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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
ヴァンチトーレ帝国の脅威
47/66

降臨

 ちっ、欠片に見つかってしまったか!

 奴は既に俺の眼前、両腕に握られるラードーンで殴り掛かるモーションの最中だ。


 奴は俺にえらくご執心のようだ。……当たり前か。たかだか数時間前にコイツをマーズから引き剥がしたばかりだからな。更に遡ると数日前にも欠片を撃退している、恨まれて当然と言えるか。

 奴の目的を阻む最大の障害は、間違いなく俺なのだから。

 欠片の目的とは即ち、本体の解放に他ならない。動けない本体に代わり、封印を解く為の手足なのだ。

 その手足の一つを倒し、二つ目の邪魔をしている俺が目の前のコイツは憎くて仕方ないらしい。


 俺と殺り合う事で、出しきれていない欠片の力を引き出し兼ねないので、出来れば避けたかったのだがやむを得んか。

 素早く亜空からレヴァンを呼び寄せ、振るわれる奴の拳を止める。


「きゃ」


 生じた衝撃波に傍に居たトモエが短く悲鳴を上げる。


「ガアァァァ————————————!!!」

「ちっ、相変わらずだな」


 疑問に思う、コイツに理性はあるのだろうか?

 欠片は出鱈目に腕を振り回し俺を殴ろうと躍起になっている。

 強狂怖でやり合った欠片には確かに理性があったが、コイツからは理性の欠片も感じない。

 宿り主が只の鎧で自我がないためだろうか?いや、マーズの時もこんな感じだったっけか。


 そんなことを考えながら攻撃を躱し続けていると、キララとミネルヴァが「あ、主!」「フヅキ殿!」と俺を呼び傍に駆け寄ってくる。


「よっ!二人とも無事で何よりだ」

「何を呑気な。こ奴は強いですよ。油断なきよう気を付けて下さい!」

「そうだよ主。油断してるとやられちゃうよ!」


 二人して俺に注意を促してくる。

 二人とも俺の神魂器なら分かってると思うんだが、俺にとってコイツは脅威ではない。

 森で出くわした奴ならいざ知らず、自我の希薄なこの欠片は俺の敵ではない。

 俺にとっての脅威とは、強烈な自我による緻密な悪意に他ならない。只の暴力では神の力を十全には発揮されないからだ。

 恐らくこの欠片には時間軸を弄った攻撃を行う事は不可能だろう。出来るのなら既に使っているだろうし、使われたところでさしたる問題ではない。だって、攻撃力が乏しいんだもん。

 今現在、他の時間軸からの攻撃が無いのはコイツが時間を操れないからだろう。

 尤も、今の俺にも時間軸を操るのは難しいけどな!が、やってやれない事はない。


 俺は特に脅威を感じないが、他の者達にはそうではなかったようだ。


「ちょ、主ぃー、避けてばかりいないで少しは反撃してよぉ!」

「くっ、距離を離せません。此処は魔法で距離を空けましょう!」


 二人は悪戦苦闘しながらも欠片と渡り合っている。

 仕方がない、二人で仕留めて欲しかったが少しは手伝ってやりますか。


「じゃ、少々強くいきますか!」


 俺は欠片に向かって一歩を踏み出しレヴァンを力強く横薙ぎに振るう。

 欠片は両の腕でガードするが構わず振り抜くと、レヴァンに耐えられず吹き飛んでいった。

 同時に少々無理をさせて時間軸に干渉。未来に向けても一撃を放つ。奴にこれを防げる手段はないだろう。


「ちょ、ちょとちょと。主、力が戻ったの?」


 今のは他所から見たら只の空振りだが、キララには何をしたのか分かったらしい。

 キララは今の俺の肉体が呪い塗れだと知っている。故に時間軸に干渉する攻撃は出来ないものだと思っているようだ。


「いや、ちょっと無理をしただけだよ」


 実際に無理をしたのは俺ではなくレヴァンなのだが、この子の【杯呪解怨(シュヲノミコムモノ)】のスキル効果で一瞬だけ呪いを解いたんだ。

 まだ少し休ませてやりたいが、今はリュルフやトキミを見せるのは控えたいから致し方ない。今のところ、欠片が把握している俺の神魂器はキララだけだ。出来れば他の神魂器達は見せたくはない。


「主、私、武器化する?」

「いや、今はいいや。このまま数で押し切ってしまおう。出来れば二人で相手してもらうと助かるけどな」


 二人での戦闘を仄めかすと、ミネルヴァが否を唱える。


「いえ、我々二人ではこ奴の相手は分が悪いと思います。フヅキ殿も参戦して頂くと有難いのですが……」


 彼女は神魂器になって僅かな時間しか経っていないから、自分に何が出来るのかなんて分からないのだろう。神魂化したことに由り増加した力を理解できていないようだ。

 この戦いでその辺りを把握してくれると助かるが、そう上手くはいかないのかもしれないな。


「俺の見込みだとやってやれない事はないと見てるけど。不安なら力を貸すよ」

「助かります。我々だけではダメージが通らないのです」

「そうなんだよ。どんなに傷を負わせても直ぐに回復しちゃうし、そもそも硬くて致命傷が与えられない」


 鎧だけあって防御力が高いのか?

