総司令官殿のピンチと使役されてた7人
俺は今、スクディアと一緒に暇を持て余している。チョ~暇なんだけど!
「暇だ、何かやることないのかよ」
余りに暇でボソッと呟いてしまった。
「無いな。奴等を追う訳にもいかんしな。それよりも裏切り者が誰なのか分かったのか?」
律儀にも返事が返ってきた。只の独り言だったんだけど……。
襲撃者達は早々に引き上げていった。帝国軍は直ぐ様追撃に出て行って此方は手薄になっている。
高が6千の軍に何もそんなに出向かなくても、と、思わなくもないがこの拠点の半数近くの兵が出兵していった。
マーズが行ったからほっといてもいいのに……。
今なら攻め落とそうと思えば簡単に出来そうだが、やらないよ。
お陰で交渉は先延ばしになり未だ解放されない。
チラリと聞いた話だと、どうやら総司令官殿は皇帝陛下へ遣いをだし判断を仰ぐようなのだが、……またゼウスと会うのかもしれない。
「はぁ、アレとまた会うのかよぉ~」
「なんだ?何の言っている?誰か会いに来るのか?」
スクディアはゼウスが来るかもしれないことを知らない。
ゼウスと言ってもスクディアの中ではジュピターだが、極めて厄介な人物だ。何せ神々の頂点に君臨する神様だから、機嫌を損ねるとヤバいのです。
よりにもよって何故に海を渡ったゴンドーナ大陸に降りたのやら?奴の目的であるテュポーンの封印はこっちのムルサン大陸に在るのに!こりゃ後であったら文句言ってやらんと気が済まんっての!
っと、先ずはミーレス内に居るであろう裏切り者を割り出さなくちゃならないのん。
これは直ぐに見つかった。セフィーにコッソリと付けておいたカメラが確りと犯人を映し出していたからだ。会議中の録画を見ていたら怪しい動きの者が一名いた。そいつの動きをトレースしたところ真っ黒だったことが判明した。
早々に見つけてしまったから俺は暇なのだよ。
ん?対処しろって?
それはまだいいのですよ。
バレてないと思っている間者は利用価値が有るからね。ここで密告、捕縛しても旨味が少ない。
捕まえたところで、誰の差し金か分かっている以上、大した情報は得られないと判断した。だって、既に知ってるんだからね。
彼には偽の情報を掴ませ、コダユーリオンを騙したいところだ。
奴等の内情を知りたいが、彼が知っている訳がない。なら泳がせるのが一番なんだよ。
ってな訳で、奴は監視を付けて自由にさせている。王やセネスにはカメラを介して伝えてあるから大丈夫だ。
そんなこんなで、俺のやることは交渉だけだ。つまり今は超暇人。
「裏切り者はガドンレス君だったよ」
「なっ、馬鹿な!ガドンレスだと!?奴は内政に深く関わる者、何故奴がユネオスとつるんでいる?」
ガドンレス君は厳つい名前に反してひょろっこい体躯の男で、戦闘は一切ダメらしい。逆に内政には優れた才を発揮していたらしいが、それならどうして裏切ったのやら?
「さあ?取り敢えずは監視を付けて放置してる。何か動きが有れば連絡が来るようにしてあるから問題ない。どうやら全軍が帰還したみたいだから、最悪ミネルヴァがどうにかしてくれるよ」
「戻ったのか!?」
戻ったのです。懸念していたコダユーリオンの天候制御の魔道具は使われなかった。
あの会議内容は全くのフェイクだったってことだろうか?
そう考えると既に奴等は裏で動いている可能性が高い。だって、魔道具や軍の動きに視線を逸らせたんだから何か動きがあるよね?無かったらマジで意味ないよね?
キララに連絡して探らせようかな?
いや、でもなぁ、大陸全体に行き渡らせた虫型カメラが捉えきれてないんだよな。
キララに頼んでも広範囲過ぎて空回る可能性があるんだよ。最大戦力の一人をわざわざ使いに出すのも躊躇われるんだよなあ。
もう暫くカメラに頼ろっと。
「ん?雨が降って来たな」
スクディアの呟き。
!!!
いきなりのどしゃ降り!
まさかコレがあの魔道具なのか?
考えてる傍から使われたのか!?
只の偶然か?それとも……。
「少し外の様子を見てくる。アンタは此処で大人しくしてろよ?」
俺は念の為にスクディアの拘束具を外してから天幕の外へと出た。
嵐か!ってくらいのどしゃ降りだ。視界が阻まれて視野が取れない。
先程新たに派遣されて来た見張りの騎士達がいない。
雨に濡れるのが嫌で何処かで雨宿りか?って、んな訳あるかいっ!
