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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
動くコダユーリオン
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決着2

 古竜騎士団による空挺騎士団の掃討戦が行われています。

 接近し乱戦へと持ち込み、銃を封じて確実に仕留めていきます。

 空挺騎士団は、一騎また一騎と地上へ落下していく。

 私達古竜騎士団の人数は40、対して魔銃騎士団の数は2万にも及びます。

 ですが、私達とは圧倒的な実力差は明白で、次々に空挺騎士を墜落させていきます。


「団長、もう持ち堪え出来ません! ここは撤退を提案致しますッ!」

「え、ええぇ、これだけの人数の差があってもダメなんですか!?」


 アルフィアの部下が撤退を進めています。

 それもその筈、空挺騎士団の数は既に3/2にまで数を減らしているのですから。これ以上の被害は好ましくないでしょう。


「悔しいですが、彼奴等は紛れもなく大陸随一の騎士団です。このまま闇雲に戦っていても勝ち目はありませんッ!」

「そそそんなぁ~、で、でも仕方がないよね、彼女達はエリート中のエリート。う、うん、それではて、撤退しましょう」


 アルフィアの撤退命令が出たようです。皆反転して撤退していきます。


「はっ、逃がすかよッ! アギオス、奴等のケツに火ぃつけてやれ、ファイアブレスッ!」


 マァートの騎竜であるアギオスが、火炎の吐息を放ち空挺騎士団を襲います。

 マァートに倣い次々に放たれる竜の息吹。

 空挺騎士団は散り散りになり逃げ惑い、それでも反撃せずに飛び去って行きました。


「よっしゃー、残党狩りに移行するぞッ!」


 マァートが敵の集団を追おうとしますが、それには待ったを掛けます。


「待ちなさいマァート、随分とわざとらしい撤退だと思いませんか? 何か策を用意しているかもしれません。深追は危険です」


 只でさえ圧倒的な人数差があるのです。このまま追えば手痛いしっぺ返しを食らうやもしれません。


「でもよミネルヴァ様。この好機を逃せば次は何時になるか分からないぞ?」

「構いません。我々の受けた命は、空挺騎士団の壊滅ではなく、あくまでも迎撃です。ならば危険を冒してまで追う必要もないでしょう」


 可成りのダメージを負わせている以上、これより先へ進むことは難しいでしょう。

 再起したとしても、ある程度の実力は見させてもらいました。次はより効率的に彼等の相手が出来るでしょう。


「ミネルヴァ様がそう言うならそうするけどよぉ、怪鳥騎士団(アンズー・ナイツ)の連中が追い掛けて行っちまったよ」


 今まで姿を見せずにいた怪鳥騎士団がここぞとばかりに空挺騎士団を追いかけてしまいました。

 おそらくこの先には罠が張ってあるのでしょう。ですので、このままでは彼等を見捨てることになります。それは敗戦国の将として宜しくありませんね。


「ふぅ、仕方がありません。これより古竜騎士団は様子を窺いつつ怪鳥騎士団の援護へと回ります。おそらくは空挺騎士団の張った罠が存在します、皆慎重に事に当たって下さい」

