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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
動くコダユーリオン
53/66

なんで出てくんねん!

 はぁ、良かった良かった。

 ディディの乱入で転移の事を有耶無耶にできた。更に、交渉に失敗したらスクディアの命が危ないという事実に気づかれずに済んだ。

 ディディさまさまだな。

 勿論、その場合でも何とかしたが、俺の話を聞いただけで彼等が信じるとは思えないからな。

 だが、セフィーは気付いていたのかもしれない。

 此方に来る際に、「私も連れていって」と食い下がるセフィーを、ヴィクトリアに預けるのが大変だったよ。


「なっ、何者です!」


 ってな訳で今、俺はスクディアの目の前に立っています。

 ロックサーナと呼ばれた女性が声を張り上げ警戒を顕わにする。

 それもその筈、転移で来たので突如として目の前に現れたことになるからな。


 場所は草原の真っ只中、彼女達は来た道を引き返し、スクディアを本拠地へと護送する途中なのだ。

 スクディアは拘束され馬に乗せられている。


「よっ、久しぶりだなスクディア、元気してたか?」

「お、お前はフヅキ!」

「スクディア王子を取り戻しに来ましたか!?」

「違う違う!交渉しに来ただけ。話を聴いてくれ!」


 茶々を入れられたくないから間髪入れずに交渉に入る。

 先程の会議で決まった事を懇切丁寧に説明した。


「降伏?それを信じろと?」

「悪い話じゃないだろ?其方も此方もこれ以上の犠牲が出ないうえ、アンタ等は無傷の防壁結界を手に入れられるんだから。只、皆の命を保証して欲しいだけだ、王族も含めてな。それだけでこの国が手に入るんだ良い話だと思うんだが?」

「何を世迷言を!と、言いたいところですが、現状では貴方方王国軍に勝ち目はありません。妥当な選択と言えますか」

「だろ?」

「ですが、私に決定権はありません。この場で貴方の話を完全に信じることも出来ません。よって貴方も我々と同行してもらいます」

「構わんが、あんた等の脚に合わせると遅くなる。俺の転移で一気に行くぞ。構わないよな?」

「なんですって?転移ですって!」


 いくら魔馬とはいえ、本拠地まで長い時間が掛かる。何せ通常の馬なら何か月も掛かる道のりだからな。

 俺は相手のリアクションに構わずに亜空間の通路を開き「コッチだ」と道を示す。

 空間に黒く縁取られたトンネルの様な物が生れた。出口側には大型テントが幾つも建てられた広場が遠くに窺える。

 そこには多くの兵が行き来しながら騒がしく動き回っている。


「なっ、何なのですこれは!」

「さぁ、早く渡ってくれ。維持するのもしんどいからな」


 俺はさっさと通路の中へと入り彼女達を待つと、恐る恐るロックサーナ達も渡り始めた。

 その際に俺の横を通り過ぎていく。連れ違い様に馬上からスクディアが声を潜ませ囁きかける。


「大丈夫なんだろうな!」

「ケセラセラだよ」

「何?どういう意味だ!」

「なるようになるさ」


 怪訝な顔つきのスクディアを、その背に乗せる魔馬が通り過ぎていく。

 次第に先頭を進むロックサーナがトンネルを抜け、更に全員が外へと抜けた。


 突如として前線にいた者が帰還したことで周りは騒然とし、一人の兵士がお偉いさんを呼びに駆けていった。


「ロッ、ロックサーナ様、何故此方に?前線に行ったのではないのですか?」


 一般兵だろうか?一人の武装した男性がロックサーナに話かけた。


「え?いや、まあ、そうなのですが……」


 ロックサーナが困惑して言葉が出ないでいる。

 自分でも良く状況が把握できていないのか?俺が代わりに話しておこう。


「ういっす!総司令官殿に用があって来た。総司令官殿は何処だ?」

「え?あ、はい。総司令官殿は彼方のテントの中ですが……、貴方は?」


 武器こそ構えていないが、彼の顔にはまざまざと怪訝さが浮き出ており、俺を怪しんでいることが丸分かりだ。まぁ、当然だがな。


「ああ、俺は……」


 敵対したい訳ではない事を伝えようとした時、一人の男が近付き俺に声を掛けてきた。

 はて?なんざましょ?


