら話しかけてくる俺の幼馴染。


この常に敬語を使う女の子は音崎(オトザキ) 水蓮(スイレン)。俺と同じ剣道部のクラスメートだ。


そうそう、俺は(ハヤシ) 鈴音(リオン)。俺は親にもう少し考えて名前付けろよ、と何回文句を言ったか……。


だって変だろう?林なんて日本人っぽい苗字にリオンとか外人のような名前なんて。


「そうでもない。相手が弱かっただけ。ただの運だ」


俺は剣道部に所属している。強さは上の下というところ。まあ水蓮には及ばないけどね。


俺が2人でやっと互角に戦えるかな?位の実力だ。俺は全国大会出場。こいつは優勝。


全国行けただけでもすごいと思うだろ?目立たない俺の唯一の長所。……まああんまりその事を話さないから知っている奴は少ないし、剣道はあんまり俺に合わないんだよね。


で、俺たちが在学しているのは私立栄耀高校。栄華市でもっとも大きい高校だ。学力レベルはトップクラス。何で俺が受かったのか分からないけど……。


栄耀高校には特待生制度もあるが、学校全体で3人しかいない。


栄耀高校は制服はなく、私服で登校する。学園長がまためちゃくちゃな人で、“青春”を謳歌するために校庭はとても広い。隣の市まで侵略している。


本人は夕日に向かって走るのをやりたかったそうだ。が、栄耀高校は栄華市西部にある。そのため、校庭が隣の市に行ってしまったとか。


校庭の面積が驚いたことに東京23区の5分の1ほどもある。だからか、山なんかも校庭の中にあり、電車も校庭を通っているし、川まである。


いわく、青春には必要らしい。


「先輩は凄いんです!どうして分からないんですか?」


ここで紹介しておこう。この敬語で話すのが音崎水蓮。俺の事を“先輩”と呼ぶが同級生だ。まあ幼馴染だから分るとは思うけど。


髪、眼、共に蒼く外人と見間違えるプロポーション。綺麗と可愛いが両立した顔。モテモテのリア充である。っち……


「先輩酷いこと考えてません?」


「何故分かった!?」


水蓮が思っていることをズバリ当てるから驚く。


「考えていたんですか!?酷いです!」


ぽかぽかと俺をたたいてくる。正直痛くない。むしろ癒される。


全国大会の話は俺たちが中学3年の頃の話。それ以前からこいつとは知り合いだった。


思えば長い付き合いだな。


……ん?俺たちは何時、何処で出会ったんだろう?


ぽっかりとそこだけが抜け落ちている。


「まあそんなものだよな」


赤ちゃんのときの記憶なんてない。物心ついたときから一緒に居るのなら覚えているはずもない。幼馴染だもの。


「何がですか?」


「おっと、入学式が始まるな」


水蓮が何かを言うがスルーする。無視じゃないよ?水蓮とのコミュニケーションの一つだよ?だから水蓮をスルーして席を立ってもいいのさ。


「無視しないで下さいよ!って置いてかないで!」


教室を出るとき水蓮が追いついた。


「あれ?居たのか?てっきりもう行ったもんだと思ってたんだが」


「酷いです!私ってそんなに存在感ないですか?」


いや、大分あるだろ。


「はいはい、いいから行くぞ。じゃないと遅れるぞ」


「えっ!こんな時間!?急がないとじゃないですか!」


少しだけ急いで俺たちは体育館に行った。


「って広っ!」


「そうですね!軽く野球とサッカーが2試合同時に出来ますね!」


これあればグラウンドの使用権の争いもなくなるな。


さて、2組は……あそこか。


「水蓮。こっちだ。」



というかこの入学式席自由で、新入生入場もないとか自由すぎだろ。


……新入生入場…………あっ。


「やべえ!こっち在校生の集まる場所じゃん!」


「そういえばそうですね。……ってまずいじゃないですか!」


俺たちは焦る。……前に行動した。


俺は水蓮を脇に抱えて集合場所までダッシュする。何人か先輩がこっちを見てるけどどうでもいい。誤解してくれたら……まあ、俺得かな。水蓮は得しないけど。


「先輩もっと急いでください!」


と、水蓮の応援。


「分かってるっての!」


抱えられたまま水蓮は抵抗せずに言う。何故抱えているかというと、水蓮は絶望的に方向音痴なのだ。さっき来るときも手をつないできた。


小さな田舎の駅でさえ迷うというある意味驚異的な才能を持っている。一瞬も目が離せない残念な方向感覚である。


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