✕分のいちくらい、多分、僕の娘
娘が弾けて、驚いて声をあげちゃって、更には僕の臭いがついた娘は獣から避けられるけど隠し子王子は血肉の臭いに寄ってきた獣に襲われて。
僕が起きて何となくこの辺りかなと探しに行った場所で二人仲良く混ざり合ってどっちがどっちだかわからないくらい原型をなくした姿を晒してそこにあった。
うーん、前に見たときより汚い……。
「僕の庭を何度も汚したの君くらいなもんだよ」
娘だから許してあげたんだから、もう勘弁してよねと肉片に言いつけつつ娘を掻き集めて拾い上げた。
娘はそこそこ残ってはいるけど王子を取り除くのはかなり面倒そう。
まぁいいか。こうなりたいって僕にあんなこと言って出ていこうとしたんだし。どうせ不足したところは補わなきゃならないもの。
「良かったね。僕に邪魔されることもなく永遠に一緒ではあるよ」
ツギハギして。皮を被せて。僕の力をかけて。
また子どもに戻った彼女に優しく聞かせてあげながら記憶をいじった。王子の記憶は要らないし。不良品になる経緯や心の変化も要らない。
綺麗に生まれたままの姿で元気に泣く子を抱えて僕は洞穴に足を向けた。
今度は成長を早めたりしない。ゆっくりじっくり、ニンゲンと同じように脳に体に必要な教育を施し成長を促す。
お仕置きは人間とはやっぱり異なるけど、お仕置きする時の僕を娘は怖がってくれたからたぶんこの生では僕に逆らわないだろう。
悪いことをしたら死にそうになるくらい叱って、お仕置きをして。いい子にできたらそれなりに褒めて甘やかしてあげて。
「パ、パパ……!ごめんなさい、ごめんなさっ、カヒュッ」
「……?あれ、加減間違えちゃった?」
結構いい線いってると思ったんだけどな。
娘が僕の足を踏んづけてきたから振り返りざまに壁に叩きつけて叱ったら娘は色んなところが折れて喋らなくなっちゃった。
上手く行かないなぁ。でも前二回と比べて全部残ってるから再生はしやすい。
体だけ治して、そのまま生活できるかな。精神が壊れなければいいんだけど。
治った娘は暫く眠ってたけれど日が昇る頃合いに目を覚ました。添い寝してあげてた僕に気付いた瞬間の顔は表現できないものだったけど笑ったら可哀想だと思って堪える。
「痛いところはない?ごめんね、父さんも力が入りすぎちゃったよ」
「あ、ぁ……っ、そんな、いえ、ごめんなさい、パパ」
震えて顔を真っ白くしながら幼い娘は必死に僕に謝罪を繰り返して、僕のしたことを許してくれたし僕も満足。
もうちょっと体を休めたら大好きな木の実を摘みにいこうねと約束して眠ることにした。
…………はずだったんだけどな?
起きたら娘は僕の腕から抜け出ていて。
トイレかな?と思ったけどもトイレとして使わせてる場所にも姿はなく。あ〜これはと額に手をやり苛立ちと失意を覚えてれば悲鳴がね。
「木の実を集めて僕の機嫌とりしたかったのかな。でも僕は別に何も食べなくても生きてられるし、ていうかそれは君の好物だったでしょうに。なんでこんなとこ来ちゃったかなぁ」
獣は確かにほとんどが避けるよ。でも植物にドボンは流石にどうかと思う。
強い酸で溶かされてかわいいお顔が見るも無惨。着せてあげてた服も勿論パァ。
「どうしよ、コレ。再生するのも躊躇うんだけど」
地面に落とし穴を掘ったみたいな形の花を見つめて、それに溶かされながらもゴボゴボなんか言ってる娘に辟易しながら溜め息を吐いて。
「しょうがない子だね。次はないよ」
暇だけど、僕は何者にも縛られない生きたいんだよね。人間みたいな寿命って概念がないから思いつきで子ども育ててみようかなんて考えたりしたけど、こんなに面倒ならもういいや。
溶かされない僕の手で娘を引っ張り出す。
勢いで取れちゃわないかと一瞬過ぎったのに反し何とかくっついてはいる。良かった。上と下がぶちってならなくて。
「甘えさせすぎても、怒りすぎても駄目って子育てって大変なんだねえ」
びちゃびちゃになりながら来た道を帰る。地面に水滴が落ちる度音が立つのを少し面白く思いながら軽くなった娘に子守唄を歌って。