「先日は世話になったな。だが、何故貴様が此処にいる!」


 勇者マーズだ。彼の登場で兵士の表情から緊張の色が取れた。先程駆けて行った兵士が呼んだのだろう。


 マーズと俺とは敵対関係にある。少なくともマーズはそう思っている筈だ。俺自身は敵と言うより、世話になった人の敵でしかないのだが。

 えっ、同じだって?そうじゃない。敵と友の敵では意味が違う。

 俺にとっての敵とはそれ即ち殺す者だ。或は倒す者だが、友の敵とは友に危害が加わえられない様な状況へ持っていく相手となる。

 故にマーズと俺では、明確に相手に対する敵意に差があるんだ。


 なのだが、そんな間柄にも拘らず勇者が剣を向けてこない。曲がりなりにも彼の危機を俺が救った事に成るからだろう。

 欠片はマーズにとって危機的存在だったのだ。本人の意思を捻じ曲げ負の感情を植え付けていたようだからな。


 彼は俺に欠片を剥がされた後、真直ぐに此処へと戻って来ていた。休養と作戦の見直しのためだ。


「何故って。それをこれから総司令官殿に話すつもりだよ。勇者殿も同席するといい」


 俺が言うとマーズはスクディアの方へと視線を移し眉間に皺を寄せる。


「む、其方は第二王子のスクディアか。成程、差し詰め降伏交渉でもしに来たか?まあ良い、お前の言う通り同席させてもらおう、こっちだ付いて来い。ロックサーナ、お前も同席しろ」

「はっ」


 やけにあっさりと納得してくれたが、此方としては助かる。

 マーズは俺達を先導して歩き出す。

 やや歩き、幾つもの天幕を通り過ぎて辿り着いた一際大きな天幕、その中にマーズは此方だと言って入っていく。続けて拘束されるスクディアが騎士に連れられ入室し、ロックサーナに急かされて俺も中に入る。