「「「はッ!」」」


 既に随分と遠くへと行ってしまいましたが、距離を詰めれば我々まで罠に嵌まりかねません。

 視認できるギリギリの距離を保って後を追っていきます。彼等が敵の罠に嵌まったとて、直ぐに助けに入れる距離です。

 そこで並行して飛翔するセシャトが問うてきました。


「ミネルヴァ様、怪鳥騎士団に警告しなくても宜しいのですか?」


 尤もな疑問ですね。ですが、怪鳥騎士団とて罠の可能性は考えているでしょう。それでも嘗て我々に敗れた過去が有るため功績が欲しいのでしょう。


「彼等とて分かってはいるでしょう。ですが、功を焦っての特攻なら忠告など耳を貸さないでしょう。ここは距離を取り罠を見破ってから対処しましょう」

「そうですね。彼等の失策で私達に被害が出ても面白くありません」

「そうそう、とばっちりなんて御免だからな」

「でもぉマァートは、あの人達と同じような事してたよね?」


 「うるせぇよ」とマァートがルナに言い返し周りから笑い声が響きます。

 緊張でガチガチになるよりかは幾分マシですが、まるで緊張感が無いのも問題ですね。

 気が緩めば罠の存在を見逃してしまうかもしれません。


「皆、どんな罠があるか分かりません。気を緩め過ぎないように」


 一応注意を勧告しようとした時、前方から激しい衝撃が走りました。

 テルピュネやピートゥリアのように本物の竜や龍なら耐えられる衝撃ですが、他の飛竜、ワイバーンでは耐えられずに後方へ飛ばされていきます。

 素早く確認すれば、セシャト、マァート、ルナは無事、多少流されましたが、何とか衝撃に耐えています。ですが他のメンバーは悉く吹き飛ばようです。

 墜落するものは誰もいませんでしたが、可成り後方へと追いやられています。

 何が起こったのか? 前方を飛行していた怪鳥騎士団の面々はボロボロの装いになっています。


「いったい何があったんだッ!」


 マァートが横まで来て叫びます。

 ルナがそのすぐ傍で言います。


「爆発? でもマナの残滓は何もないよぉ?」


 その場に留まっていたトモエが言う通り魔力の痕跡が一切ありません。


「この臭い、……火薬ですッ! おそらく空挺騎士団が撤退する間際に、大量に空中に設置していったのではないでしょか。空中地雷と言ったところですか? 触れれば起爆するのではないでしょうか?」


 辺りに充満する火薬の臭いは風に流され急激に薄れていきますが、確かに火薬の臭いがします。

 トモエの背に乗るキララが続けて言います。


「一つが起爆すれば、連鎖して爆発するのかな? これじゃ気楽に飛行できなくなるね? どうする? ブレスで薙ぎ払う?」


 確かにこのまま飛んでいれば、起爆していない空中地雷に触れても可笑しくないですね?