「不味いな、コレ多分コダユーリオンの魔道具だ!ってことはまたまた奇襲されてる?」
この雨はマナを乱反射しながら降り注いでいる。これでは魔術が使えない、暴走の恐れがあるからだ。それどころか、探知や感知系のスキルも役には立たないだろう。
これが魔道具の特性なんだな。雨を降らせる程度で足止めとかいっていたが、これなら頷ける。
奴等はフロリオの軍の動きを利用して別の思惑で奇襲してきた。フロリオの軍は利用されたんだ!
そうなると、ガドンレス君はユネオスの間者ではなく、コダユーリオンの患者の可能性が出てきたな。
が、今はそんなこと言っている場合ではない。
奴等が真っ先に狙うとしたら、先と同じく総司令官とスクディアだろう。急いで戻らねば!
俺はスクディアの元へと戻り現状を伝え、無手の彼に取り敢えずの剣と盾を渡してた。自衛してください。
「俺は総司令の所へ行ってくる。アンタには黒狼を置いていくから何とか自分の身は自分で護ってくれ!アンタの指示に従う様に言ってある」
「ああ、分かった。それにしてもコダユーリオンか!舐めた真似をしてくれる」
「まったくだ。それ相応の報いは与えてやるさ!間違っても帝国兵を攻撃するなよ?」
「分かっている。早く行け!」
言われて天幕を飛び出ると、そこには黒いマントで全身を隠した団体さん、6人いるよ。
「足止めか?それともスクディア狙いか?どちらでもいいか。とっとと終わらせよう」
黒マントはそれぞれにダガーを構え跳びかかって来た。
《種属:女性豹獣人×6
名前:アシア、イル、ウルカ、エマリ、オルカ、カルマ
ジョブ:暗殺者×6 ランク:D~C
状態:使役
加護:七人裁判
称号:日没女王(+【闇魔術】【夜間強化・特大】【暗視】)
生命力:4500~9000
筋力:2000~4000
速力:4000~6500
肉体強度:3000~4500
知力:2800~4500
魔力:2300~3000
魔力抵抗:2000~2700
運:5~20
信仰神:冥妃エレシュキガル
魔術適性:水、地、闇
上級スキル:【暗殺之才】【気配遮断】【振動遮断】
スキル:【透視】【追跡】【地図】【気配感知】【連携】【収音】【隠密】【魅了】【加速】【思考誘導】【思考加速】【毒耐性】【麻痺耐性】【水耐性】【眩耀耐性】【飢餓耐性】
》
《武器:ポイズンダガー E級品 攻撃力:250 猛毒付与》
《防具:身隠しの外套 D級品 防御力:1000 隠密補助 衝撃吸収》
《靴具:速靴 D級品 防御力:160 速力10%up》
《装飾具:パワーリング F級品 筋力5%up》
うほほ、肉体を変えてから眼が良くなったな。数値までバッチリ見え見えだ!
それはそうとこれは凄いな、さっきの刺客とは雲泥の差だ。
先程司令官を襲った刺客はCランクの下だった、が今度の刺客はDランク~Cランクの上といったところだ。
凄いのはスキル数、固有スキルこそ無いが、暗殺に向いたスキルを数多く保持し耐性も豊富だ。
能力値を国の兵士達と比較した場合、上位に食い込む程の値でありスキルの数である。
そもそも戦闘スタイルが違うから何方が上かなんて分からないが、正面からの勝負なら上位の兵士が勝つが、暗殺の対象になった場合は兵士は素直に殺されているだろう。
更にジョブを持ち、暗殺に関するスキルが取りやすく、行動にも補正が掛かる。
問題の一つとして状態だろう。何者かに使役されている。これはとっとと解除する方向で動こう。
後は、加護の七人裁判からして一人たりないが、最後の一人が使役者だろうか?
【七人裁判】————、標的を被疑者と見立て、同じ加護を持つ七人が判決を下す。刑が下されれば必ず執行される。但し、無罪の者を裁くことは出来ない。
ただ、俺等からしたらそれらは大した問題ではない。キララや燿子と比べれば雑魚だ。彼女達の能力値は余裕で5万を超えているんだから。
因みに俺は10億を超えているため、何事にも加減が難しい。だから【加減乗除】のスキルを使って5000まで下げている。
故に厄介なのは、加護を与えているのがエレの姐さんってことだけだ。
あの姐さん怒らせると怖いんだよ、マジで!