 中には既にお偉いさ方が揃っているようで大きな卓を囲っている。

 人数は、総司令官、副官らしき人物、参謀思しき人物に騎士が二人、先程入った勇者マーズにスクディア、ロックサーナに俺の9人だ。

 卓の上には大まかに書かれた地図が乗っており、作戦会議の最中だったようだ。


「ああ、貴殿はインペラートル王国の使者で相違ないか?」


 参謀らしき人物から問い掛けられた。


「ああ、俺はフヅキと言う。これが国王から渡された書簡だ」


 ユピテルに渡されていた書簡を亜空間から取り出し、副官らしき人物に手渡す。


「確かにインペラートル王家の蝋印、拝見しよう」


 書簡には降伏する旨と、条件が書かれている。

 簡単に纏めるとこうだ。


『降伏の条件 其の一、スクディアの身の安全。

 降伏の条件 其の二、ミーレスをこのまま攻めるフリをすること。

 降伏の条件 其の三、民への攻撃は一切しないこと。

 降伏の条件 其の四、降伏後の王族、臣下の身の安全。 

 この条件を呑むのであれば、折を見て防壁結界を解除し、ミーレスを防壁ごと受け渡す』


 副官は書簡を確認すると総司令官に手渡している。

 書簡は総司令官が読み終わると他の物へと順に手渡される。

 次第に場がざわつきだしてくる。


「静まれ、して、貴殿はこの書簡の内容を知っているのか?」

「ああ、大体のことは聴いている。条件としては悪いものではないと思うが?」


 マーズが口を挟んでくる。


「確かにな。が、これが罠ではないと証明できるか?」

「証明は難しいな。だが、スクディアをこのまま置いていく。もし、約定を違える場合は彼を好きにするといい。それと、これを渡すように言われている」


 俺は一つのプレートを取り出しマーズへと手渡す。


「これは?」

「城門を潜れる通行手形だ。一度切りらしいが、それがあれば結界を無視して入る事が出来る」

「一つだけか?」

「それ一つで数十名は入れると言っていたぞ?」

「本物である証拠は?」

「鑑定すればいい。何なら解析し複製を作っても構わないそうだ」


 どうせ手放す城壁の通行手形だ、幾つでも複製したところで問題ない。

 マーズは通行手形を【鑑定】スキルを持つ参謀に渡し鑑定している。


「うむ、確かにこれは本物のようですな」

「ああ、それで信用してもらいたい。それはインペラートル国王ユピテルが、ヴァンチトーレ帝国軍を信用して渡すものだ。中に入れるとはいえ、暴れないでくれよ」

「無論だ。では我々だけで話し合いたい。使者殿には用意した天幕で休んでいて頂こう」

「ああ、了解した」


 総司令官に命じられた騎士二人が俺とスクディアを外へと誘う。

 俺達は天幕の出口へと振り向いた瞬間、初めてソレに気が付いた。


「な、何者だ!」


 出口の前に一人の長身の女性が立っていた。この場に居る誰一人彼女の存在に気づく事が出来なかったのだ。


 その女性は見事なまでの金の長い髪を靡かせ、同じく金の切れ長の瞳で俺達を見ている。

 細い身体に白銀の鎧を身につけており、僅かに覗かせる肌はまるで赤子の様に肌理細かい。

 立ち居振舞いは何処となくユーノに似て凛とした雰囲気を醸し、表情は厳しく引き締められている。


 が、この女性は……!


「投影か」


 マーズに先を越されたが、この女性は実態がない。面と向かいながらも気配を感じさせないのだ。

 面と向かっているにも拘らず、俺に気配を悟らせない者などこの世に存在しないと断言できる。

 そうなるとアレは幻影の様な物だ。

 更に俺は彼女を知っている。また随分と厄介な御仁が出て来たもんだな!


「聞こえんか!貴様は何者だと聴いている!」


 副官が怒鳴るが止めた方がいいぞ。


「私が誰か分からんか?」


 澄んだ美しい声、彼女が初めて口を開いたんだ。


「その方等に用はない。用があるのはプルート、……いや、フヅキと呼んだ方が良いか?私は貴様に用がある」

「うげ、やっぱりか。用があるって何の用っすか、戦神アテナ?」


 俺の言葉で彼女の名を知り、騒ぎだす周りの連中が邪魔だな。


 そう、彼女は戦女神アテナ。

 まぁ、彼女が俺に用があるっつったらあの事だろうな。


「惚ける気か?私の可愛い使徒を奪っておきながら」

「アレはしょうがなかったんだよ。あのまま死なせるのは貴女だって不本意でしょうが」


 くそっ、やなタイミングで出て来ちゃったなもう。


「貴様には他にも取れる方法があった筈、それを寄りにもよって————」


 アテナは握り拳を作り悔しそうに言ってくる。


「申し訳ないとは思ってますって!でもほら、仕方が無かったんすよ」

「何が仕方ないだ!」

「と、兎に角、ここだとアレなので場所を移しません?ほら、皆驚いてるじゃないっすか」


 戦女神アテナは俺よりも遥かに神格も実力も上の神様だ。

 いくら絶対神力の加護が俺にあるとはいえ、真面にやり合ったら勝ち目が無い。

 実は師匠との修行中によく手合わせしてくれていた女神様で、鬼の三闘神とは別のもう一柱の師匠とも言える神様である。

 因みに忘れていると思うから説明すると、鬼の三闘神ってのは、アザミ師匠とその友の二柱の女神様のことですよ。俺の三柱の師匠と呼べる神様ッデス。

 鬼の様に強く、鬼の様に容赦のない女性達です!


「良かろう。場所を移してじっくりと話を聴かせてもらう」


 うぐ、頭ン中で余計なこと考えていたら既に見知らぬ土地へ転移させられてるっす!