 ブレスで一気に薙ぎ払うのもいい手かもしれませんが、それでは生き残った怪鳥騎士団の命が危ぶまれます。

 生き残った怪鳥騎士団は、迂闊に動くことも出来ずにその場で静止しています。魔力障壁でも予め張っていたのかも知れませんね。


「今ので全部かなぁ? 何かの魔道具で免れたのが残ってるってことないかなぁ?」


 ルナの言うことも分かりますね。


「うん、まだ残ってるみたいだよ。上手く色彩を弄って認識し辛くしてあるけど、ほら、あそこ」


 キララの指差す場所に微かに揺らぎの様な物が確認できます。


「ですが、怪鳥騎士団をそのまま放っておく訳にはいきません。どうなさりますか?」

「……テルピュネの分子崩壊咆なら爆発させることなく処理出来るかもしれませんが、それでは怪鳥騎士団を巻き込んでしまいますね。……仕方ありません、魔法を使います」


 魔法を使えば消耗は避けられませんが、まぁ、何とかなるでしょう。


『戦神アテナよ! 我が道を阻む脅威を取り除き給えッ!』


 魔法が効果を発揮し、見えない空中地雷は色彩の偽装が剥がれ剥き出しの姿を晒し、後にボロボロと崩れ落ちていきます。これで空中地雷の存在は無くなりました。

 ですが、何か微かに聞こえた様な気がします。


「……員、放て…~」


 アルフィアの声、その直後、我々の真下から銃撃が放たれました。


「ちぃー、下かよッ!」

「総員障壁を張りなさいッ!」


 只の銃弾では、飛竜の強固な竜鱗を突破出来ません。が、油断は大敵です。

 もし、アレが特殊魔弾であった場合、致命的なダメージを負いかねません。

 自由になれた怪鳥騎士団も、真下からの銃撃に身動きが出来ないようです。


「総員、降下し――ッ、いえ、上昇しますッ!」

「え? 奴等をこのまま撃たないのですか?」

「この真下には小さな村があります。このまま戦闘を行えば、村に大きな被害が出るでしょう。ここは上昇して高高度での戦闘に移行します」


 空挺騎士団が陣取っている場所は、村の少し上昇した地点。このまま魔術なりブレスで攻撃をした場合、村に被害がでるのは避けられないでしょう。

 倒された者達が落下しても駄目です。村を押し潰してしまいます。

 であるなら村から離れ、余波の届かない高度まで誘導する必要があります。


 上昇する古竜騎士団を見て、怪鳥騎士団も上昇を始めます。

 事前に設置されたであろう空中地雷は魔法で取り除けましたが、その後に設置されたものまではそうはいきません。

 空挺騎士団の別動隊が更に上空に空中地雷を仕込んでいた場合、我々古竜騎士団ならば耐えられるでしょうが、怪鳥騎士団では墜落の恐れがあります。


「全員急げ! このままじゃ蜂の巣にされるぞッ!」

「マァート、今度は空雷が来るよッ! 空中魚雷だよぉ!」


 空中地雷はその場に留まりますが、空雷は自動追尾してきます。そのまま放っておく訳にはいきません。

 テルピュネの分子崩壊咆で爆発させることなく消滅させます。が、数が多いッ!

 打ち漏らした空雷が仲間達を襲います。

 皆、ブレスや障壁で防ぎはしますが、受ける衝撃により一瞬の硬直状態に陥っています。

 そこに接近して来た空挺騎士団が至近距離からの魔弾を打ち込んできたのです。


「きゃ、て、敵は見境なく打ってきていますよミネルヴァ様ッ!」


 部下の一人が叫びます。

 空挺騎士団にとって真下の村のことは人質としか思っていないのでしょう。

 ここで誰かが墜落したのなら、村に落ちることとなり村人に死人が出ても可笑しくはありません。

 痺れを切らしたマァートが叫びます。


「ちっ、要は村に被害を出さなければいいんでしょ。跡形も無く消し去ってやるよッ!『プロミネンス・スフィア』!」


 マァートの放った魔術は、数十人を呑み込める程の巨大な、流動する紅炎の球体を造り出すものです。

 内部に囚われたものは、骨まで消失する程の超高温です。ですが、術者の腕が良ければ、球体の外へ温度を漏らす事はありません。

 コレを喰らえば墜落する恐れはありません。私も負けじとブレスを放ち続けます。


「おらぁ、もういっちょッ!」


 マァートは続けて魔術を放ち幾つもの紅炎球を造り出し、敵の数を減らしています。


「ちょ、ちょっとマァート! あ、危なッ! もっと離れたところに撃ってよぉ~」


 ルナの文句、ですが、確かにこれは近すぎますね。


「いいんだよ。これで時間を稼いで距離も稼ぐんだからッ!」


 成る程、壁役にしたのですね。


「この機を逃すな! 総員続けぇ!」


 魔術効果が切れる前に、私達は急いで距離を取ります。高く、そして村から離れる様に。

 それにしても、空中地雷が罠だったのでしょうか?

 確かにアレなら魔力探知には引っ掛からない。ですが、この状況をひっくり返すには弱い気がします。

 他にまだ何か有るのか?

 空挺騎士団の扱う武器はみな消費武器です。いずれは弾切れを起こします。

 なのに、現在彼等は見境なく無駄弾を放っています。まるで追いたてるかのように。

 コレは何かあると見ていいでしょう。


「何か別の切り札を持っているかもしれません。皆、気を緩めない様に」


 と、そこで、先程とは比べ物にならない位の爆発音と衝撃が私達を襲う。

 ワイバーンどころかテルピュネすら爆風に煽られ後退しました。

 ワイバーンに至っては遥か後方へ流され、墜落する者はいませんが体勢が大きく崩れています。


 爆心地は遠い、しかし、竜の翼では直ぐ近くとも言える距離。怪鳥騎士団のいた辺りからの爆風だったようです。

 見れば一目で分かります。私達の前方では、数㎞にも達した大きなキノコ雲が姿を現しているのですから!


