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藍上 おかきの受難 ~それではSANチェックです~  作者: 赤しゃり


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クリア条件 ④

「新人ちゃーん、こっち来て来て! 今日のこと早速ニュースになってるよ!」


「ちょっと山田もっと詰めなさいよ、あんただけのテレビじゃないんだからね!」


「空き部屋から1台追加で借りてきたで、あぶれた子はこっちぃ!」


「だぁーうっせぇ! アリス、お前ひとりでいいだろ俺は部屋に戻るからな!」


「むり……人いっぱい……」


「ギュウギュウ詰めですわー!」


 おかきたちが博物館から帰還した日の夜、寮のロビーには非日常的な人だかりが生まれていた。

 全員の注目が集まっているのはロビーに置かれた大型テレビ、そこに映し出されているニュース番組だ。 内容はもちろんあの博物館での出来事である。


「ふむ……メイク班、どう思う?」


「想像の倍フラッシュが多いですね、常人の化粧ノリなら光量に負けてました」


「普段使いメイクがベースなので撮影耐えできてないっすね、結果本人のスペック頼りになってるのでこりゃ猛省だわ」


「敗因は撮影前に歩き回る時間が長かったことかと、けど役者本人のツラが強いからここは……」


「演劇部の方々がガチですわ!」


「ロスコのやつおかきの男装仕上げたら真剣な顔で父親の名刺渡してきたわよ」


「ガチスカウトやんけ」


「それで問題の新人ちゃんはどこいったの?」


「気恥ずかしいって言ってキューと一緒に隅っこにいるわよ、これぐらい気にしなくていいと思うけど」




「……やあやあおかきちゃんは大人気だね、SICK(おいら)としては胃が痛くなる光景だけどあっちに混ざらなくていいのかい?」


「顔から火が出そうなので遠慮しておきます……」


「うふふ、心配しなくてもちゃんとかっこいいわぁ早乙女くん。 変装と認識阻害?で顔がぼんやりしてるのが残念だけども」


 クラスメイトたちがテレビに映る探偵部の姿に色めき立つ一方、おかきと宮古野と命杖の3人は遠巻きに学生たちの背中を眺めていた。

 傍らには認識阻害と盗聴防止のペンダントが無造作に置かれ、本日の主役を含む有名人たちを気に掛ける生徒は1人もいない。 

 ロビーの一角にぽっかりと作られた意識的密室。 その目的はもちろん、来たる会頭に向けての作戦会議だ。


「まず前提の確認しましょう。 私たちの目標はあくまで琥珀の心臓を手に入れること、その理由は対象物の異常性を確認するため」


「ただのオーパーツならそれでいい、けどSICKの認識としては“琥珀の心臓は異常性を持つオブジェクト”と考えて話す。 この業界じゃ警戒しすぎて損はない」


「門外漢から1つ質問いいかしら? そもそも異常性とは言うけどどういった特性か推測できるの?」


「うーん……それは本当に難しい質問だな、この手のオブジェクトには経験則や常識なんて通用しない」


 命杖の率直な質問に宮古野は難しい顔をして唸る。

 カフカの中で異常物品に対する経験値が一番高いのは間違いなく宮古野だ、そんな彼女ですら未知のオブジェクトに対する予測は難しい。

 初見殺し、不意打ち、経年による特性変化、見た目や出自からかけ離れた突拍子もない効果など、規則性という言葉をバカにするようなオブジェクトが多々存在するのだから。


「……正直完璧な対策は取れない。 だから悪い言い方をするならおいらは怪盗をモルモットにしようと考えてる」


「地雷原を歩かせてどこに地雷があるのか踏ませて確認する、ってことかしら? うふふ倫理観はともかく効率的ね~」


「とはいえ危険性の高い特性を持っているなら発掘された段階で判明しているはずです。 無論警戒するに越したことはないですが、触れたら即死するような類ではないかと」


「当日は低度記憶補強材や次元アンカーなどで広く対策は取る、だけど当時はどんなイレギュラーが起きるかわからない。 怪盗という存在も含めて危険な任務ということは覚悟してくれ」


「早乙女くん、いつもこんなお仕事してるの?」


「これでも今回はまだマシな部類ですよ、命の危機が前提じゃないですから」


「うーん……部長も早乙女くんも危ないことはやめてほしいのだけれど」


この病(カフカ)がどうにかなればそれも考えますけどね。 それよりキューさん、予定通り心臓は一度怪盗に盗んでもらうわけですが」


「ああ、難しいのは取り返すタイミングだよね」


 おかきたちのプランでは、博物館から琥珀の心臓を盗み出された後、怪盗を捕縛して取り返す必要がある。

 ただしそれも記者や館長たちの前で捕らえるわけにはいかない、琥珀の心臓とレプリカをすり替える隙が無いからだ。

 だからと言って無策のまま怪盗を逃がせば足取りが追えなくなる。 付かず離れず、その距離感が大切だ。


「琥珀の心臓にGPSを装着できませんか?」


「あの半透明なボディに異物くっつけるとすぐばれちゃうよ、それにあの館長さんがわざわざセキュリティ切って大事なお宝に触らせてくれるかな?」


「怪盗VS探偵の構図を作ってお金稼ぎに走るぐらいがめつい人だものね~、下手に触るのは許してくれないんじゃないかしら?」


「一応交渉はしてみるけどGPSは難しいなぁ、あーあーこうなったら問題の怪盗君と一度話し合いできればいいんだけど」


「談合ですか、平和的に解決できるならそれが一番ですけどね」


「新人ちゃーん! なんの話してるのさ、こっちきて一緒にテレビ観ようよー」


「すまない山田っち、今おいらたちは真面目な話をしてるんだ」


「ボクが真面目な話できないとでも!? いいのか大ニュースあるんだぞこちとら!」


「あはは……忍愛さん、大ニュースというのは?」


「あーね、例の怪盗だけど今テレビに出てるよ」


「「「…………はっ?」」」

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― 新着の感想 ―
おい!?名前書き忘れたかと思ったら今度はテレビに出るのか!? 名前言うためだけに出たんじゃないだろうね!?
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