 草原のど真ん中に一つドデカい神殿が建っており、俺はそこへと誘われた。


「さて、話を聴こうではないか。何故、私の使徒であるミネルヴァを神魂器なんぞに!」

「ア、アテナ師匠?顔が近いっすよ!チューしちゃいますよ!」


 瞬間、脳天に衝撃!

 只小突かれただけだが、その衝撃で意識が飛びかける。

 未だ幻影なのにどうやって俺にダメージを与えてんだよ!


「う、うぅ、ちょっと冗談いっただけなのに!」


 頭を押さえて蹲る俺にアテナが言う。


「……成程。そういうことか?」

「はて、どういうことでしょう?」


 いきなり何を言ってるんでしょうかね。この女神様は?


「今ので理解した。プルート、貴様、可成り弱体化しているな。その為に蘇生が不可能だったか?」

「テュポーンの欠片に呪われてるんすよ。そのお陰で本体とアクセスできないでいるんす!」

「だったらその肉体を捨てればいいだけの話。ふふっ、自分で出来ぬと言うのなら私が手伝ってやろう。話はお前の冥府でするとしよう!」

「ちょ、まっ!」


 ……………………

 …………

 …

 

「くそっ、いきなり消し飛ばしてくれちゃってからに!」


 ここは冥界プルート、俺の冥府、死者の国であり俺自身だ。

 その冥府の玉座に座り愚痴を垂れる。

 アテナの姐さん、有無を言わさず俺の肉体を消滅させちゃったんだ。

 さっきまでの肉体は綺麗に消し飛んだ。よって俺の意識は本体の意識と融合してしまった。

 また新たに肉体を構築して意識を分割し、彼方の世界へ送り返さないといけなくなった。


「そう言うな。今後のことを考えれば悪い事ではあるまい」

「はぁ、どうして当たり前のように此処に居るんすか?アテナ師匠は!」


 俺の座る玉座の真ん前に立つアテナ。彼女はどことなくニヤケ顔だ。

 凛とした姿でニヤケられると怖いんですけど……。


「まだ、ミネルヴァについて聴いてないからな。此処では殺風景だ、ペティ・シオン(楽園)で茶でも飲みながら話そうではないか」

「はあ、確かに此処では何ですね。分かりました、では行きましょうか」


 俺はペティ・シオンにいるペティリアへと念話を飛ばして来客を知らせ、それからアテナを連れて転移した。

 此処は楽園。見渡す限りの大自然、山に森、川に海、花園が彼方此方に点在し、自然動物が何の警戒もなく駆け回っている。

 肉食獣も草食獣も関係なく戯れ、蝶やトンボが優雅に空を飛び、花々ですら唄い出す。

 争いは一切なく、皆が仲良く暮らしている。


「「「お帰りなさいませご主人様」」」


 出迎えてくれるのはペティリア、ペティレア、ペティシア、ペティネア、そして幼いペティ・シオン。

 アテナは家のメイド聚のリーダー、ペティリアに連れられて屋敷へと向かった。

 俺の中に居たリュルフとトキミ、それにレヴァンも飛び出して駆け回り、屋敷の方へと走って行った。


「いきなりで悪いな。俺も急だったんだよ。対応,ありがとな」


 俺の傍に控えるペティシスターズに一言お礼を言っておく。


「いえ、アテナ様はプルート様の不在時にもちょくちょく遊びに来てくださってますから、問題ありませんよ」

「はい、アザミ様ともよく来られますよ」

「賑やかで楽しいです!」


 ぐぬぬ、人の固有世界に何で入って来てんだ、あの女神達はあ!