 「ちょっ、なにあれ!」「嘘でしょ……」「まさか……」、部下達から声が漏れています。


「ミ、ミミミミネルヴァ様ぁ~、アアアアレは飛竜達でも耐えられないよぉ~。あ、あんな物を隠してたなんて~ッ!」

「落ち着きなさいルナ。確かにアレは脅威ですが、使い手とてタダでは済みません。なら、予め設置し距離を稼ぐ必要がありますが、先の魔法でこの辺一帯は罠はありません。敵を近づけさせなければ問題ありませんよ」

「で、でも~、打ち出してきたらどうするんですかぁ~?」


 ルナは不安なようです。そんなルナに優しく諭します。


「大丈夫よルナ。何があっても私が貴女達を護るわ」

「ミネルヴァ様~♡」


 どうやらルナも落ち着いてくれたようです。

 おそらく怪鳥騎士団は、今の爆発で壊滅したと見ていいでしょう。奇跡的に生きていたとしても、大ダメージは免れません。

 忠告しておくべきでした、私の判断ミスで彼等を死なせてしまいました。

 早いうちに手を打たねばなりませんね。ルナにはああ言いましたが、次は私達がアレの被害にあいかねませんからね。

 あの強力な爆発物は、私の魔法の後に設置された物の筈。では、近づくもの全てが怪しくなり、それら全てを消滅させる必要があると言うことです。障壁で護りを固めても、魔術で迎撃してもおそらく防ぎきれません。

 どうするか考えていると、キララが機嫌悪そうに敵を睨み付けて言います。


「あんなのを平気で使える神経を疑うよ! ミネルヴァ、あの馬鹿野郎達は私がやるよッ!」


 何やら先の爆発はキララの触れてはならないモノに触れてしまったようです。

 彼女は天災級のSランク、怒らせれば手が付けられないでしょう。

 そんな彼女が魔法を使うようです。


「『深き闇の王にして死を支配する者よッ!』」


 キララの信仰する神とはすなわち、フヅキこと冥神プルート。


「『あ~も~、面倒臭い! いいから力をもっと頂戴ッ!』」


 ちょ――、キララは信じられない祈り、いえ、これは祈りとは言わないもの。いったい何をしようとしているのか?

 アレで力を与えるプルートもプルートですッ!


「『あのクソッタレ共に神罰をッ!』」


 っと、マズいッ!


「『アテナよ、護り給えッ!』」


 キララのやる事に気づいた私は、素早くアテナへ祈りを捧げ彼女の魔法の威力を抑えます。


 魔法発動と同時に、空挺騎士達の身体から黒い霧の様なもの沸き立ってきます。

 その霧は騎士の身体全体を覆うと、今度は急激に萎み最後には消えてしまいます、それも騎士の身体ごと。残るものは何も無い。

 これは嘗てフヅキ殿が行使した刀術の縮小版。確か、死出の夜纏いと言いましたか。規模を一人一人に絞り、それを無数に放ったのです。キララには女神(おみながみ)流は使えない、代わりに魔法で補っているのでしょう。

 空挺騎士団の面々は次々に消滅。しかし私の魔法により威力は軽減され、耐えた者も少なからずいるようです。


「ちょっとミネルヴァ、邪魔しないでよ! もう少しで殲滅できたのにッ!」

「やり過ぎですキララ。殲滅してどうしますか!? フヅキ殿はそれを良しとするのですか?」

「うぅ」


 その後、生き残った空挺騎士団を捕虜として捕縛した私達は、大爆発により汚染された空と大地を魔法で浄化し、奇跡的に生き残った怪鳥騎士を保護して帰還しました。


 この戦で分かった事は、キララは怒らせてはいけないと言うことですね。はぁ~。




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