姐さんが加護を与えている相手を勝手に殺してしまった日にゃ何をされるか分かったもんじゃない!
殺さず無力化する必要がある。……出来るか?
…………余裕だな。
迫りくるダガーの全てを余裕綽綽と躱しまくる。
視界を覆う程の雨の中、連撃される猛毒のダガーを躱しきる。
一人一人の首筋に手をやり意識を刈り取っていく。よし、生命力に変化はない。
最後の一人を落としたところで、亜空に一つの異界を創り放り込んでおく。
異界の中に一軒家を建て、必要な物をこれまた放り込んでおく。ご飯とか無いとお腹すくからね。ん?時間が存在しないから腹も減らないのかな?
ついでに使役状態も解除しておいたし、これで彼女達を殺すことなく確保できたってことでいいかな。
そうだ!ペティリア達に彼女達の事を頼んでおこう。彼女達なら襲い掛かられても全く、微塵も問題ないからね。
取り敢えず事が済むっまで亜空の異界に居て貰おう。時が来たら直ぐに出してあげるよ、それまでの辛抱だ。
これならエレの姐さんも許してくれるだろう。問題は最後の一人だろう使役者だな。
降りしきる雨の中、広範囲に意識を飛ばして周りの気配を探ってみる。
帝国兵が大勢いるが、その中にコダユーリオンの兵が同数ほど混じっているのが分かる。
不味い事に総司令官の場所にとんでもない奴が居た。只今応戦中みたいだが、マーズが居ないのなら時間の問題で殺られてしまう。
ハッキリ言って総司令官はお飾りだ。あの人の強さはBランクだが、スキルが貧弱で戦闘には向かないんだよ。なんでゼウスは彼を総司令に任命したのやら?
兎に角急がないと命が無くなってしまうので、総司令官殿の天幕に駆け込む。
そこには先程感知した二人の刺客が居た。
《種属:異界人
名前:ジャック・ザ・アンバー
ジョブ:暗殺者 ランク:A レベル:121
加護:無心操術
称号:暗殺王(+【暗殺技術・極】)
称号Ⅱ:操術師(+【分裂思考】【同列分身】【超遠距離操作】)
称号Ⅲ:勇者(+【レベル】)
生命力:22000
筋力:14500
速力:32000
肉体強度:10500
知力:11000
魔力:24000
魔力抵抗:22300
運:35
信仰魔法:闇神ベルベヌル
魔術適性:四属性、暗黒、特殊
固有スキル:【活殺自在】【アイテムボックス】
上級スキル:【毒錬金】【土地勘】【状態異常耐性】
スキル:【短剣術】【挑発】【指揮】【身体強化】【思考誘導】【思考加速】【偽装隠蔽】【鑑定】
》
一人はアンバーなんだな。
黒騎士団の影の団長さんが何でここにいるんだよ!称号に黒騎士が無いのはどういうことだ!?
称号に勇者ってあるんだけど?コイツ勇者だったのかよ!それもレベル100超えてんじゃん!そのせいか能力値が軒並みヤバイ!
流石にマーズ君やミネルヴァには届いていないが、それでも可成りの値だ。
加護も厄介、称号も洒落にならん。コイツが使役者だったんだな。【無心操術】で女性豹獣人を操り、【活殺自在】を使い生殺与奪を握っている。
アンバーの思い一つで彼女達は死んでいただろう。
更に【暗殺技術・極】は厄介だ。暗殺技術を極めていることになる。俺が居なければ総司令官は容易く葬られていただろうな。
魔法も使えるようだ。ベルべヌルは地球には伝わっていない中級の神様だ。俺より格下だから、今の俺なら魔法を打ち消せれる。
もう一人を見てみよう。
《種属:女性豹獣人
名前:キーエ
ジョブ:暗殺者 ランク:B
状態:使役
加護:七人裁判
称号:日没女王(+【闇魔術】【夜間強化・特大】【暗視】)
称号Ⅱ:暗殺豹人部隊リーダー(+【指揮統率】)
生命力:9500
筋力:6200
速力:9000
肉体強度:5400
知力:4300
魔力:3600
魔力抵抗:5500
運:9
信仰神:冥妃エレシュキガル
魔術適性:水、地、闇
上級スキル:【暗殺之才】【気配遮断】【振動遮断】
スキル:【透視】【追跡】【地図】【気配感知】【連携】【収音】【隠密】【魅了】【加速】【思考誘導】【思考加速】【毒耐性】【麻痺耐性】【水耐性】【眩耀耐性】【飢餓耐性】
》
先程索敵した時に分かってはいたが、彼女が最後の七人裁判の加護持ちだ。
どうやら部隊長さんだな。先の6人よりも強いが、俺から見たら微々たる差だ。
二人は総司令官達と向かい合う形で佇み、此方を振り向いた。
驚いているようだが、声には出していない。俺との距離は目と鼻の先くらい近い!