 いや、まあ、許可は出してあるんだけどね。

 本体とアクセスできなかった俺はその事実を知らなかった。知ったのは本体と融合してからだ。

 などと考えていると、俺の脚に「ととさま、ととさま」とガシリと抱きつくペティ・シオン。

 彼女はまだ小さく、俺の膝辺りの身長しかない。

 その彼女を抱き上げ、頭をなでる。かわいい。茶髪の茶色い眼。小さな体を一生懸命に動かしている。


「おっ、シオンも元気で何よりだな。よしよし」


 ペティ・シオンが俺をととさまと呼ぶのは、彼女達ペティシスターズは、俺が無から産み出した女性達だからだ。

 シオン以外が様付けで呼んでくるのは、父呼ばわりされるのは小恥ずかしいから呼び捨ててくれつったら様付けになったんだ。偶に呼ばれることもあるんだけどな。


「へへへ、ととさまだぁ~」


 と、かわいく抱きついてくれるシオンちゃん。

 俺はこのままシオンを抱いてアテナの後を追う。


 俺の屋敷、俺の創造の力で創り出した住まい。庭には大きな蔵、大蔵大臣が建っており、大きな池もある。

 池には色豊かな錦鯉が泳いでおり、ししおどしも設置してある。

 純和風な屋敷になってたりするが、ペティリアたちの衣服は何故かメイド服だったりする。

 初めはアンバランスに感じたが、慣れてしまえば何の問題もない。今では当たり前の風景だ。


 さて、屋敷へと入り客間で寛ぐアテナの元へと急ぐ。


「お待たせしました。失礼しますっと」


 言って返事も待たずに部屋の中へと入ると間髪入れずにしばかれた!

 俺の腕の中で「きゃきゃ」とはしゃぐシオンのお陰で何とか耐える。


「なにすんすか!」

「レディの部屋に返事を待たずに入る奴が悪い」


 「ととさまダメだよ」とシオンにまで怒られてしまった。


「それはすみませんでしたね!」


 不貞腐れながら誤って置く。女性の恨みを買うのは怖いからね。


「まあよい。では、茶を飲みながらでも話を聴くぞ」


 それから俺は、嫌がらせの如く事細かに、今までの事をねちっこく長々と話してやった。

 ミネルヴァを助ける方法が神魂化させる以外には無かったと主張する。

 茶のお替りを何度かした後、漸く話を終えたのだ。 


「ってな訳で、納得して頂けましたかね?」

「ふむ、貴様が如何に不甲斐ないかが分かった。まだまだ鍛えねばならんようだな」

「えぇ~」


 もうこの頃にはシオンが船をこぎだしたので、ペティリアに預けて俺とアテナの二柱しかこの部屋には居ない。

 情けない声を出しても、娘達に聞かれることもないだろう。


「ミネルヴァは貴様の神魂器になった訳だが、これから彼女をどうする気だ?」

「彼女にはあのまま王国に居てもらい今まで通りの生活をしてもらうつもりですよ。ただ、不老不死の身、あの国がどうなるか分かりませんが、王国が彼女をどう扱うかにもよります」

