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ヴァンゲンハイム家の魔術師  作者:
第11章 贄の魔女 【2】
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11ー2 十代目『贄の魔女』ティアナ 2

 


 ノエルと再び出会い2年が過ぎた。


 相変わらず嫌われ者の私には友人はいない。もはや、一人きりで過ごすことが当たり前になっていたけど、今の私には頼りになる味方がいるから悲しくも苦しくもない。


「今世の君は、1人なのにいつも楽しそうだね」


 剣術の稽古帰りに、露店のクレープを買い食いしながら銀の剣を鞘ごと振り回して鼻歌を歌っていたら、ノエルがフワフワと宙を浮きながら話しかけた。


「だって楽しく生きたいじゃない。アルは、いっつも叩かれて泣いてばかりだったし、今世ぐらい泣かない強い魔女でいてもいいと思わない?」

「ティアナがいいならどっちでもいいよ」


 アルの一生を夢で見終わる頃には、私は今世は悔いなく楽しく生きたいと思うようになっていた。


 ノエルのいうとおり、アルだった頃より私は幸せな生活を送っていた。


 魔物の全く来ない王都で暮らし、仲の良い両親の愛を十二分に受け、衣食住も適度に豊かで何の心配もない。


「しいて心配事と言えば、就職先どうしようかなあ」


 この国では義務教育たる初等学校6年、中等学校3年が終わると、基本的に社会に出る。一般には15才で成人とされているのだ。


 お金持ちの貴族や学問の道に進む子はここから自費で高等学校に進むが、私は一平民として、年明け3月末で義務教育が終わり4月からは社会人となる。


 季節は既に秋。学校では同学年の子達が就職活動に追われていた。


「私はさ、頭も悪いし、人からは嫌われがちだし、取り柄っていったら、魔力の高さと銀の剣くらいなんだよね。何かいい仕事探さないと」


 指についたクリームを舌で舐めるとノエルも同じ指をペロリと舐めた。


「美味しい······」


 囁くように呟くノエルはそのまま白猫になり、私の胸に飛び込んできた。抱き上げて、平民街を歩いていると雑貨屋の前で女子学生達が立ち話をしているのが聞こえた。


「でね、恋占い用に『幸福の手鏡』を買ったんだけど、夜になると変な声が聞こえて怖いの」


「それって、魔術庁に持っていくと引き取ってくれるんだよ。魔術師って、銀の剣で魔物も倒すし、魔力が入った物も全部簡単に始末できるんだって」


 お喋りをしながら去っていく彼女達を目で追いながら、私は考えていた。


「魔力······銀の剣········、ねぇノエル。私、魔術師ならなれるかもしれない······!」


「にゃあ?」


 私はその時、安易に考えていたのだ。


 魔力さえあれば魔術師に簡単になれるものだと。




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