それよりも何で暗殺者が正面から向かい合ってるんだろうか?
床には参謀さんと騎士が二人ほど血塗れで倒れている。息はあるが、おそらくもう助からないだろう。
副官とロックサーナが総司令殿を護るように前に出ている。
「し、使者殿!ここは危険だ、今直ぐに逃げたまえ!スクディア殿下にも危険が迫っている!」
おお、まだ降伏が成立されてないのに心配してくれている。結構いい奴なのかな?
「どうも、だが、助けに来たんだから追い返さないでくれ。そいつらの相手は俺がするから、あんた等は部下達を纏めて迎撃しな、同数の敵が入り込んでいるぞ。それから雨のせいで魔術は使えないから使用は控えろよ!」
「なっ、雨のせいだったのか!」と騒いでいる。取り敢えず彼等は無視してアンバーに向かって亜空から取り出した燭台切光忠による抜刀術を見舞う。
————キィーン!
と、甲高い音を響かせ間に入ったキーエに止められた。まぁ、本気で振るった訳ではないから止められてもショックでもなんでもないもん!
その隙にアンバーは、総司令官に向いアイテムボックスから取り出したダガーを振りかざす!
《アサシンダガー A級品 攻撃力:6500 速力:1850 一刺必殺》
付与されているスキルがヤバい!
「させん!」
俺は女神流の歩法術、神行歩を使いキーエを回り込み、総司令官の前へと移動しアンバーのダガーを受け止める。
「フヒョヒョ、可笑しいですね?貴方に転移系のスキルは有りませんよね?速力の数値も5千、どうやって間に合わせたんですか?どうやってその貧弱な筋力で私の剣を止めたんです?……キヒヒヒッ、さては偽装してますね?」
うぉ、一発でバレた!っと言っても俺のは実際に能力値を下げているからあながち偽装とも言い切れないような、そうでもないような?
「キヒヒッ、答えませんか?それも良いでしょう。ですが、良いのですか?私は暗殺者ですよ?」
……どういう事だ?
「!!!」
総司令官の背後にもう一人アンバーの気配を感知した!これは【同列分身】を使ったのか!?
同列ってことだから本体とほぼ同じ戦闘力を持っていると思っていい。
どうする?目の前のアンバーをアンバーA、背後のアンバーをアンバーBと呼ぼう!……って、呼び方なんかど~でもい~わぁ~~~!
どうするどうする?
と、悩んでる間にもアンバーBとキーエが総司令官達に跳びかかっている。
ロックサーナがキーエに向かい、副官がアンバーBの対処に動いた。が、ロックサーナは兎も角、副官ではアンバーBを止められない!
対処方法は幾つも思い浮かぶ。リュルフ達神魂器を呼ぶか、眷属を召還するか、俺も分身するか、はたまた超神速で同時に相手するか?
どれも見せたくはないが、一番見せても問題なさそうなのは……。
「フヒョッ、なんですかアレは?何なんですかねぇアレは?」
眷属召喚!
俺の眷属とはすなわち、冥府へと送られていった死者達だ!
嘗て俺が強狂怖の森で殺した初の魔物、豚将軍を呼び寄せた。
この豚将軍はテイムしている訳でも、使役や魅了している訳ではない。
彼自身の意志でこの場に来てくれたのだ。だって、死者が冥神の頼みを断ろうとは思わないよね。
現時点で生き返った訳じゃない、彼には活躍次第で望む転生を約束している。
彼は闇の中からヌルゥと出て来てアンバーBのダガーを受け止める。
ロックサーナや副官から悲鳴が漏れた。そりゃそうだ、いきなり闇から魔物が出て来ては驚くよな。
俺は敵ではない事を説明して豚将軍への攻撃を控えて貰う。
「キヒヒッ、まさかテイマーでしたか?これ程の魔獣を使役出来るなんて凄いですねぇ」
彼が死者で俺が冥神であることを知らないアンバーからしたら、魔物を操っているようにみえるんだろう。無論俺はテイマーではないが、燿子や黒狼のこともあるのでそう思わせておこう。
繰り返すが、豚将軍は彼の意志で動いてる。テイムしている訳ではないので、裏切ようと思えば出来ちゃうんだなこれが。まあ、やらないだろうけどね。彼とは和解したのですよ、和解をね!
