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ヴァンゲンハイム家の魔術師  作者:
第2章 クラーケン
19/139

2-6



 イリスの滞在先は、新しい二階建てのコテージだった。コテージは何棟か建っており、管理人さんとメイドさんたちは別棟から時間ごとに来てくれるようだ。


 宿泊する部屋は綺麗だし広くて、リビングやキッチンなどが1階にあり、2階にはベッドが一部屋に三つずつ置かれた寝室が合計で4部屋ある。


 男性陣は、ハインリヒ様とサミュエル様が二人で、ララの兄弟子マティアスさんとレナルドが同室になった。


 女性三人の部屋割りについて、アルレット様が広く一人で部屋を使われるか、私達と同室にするか尋ねたら

「せっかくなので三人で過ごしましょう」

 と言ってくださり、三人同室が決まった。


 軽くサンドイッチを食べてから荷物をほどき、私達はクラーケン退治の準備に取りかかる。水着を着るようにアルレット様から言われその上から服を着た。タオルなどを小さなバックに詰め替える。


「ララ、ティアナ、いらっしゃい」


 一人に一つずつ、チューブ状の化粧品が渡され、見るとそれは日焼け止めだった。


「それはあなたたちに差し上げます。いいこと?あなたたちはまだ若い女性です。肌の白さと美しさだけは保ちなさい。夏もそうですけど、出来れば一年中、毎日塗りなさい」

「ま、毎日ですか?雨の日も?」

「毎日です。ティアナ。あなたは特に模範となる女性が周りにいないでしょう。今日、明日はララとあなたに女性の美とは如何なるものか、叩き込みましょう」

「あ······アルレット師匠!!」


 あまりの美しさと凄みに思わず師匠と呼んでしまった。

 女性美の象徴みたいなアルレット様に言われるたことは守らねばと私とララは一度服を脱いで日焼け止めを塗りたくった。


 海岸にはここから約5分。皆で歩いていくことにした。空が高く日差しは強くて暑かったが、それでも友人達とお喋りをしながら歩くだけで自然と顔が綻ぶのを止められない。


「きゃー!すごい!!」


 海が見えると思わず奇声をあげてしまった。

 この世にこんなに水があるなんて初めてみたからだ。独特の香りもする。これが海!なんて大きいのだろう。


 道路沿いの海岸のは美しく白い砂浜で、夏の高い日差しと相まって、砂も波もキラキラと光って見える。


 ララと歩いていたのだが、この感動を伝えたくて後ろを歩いていたハインリヒ様を思わず見た。


「海です!ハインリヒ様!」

「ああ、良かったなティアナ」


 そのままララと手を繋いで海岸に繋がる階段を降りていった。


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