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ヴァンゲンハイム家の魔術師  作者:
第2章 クラーケン
14/139

2-1

 


「大変です!ハインリヒ様!」


 ノルデンさん事件からしばらくたったある日、私は重大なニュースを弟子会で手に入れ、ハインリヒ様のデスクに戻ってきた。


「どうした?緊急案件か?」

「今度の模擬試験の日程が決まりました!」

「へえ。あ、そう。そうなんだ······いつ?」

「再来月の20日です!」

「ふぅん。大丈夫でしょ?最下位になんかならないよな?」

「なっちゃうかも~♡」


 丸めた書類でパコンと叩かれた。



 昼になり食堂に移り、今日はパスタを注文した。私の勉強の速度について問われ、説明するとハインリヒ様の顔はみるみるうちに無表情になる。


「おい。お前は世間的には俺の弟子だよな」

「はい。弟子です」


 パスタをモグモグと食べながら頷く。


「俺はな、資格試験本番すら一回で通過してるんだ。そんな俺の弟子が何故模擬試験ごときで最下位とる気満々なんだ」

「いやー、そもそも勉強苦手なんですよ。魔術師の弟子っていう職業の選択をしたことが間違いでした」

「俺があれだけ教えてやったのに······」

「大丈夫ですよハインリヒ様。魔術師資格試験は合格までに最低5年と言われてます」

「だから?」

「受験可能年数まであと1年半。そして5年落ち続ければあと6年半は弟子でいけます」

「そのあとはどうする」

「メイドで雇って下さいよ。働き口ください」


 ガッと大きな手で頭を掴まれる。


「ティ~ア~ナ~」

「痛い痛い痛い!ごめんなさい師匠!!」


 ギリギリと頭を捻られ体罰を受けていたら、ふわりと甘い香水の香りがした。


「あら、ハインリヒ。弟子と仲が良いのね」

「······アルレットか。別にそんなんじゃないさ」


 声をかけてきたのはアルレット・ヘルマン魔術師。ララの師匠である。私も頭をペコリと下げる。


「ふふ、ティアナだったわよね。お久しぶりね。いつもうちのララと仲良くしてくれて有り難う」


 アルレット様の後ろでララが小さく笑って会釈した。さらにその後ろにはララの兄弟子マティアス・クライフさんが銀縁の眼鏡を光らせてこちらを見ている。


「こ······こちらこそ!いつも有り難うございます!アルレット様のお美しいご尊顔を拝謁出来てとても光栄です!」


 私はドキドキしてほぼ90度の角度で頭を下げた。


「ふうん。師匠より弟子の方が礼儀正しいのね。気に入ったわ。これからもララと仲良くしてね。じゃあね、ハインリヒ」

「ああ、またな」


 ピンヒールをカツカツと鳴らし、黄金のボディラインを揺らしてアルレット様はララとマティアスさんと共に歩いていった。


「ああ、本当にお綺麗だわアルレット様······ララの気持ちがなんだか分かる気がするなあ」

「なんだそれは」

「ハインリヒ様、ご結婚なさるならアルレット様みたいなお綺麗な方にしてくださいね。私の目の保養のためにも」

「は?!何で俺が他の女と結婚しなきゃいけないんだ」

「いつかはされるでしょう?どっかの高貴な方と」

「馬鹿かお前は。俺は平民だぞ?爵位すらない」

「自分でわざわざ断ったくせに」


 ガッとまた頭を掴まれる。


「······早く食え。デザートをつけてやったのに」


 ハインリヒ様の眼光は夜の魔物並に光り、謎の威圧感が出ていた。


「いたたたた!掴まれてたら食べられませんー!」


 私は涙目で、デザートのプリンを頬張った。






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