「だろ?あの子は俺の友達なんだよ!」
「フヒョヒョ、そうなのですか?それは良いですね。アレを使役出来るテイマーを操れれば大いに戦力アップが望めますから」
実に嬉しそうに呟くアンバーA。
「あのオークを使役すれば凄まじい戦力ですよぉ!フ、フヒョヒョッ、そうですよ、そうなんですよ!アレはAランクの魔物、それを使役出来れば私は、わたしはぁ————!」
アンバーAが興奮を隠せないかのように叫び出す。怖えぇよ!
「加護の無心操術か?悪いが無理だぞ」
格下の神が与えた加護では、俺の眷属を使役出来ない。って言うか、同格でも無理、最上級神位が調節簒奪するなら可能性があるかも。
「ホヒョ!私のステータスが視えているのですか?可笑しいですね、私の【偽装隠蔽】は完璧の筈ですよ?何故、視えるのですか?可笑しいですね?可笑しい!私には貴方の本当のステータスが視えていないと言うのに」
自信家だなぁ、コイツには上には上が居るんだと教えてやろう!
「そりゃざまぁねぇっすね!」
光忠を一閃し跳び退き距離を取る。
「貴方は黒騎士なんぞよりも良い傀儡になりそうですね!『主よ、闇より出で我が願いに応え給え!』」
闇神ベルべヌルに簡単に祈りを捧げ魔法を行使するアンバーA。
周りの影という影から俺達を拘束しようと魔手が伸びてくる。が、格下の神の力が、それも人間を介した魔法が俺に届く筈もなく、消失する。
俺なら魔手など出現させずに奴の根源そのものを拘束する。
「なっ!」
驚き一瞬の隙を作るアンバー、その隙を逃す俺ではない!
神行歩を使い一瞬で間合いに入る。そこからの大上段!
「ちぃ」
舌打ちし後退するアンバーAに追随し間合いを開かせない。短い間合いはアサシンたるアンバーに有利だろう。
「馬鹿なのですか?暗殺者たる私に肉薄するとは愚かなことですよ!」
「一つ教えてやるよ。達人になれば成る程間合いってのは短くなるもんなんだよ!」
一閃!
「たとえどんな獲物を使おうともな!」
アサシンダガーごとアンバーAの首を飛ばす!
「なんですとっ!」
アンバーBの驚愕する声が聞こえる。奴は豚将軍との戦闘で手が離せずにいる。キーエもロックサーナに抑えられている。
「くっ、形勢逆転されましたか。キーエ、ここは退きますよ!」
「無理だな」
キーエを連れて退こうとするアンバーBに言い放つ。
既に逃げられない様に空間を切り離している。この空間から逃げ出すには時空超越の能力が必要になる。が、奴にそんなスキルも加護もない。
「この場で終わらせるよ。キーエは逃がす訳にはいかないからな」
キーエを一瞥する。ついでに使役を解除した。
キーエ本人は何か違和感を感じたらしく?マークを頭上に浮かべているが、アンバーBは逸早く気付いたようだ。
「ば、馬鹿な!私の加護の力が打ち消されたと言うのですか!そんな、そんなバカなことがっ!」
アンバーの命運は尽きた。俺が居るこの場に来てしまったのが彼の運命を狂わせた。
キーエの未来は開けた。俺がこの場に来たことで使役されていた彼女の運命が好転した。たとえ帝国の偉い人が彼女を欲しても、彼女は俺が護ろう。エレの姐さんが怖いから!
「豚将軍、やれ!」
俺の命に豚将軍が巨重戦斧を振り抜いた。
アンバーの最後、呆気なさすぎる程呆気なく死んだ。天幕内に血肉を撒き散らしてお亡くなりになりました。
「えっ、なっ、え?ええっ!」
キーエが混乱している。使役が解除され状況が理解できていないのかもしれない。
実は亜空の異界に放り込んだ6人もこんな感じでワタワタしていた。ペティリアが何とかしてくれたみたいで助かったよ。
キーエも素知らぬ顔して異界に放り込んじゃう。
突然に消えた敵に帝国の者達は驚いているが、私は何もしりませ~ん。
「何がどうなっている!?あの男は死んだのか?あの女は逃げたのか?どうなっている、誰か説明してくれ!」
え~、メンドロクサイ!
かと言って何も説明しないのも問題だから適当に説明して、入り込んできたコダユーリオン兵を迎撃に向かう俺でした!