「ああ、守護神と崇められるか、化け物と罵られるかか?彼女にはいずれ私の神格位を授けることを考えていたが、今となっては不可能だな」


 神格位を授かった人物は神の使徒となり、神の使いとして働く事になる。

 曲がりなりにも神の力を扱え、神に迫る力を手にすることが出来る。

 あの世界で行われている勇者召喚に少し似ている。


 勇者召喚とは、下級神が宇宙に散らばる力を利用して、召喚した者を強化し神兵とする行為だ。

 神格位を授けるのは、上級神が気に入った人物に自らの神格の一部をコピーして与え、使徒とする行為。


 勇者は神敵と戦う宿命を持つが、使徒はそうとは決まっていない。

 使徒は神格を与えた神の命で動く者。敵と戦うだけではないのだ。その代わりに規格外の力を手にすることになる。

 因みに神魂器は、神の武具と化すものだが、生前の肉体を持ち自由行動も可能だ。よって、ミネルヴァをこのまま王国に残してやることも出来る。

 神魂器には段階がある。段階を上げるには神魂器を使用して格を上げる必要があるが、ミネルヴァにはそれを強いる積もりは無い。

 あの世界に未練が無くなった頃にでも迎えようと考えている。


「ああ、あの国が帝国に下るのなら、治めるは我が父ゼウスか。そうなればミネルヴァの身の危険もあるな」

「ん?身の危険?ミネルヴァなら大丈夫じゃないのか?アレは強い」

「いや、そっちの話ではない。彼女が父好みの女性だと言う事だ」

「ぶっ、いやいや、いくらゼウスでも人の神魂器に手を出す馬鹿じゃないだろ!?」

「私の使徒なら遠慮もしただろうが、プルートの神魂器にどれだけ気を遣うかだな」

「えっ?そんなにアイツは節操がないのか!ヤバいじゃん!ユーノなんて奴のどストライクじゃん!」

「う~ん。いや、プルートと言うよりハデスに気を遣うかもしれんな」

「う~~ん。どうだろう?もしかして王国を降伏させるのはマズいのか?」

「いや、ミネルヴァやその他の女性には私が目を光らせておこう。貴様はそのままで良い」

「じゃあ、このまま降伏させても良いんだな。ミネルヴァやユーノ達もアテナ師匠が護ってくれるんだな!」

「あ、ああ。父の暴走を止めるのも娘の役目と言う訳だ。最悪ヘラ様に言いつける」


 ヘラ様ってのはゼウスの正妻だよ。

 彼女はゼウス関連には極めて厳しい性格をしているが、何故か俺には優しいんだよな。


「じゃあ後は俺が元に戻ればいいだけか」

「肉体を作らないとな」

「はぁ、面倒臭いが一から作り直すよ」

「今度は呪になど掛からぬ強靭な肉体を作るんだな」

「簡単に言ってくれるよ。はぁ、先ずはスペックから考えないとな」


 こうして再び俺の肉体造りが始まった。

 スペックは先の肉体より強靭に、スキルを増やして、魔術適性をセット。魔法は本体から直接神気を送ってもらうようにしてっと。

 見た目を変える事も可能だが、やらない。混乱を来すからね。

 いざという時の為に神能を使えるように調整して、その力に耐えられるように更に強化。


 と、あれやこれや詰め込む。

 結果。


《種族:神魂・神、肉体・人

 名前:女神(おみながみ)文月(ふづき)(神名:プルート)

 加護:絶対神力 ランク:(トランセンド)

 称号:女神(おみながみ)流・継承者(+能力暴昇)

 称号Ⅱ:神の創りし強化されし肉体(+本体接続、+状態異常完全無効)

 称号Ⅲ:手加減を極めし者(+加減乗除)

 神格:冥神、豊穣神、剣神

 神能・魔法:プルート経由

 突破(ブレークスルー)スキル:【プルート】【神器創造】

 限界(リミット)スキル:【名前付与(ネーム・グラント)】【名前破壊(ネーム・ブレイカー)】【レベル概念付与(レベル・エンチャント)】【自動知(ウィズダム・)識収集(コレクション)】【亜空間】【神速】

 固有(ユニーク)スキル:【天譴(てんけん)】【偽装隠蔽・強】【千里眼】

 上級スキル:【武芸之才】【天駆】

 スキル:【身体強化】【思考加速】【分裂思考】【高速再生】》


 やり過ぎた!

 神話級を表すTランクだし、いろんな制限が無くなった。

 【加減乗算】は、能力値を足したり引いたり掛けたり割ったりするスキル。容易に手加減が出来るようになったと思おう。

 ふむ、やっぱりやり過ぎか?でももう作っちゃったしな。

 偽造で誤魔化そう。


《種族:人

 名前:|フヅキ

 ランク:B

 称号:女神(おみながみ)流・継承者(+能力暴昇)

 魔術適性:火、水、風、地、闇、回復、特殊、生活

 信仰魔法:冥神プルート

 限界(リミット)スキル:【名前破壊(ネーム・ブレイカー)】【自動知(ウィズダム・)識収集(コレクション)

 固有(ユニーク)スキル:【天譴(てんけん)

 上級スキル:【武芸之才】【天駆】

 スキル:【身体強化】【思考加速】【分裂思考】【高速再生】》


 こんなもんで良いかいのう?




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