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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
動くコダユーリオン
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久方ぶりの団欒

 新たな肉体を作った俺はだが、暫くはこのペティ・シオンでのんびりしてから戻ろうと思っている。

 そんな訳で只今俺は、自室にてデカいコタツを独りで陣取りみかんの皮を丁寧に向いている最中だ。


「ふぁあぁぁ~~~」


 と、大きく欠伸をしてたら、バタンッと扉を開いて部屋へと侵入してくる人物がいた。


「ん?此処に居たのか?おお、みかんか、どれ、私も頂戴しようか」


 と、勝手に入って来て、これまた勝手にオコタに入って来てはみかんに手を伸ばすアテナ神。


「ま、いいですけどね」


 今のアテナ神は鎧を脱ぎ、白いワンピースととってもラフな出で立ちだ。

 そんな彼女がオコタで背をピンッと伸ばし、丁寧にみかんの皮を剥き始める。


「こんな所で油売ってて良いんすか?」

「そう言うな。此処の居心地が良過ぎるのがいけないのだ」


 なんて言いながら一口みかんを頬張る。

 俺もみかんを口に入れ答える。


「此処、一応は楽園ですからね。まだ住人が一人も来ていませんが、動物や虫なんかは来てますね」

「それはそうだろう。この場には貴様と所縁のある者しか来れん。だが、この場に来れる程の善良な者達は貴様が助けているだろう」


 古竜騎士団の娘達やセフィー位なら資格が有るかもしれないな。だが、俺が死なせたりはしない。

 故にこの楽園にはまだ住人が居ないのか。


「貴様は神になって日が浅い。気長に待つのだな」

「う~ん。ペティシスターズの娘達や神魂器の娘っ子達が寂しそうなんだよね。早く友達と呼べる者達を作ってやりたいんだけど……」

「何を言っている。あの娘達なら私達が居る。ステュクス達もここにはよく足を運んでいる、貴様が悩む必要はない」

「いやいや、神様相手じゃ遠慮しちゃいますって」

「ふむ、それもそうだな。では、今度私の侍女でも連れて来よう」

「性格の良い子にしてくださいませ」

「性格の良い娘が好みか?」


 話題を変えよう。


「近頃どうですか?」


 そんなこんなで始まる四方山話(よもやまばなし)

 暫くの間二柱で会話を楽しんでいると、コンコンと扉を叩くノックが聞こえ、ペティシスターズが入室してくる。


「プルート様、アテナ様お楽しみの所失礼致します」

「フルーツの追加持ってきました」


 大きなお盆に大量の果物が乗っているお盆を持ち込むペティシスターズ。


「苺に西瓜、梨に林檎と選り取り見取りです」


 見たこともない果物もあるが、随分と季節感の無い取り合わせだな。

 そもそも此処は常春の地。それでも季節関係なく数々の恵みを齎してくれている。

 実は此処にコタツがあるのが可笑しいと言える。常春だからね。

 それでもオコタの魔力には抗えない。

 オコタに入って西瓜を喰うなんて初めての経験だよ。


「私達もご一緒しても構いませんか?」

「もちろんだ。皆で楽しもう。ところでシオンは?」

「ととさま、わたしもいるよ!」

「ボクもいるよ!」


 と、ペティリアの背に隠れていたシオンとレヴァンが顔を覗かせる。

 うん、二人ともちんまくてかわいい!

 シオンは俺の膝あたりの身長、レヴァンは腰位の身長だ。


「よしよし、皆おいで。一緒に食べよう」

「それでは失礼致します」

「「わ~い」」


 とてとてと駆けてくるちびっ子達は俺の両隣を陣取り、俺の対面に座るアテナの両隣にペティリアとペティレアが座る。両サイドにペティシアとペティネアが座った。

 座ったのを確認したアテナが口を開く。


「ところでお前達、この楽園に住人が来なくて寂しいのか?」

「?……いえ、その様なことは御座いませんが」

「寂しいことなんて有りませんよ?」

「はい、何時も誰か一柱はいらっしゃってくれますから」

「うん、神様がいてくれて嬉しい」


 そんなに毎日来とるんか!何やっとんねん神様、暇なのか!


「ふふふ、だそうだプルートよ。貴様の思い過ごしだったな」

「ぐぬぬ、でもまぁ、寂しくないのなら良かったよ」

「でも……、ととさま居ないと寂しい」


 くぅ~、かわいい奴め!

 シオンの頭をくしゃくしゃと撫でまわす。きゃっきゃと言いながら表情は楽しそうなシオンちゃん。


「貴様が寂しいのではないのか?」


 と言われ、ふと気づく。

 あれ?俺の本体は常に此方にいるのに寂しい想いをさせているのか?

 俺の本体はほぼ冥界に居ることが多い。と言うか冥界そのものなのだから当たり前か。

 考えてみたら、楽園に来るのは久しぶりになるな。

 特に今は戦で死んだ者達がわんさかと冥界入りしているからな。

 俺自身が寂しかったのかもしれない。


「すまなかったなお前達。これからは此方にも居る様にするよ」

「いえ、プルート様が謝れることでは御座いません。心配をお掛けした私達の落ち度です」

「いや、お前達に悪い所なんて一つもないだろ?俺の家族だ、俺がしっかりせにゃならんかった」


 そしてもう一つ気付く。


「その内に燿子も此方に連れてこないとな」

「うん、あの娘も寂しがってる」


 これはレヴァン。


「でも、あっちにはセフィーがいる」


 セフィーの名にアテナが反応した。


「おお、プルートの妻か!」

「まだ結婚してない」


 その言葉でその場の空気が凍った。

 あれ?どしたの?


「……妻、ですか」

「……まだ、なんですね?」

「……可愛らしい娘ですよね」

「……いつ?」


 ペティリア、レア、シア、ネアの順で言ってくる。

 どうした!声のトーンが低くありませんか!


「くくくっ」

「んぐ、永遠の処女神が何て話題持ち出してくれてんの!」


 アテナは笑ってる。

 こんにゃろ!分かってて爆弾投下しやがったな!


「いや、ほら、まだ結婚するとは決まってないし」

「くっくっく、しかしな、あの娘にはプルートの妻であることの称号があるからな。これは運命よ」

「ぐぅ~」


 シスターズの冷たい視線が突き刺さる。

 いや、俺が悪い訳じゃないし。あの娘も悪い子じゃないだよ!?


 俺が頭を抱えていると、再びノック音が聞こえた。

 扉を開き入ってきたのは、俺の神魂器達だった。


 助かった!この空気を有耶無耶にするチャンスだ!


「よ、よう。皆入りなよ」


 入ってきたのは、日本刀の神魂器である朔夜、同じくミルティ―ユ、蒼剣のテレザに白剣のシーシァ、万能衛星のアリシア、銀狼にして白銀剣のリュルフに宝玉のトキミ、戦扇のオルガ、神銃のローシャの九名だ。因みに、銀狼の二人はちゃんと人化しての登場だ。


 キララとミネルヴァが揃えば、全ての神魂器が集結したのにな。少し彼女達に悪い気がする。


「マスター、私達も同席しても構いませんか?」


 和装の美女である朔夜が言った。


「ああ、勿論だ!皆座って、って場所がないか」

「新しくコタツを用意致しますので暫くお待ちください」


 透かさずシスターズの皆で大きなコタツを取り出し隣に設置し、果物もポンポンと創造していく。

 この果物創造してたのか?この世界には至る所で果物が実っている。西瓜や苺は正確には果物ではないが、そんなことは関係なく実っている。

 そこから取って来てるのかと思っていたが、創造していたのか?


「いえ、最初の果物は森の恵みを頂きました。ですが、ここは時間を省きたく思い創造しました」


 俺の視線に気づいたリアが答えてくれた。

 いや、どちらも同じだから気にしなくていいんよ。


「有難うな。皆には気を使わせてばかりだな」

「いえ、それ程手間ではありませんから、お気になさらず」


 創造を片手間と仰いますか!流石は俺の長女様だ。

 正確には、最初に創世したペティ・シオンが長女になるが、彼女の自我が芽生えたのは最近の話で、末娘として扱われている。

 まぁ、その話は置いておいて、皆も座り楽しいオヤツタイムが始まった。


「で、プルート様は何時ご結婚なされるのですか?」

「え!その話続けんの!?」


 不意にリアが話を戻してしまう。勘弁してくれ~。


「ああ、セフィーちゃんのことですか?」


 シーシァが答えてしまう。

 ああ~、その話を続けないで~。


「あの娘、かわいいですよね」

「まさか称号に妻の席が記されてるとは、珍しい現象ですね」

「む~~、ダメ!主は渡さない」

「わわわ、私だってプルート様は渡さないよ」

「はははっ、キララが知ったらどんな顔するかな?」


 がやがやと盛り上がる俺の妻談義。


「くくくっ、アレは特別だな。なに、神の妻など何人いても問題なかろう。全員揃って妻にして貰えば良い」


 この神さまいちいち爆弾落とさにゃ気が済まんのかい!

 処女神がそんなんでやってけんのかのう。

 そして虚空から酒を取り出しんぐんぐと呑みだしたよ!


「なんだ?貴様等も欲しいのか?良い、許す、好きなだけ飲むと言い」


 と、ガバガバとコップに酒を注ぎ皆に配りだすアテナ様。

 う~ん、芳醇な香りに酔わされそう。


「って、これネクタルじゃねぇか!」


 ネクタルとは神々の飲み物で、生命の酒、不老不死の酒などと呼ばれる飲み物だ。

 飲んだ者に永遠の若さと不死性を与えるとされ、神々の間で楽しまれている。尤も、元から不老不死の神には効能は関係ないが、神でない者に与えてしまうと死ぬことが出来なくなってしまう。

 飲み物をネクタル、食べ物をアンブロシアと言い、これもネクタル同様に不老不死の神薬なんだ。


「良いんすか!こんなのガバ呑みしちゃって」

「硬いことを言うな。楽しい席で呑まずにいつ呑むと言うのか?皆は既に不老不死、呑んでも問題ない!」


 う~ん、それもそうだな。俺もこの酒を飲むのは初めてで楽しみにしてるんだ。

 手元に渡されたコップには、血の様に赤い液体がなみなみと注がれている。


「で、では……。ゴクリ」


 少し緊張するな。神々の間でしか飲まれていない酒だ。

 俺も神だが、今までは縁がなく飲めていなかったからな。

 周りを見渡せば既に皆が口を付けている。

 グビグビと呑む者もいれば、チビチビと嗜む程度に飲む者もいる。


 俺も恐る恐る口を付けてみる。


 んまっ!

 これうまっ!


 ………………

 …………

 ……


 ん、あれ?やべっ、呑み過ぎた。

 神に状態異状なんて概念は無いのに、俺は今酔っ払っているのか?

 だはぁ、これからの事を考えないといけないのにぃ、これは無理だぁ~。

 もう、このまま寝てしまえ。このまま落ちちゃおう、そうしよう。


 ぐぅ~。


「ふふふ、プルート様は寝てしまわれましたね」

「こ奴も存外に酒に弱かったか」

「アテナ様、知ってましたね?」

「うむ、バレたか。こ奴に飲ませたのは原液に近い濃厚なネクタル。お主達に飲ませた物とは別物よ」

「どうなさるお積もりですか?」

「なに、何もせんさ。が、お主等は好きにすると良い。何が起ころうともこ奴の失態だからな」

「まあ、アテナ様ったら」

「ふふふ。さて、リュルフよ。お主は私と散歩でもしようではないか」

「!!!」

「まぁ、そう怪訝そうな顔をするな。只の散歩だ。それともお主ここにいたいのか?」


 フルフルフル!


「では決まりだ。行くぞ」









 …………あれ?なんで皆半裸?…………なんで俺は裸で寝てんだ?…………あれれ???






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