 雄叫びを上げながら立ち上がる鎧を見て、先程の攻撃が効いているのかを確認する。


「うん、回復してるね。まぁでも、前の奴と比べればマシかな」

「確かに前のと比べればマシかも知れないけど、主も前と比べると弱体化してるじゃん」


 飛び掛かってくる欠片を避けながら、キララが呑気にもそんなことを言ってくる。

 確かに前回よりも弱っているけど、それでも前回よりもマシだと思うぞ。

 しかし、時間を掛ければどうなるか分からないからな。二人の為にも早々に倒してしまおう。


 俺は俺の中に溶け込むリュルフの力を借りて身体能力を大幅に強化し、トキミの力で魔力を増幅する。

 その状態を維持し欠片をレヴァンで滅多打ちにしていく。強化された筋力、速力、魔力をフル活用しての乱打だ。

 ここでキララを神魂器として使おうか迷ったが、持っていたレヴァンをそのまま使った。


 欠片は成す術無く打たれ続け、鎧の彼方此方がひび割れていく。このまま打ち続ければ難なく倒せるだろう。


 ……世の中ってのは厳しいよね。

 絶対の自信をもっての行動でも、時として上手くいかない時が稀にあるんだもんな。

 余りにも確率が低すぎて考えから除外していたことが、当然の様に起こってしまう事ってないかい?

 例えばさ、何時ものように仕事をこなしてたのに、突然の停電でこれまでの仕事内容がオシャカになったり、平々凡々に暮らしてたのに突然に異世界に転移されちゃったりとかさ。

 異世界転移なんて確率低いどころかゼロじゃねぇ?なのに俺の身にはそれが起こってるし。


 何が言いたいのかと言うとだねぇ、不測の事態が起こっているのですよ。

 欠片が突如として進化してしまう確率なんて考えて無い訳なのさ。

 なのに目の前で彼奴は突然光出して形を変え始めている。コレは崩狐が滅狐に進化した時と同じなのだろう。俺自身は見ていないが、ミネルヴァが反応している。

 進化させる訳にはいかないので、手を止める事無くレヴァンを振り続ける。が、無駄だろうな。レヴァンは、奴の身体に届く前に光によって全て弾かれてしまった。


 仕方なく奴から距離を取る。何が起こるのか分からない状態で傍には居たくない。すると、背後から悲鳴にも似たセフィー達の声が聞こえて来た。


「ト、トモエ!大丈夫ですか!?突然どうしたのですか?」

「殿下、お下がりください!」


 振り向くとトモエが苦しそうに蹲り、心配する二人が傍に駆け寄っていた。

 トモエは魔力が際限なく上昇していて、魔力の暴走状態のようだった。


「ま、まさかトモエ、加護が発動したのですか!?」


 ミネルヴァまで心配そうにしているが、決して持ち場を離れないのは流石だな。

 彼女は欠片の進化の事実よりも緊張度が増しているようだ。


 ミネルヴァの言った加護とは【霊天降る樹(ヒアモルキ)】と言うトモエが黄泉津大神から授かった加護のことだ。

 霊天降る樹とは神籬(ヒモロギ)のことで、神が地上に降り立つ聖なる場所を意味する。

 つまりは神がトモエを依代にして降臨しようとしているってことだな。

 どうやら、加護の保持者がピンチになると自動で発動するものらしい。


 ……おいおい、大丈夫なのか?


 人が神をその身に降ろすとか身体に負荷が掛かり過ぎるぞ。いや、その為の加護なのか?


 アッチもコッチも大変な事になってんだけど!が、ここで欠片から目を離す訳にはいかない。


「ミネルヴァ、トモエの所にいってやってくれ。此処は俺とキララで抑える」

「は、はい、お気遣い感謝します」


 俺に礼を言いトモエの場所まで駆けて行くミネルヴァ。

 俺とキララは変化する欠片から目を離さずに話を続ける。


「主、神の力の欠片って進化するものなの?それとも覚醒?」


 それは俺が聴きたい!

 覚醒は力に目覚めること、進化は種としての段階を登ること。どちらに転んでも脅威になり得る。


「どっちか知らんけど、強化されるのは確かだろうな。どれ程か分からんけど気を緩めるなよ」

「うん。でも、今までよりも格違いに強くなるよね?」

「でしょうね。いざとなったら肉体を取り換えることも考えるよ」

「出来るならとっととやっちゃって欲しいんだけど!」

「そう言うなよ。強力過ぎる身体はこの世界じゃ扱いづらいんだぞ」


 キララは気軽に言うけど、強すぎる体は扱いにくいもんだ。神格が強すぎて、どうしても影響を受けてしまう。手加減して肉体を創るのは難しいんよ。

 今の俺の肉体はBランク相当、装備や神魂器の力を借りて無双状態なだけだ。

 今の装備で言えばSランクを上回る強さを持っている。が、肉体を取り換えてしまうと呪いの弱体化が無くなり、軽く神話級の力を発揮してしまうことでしょうね。

 手を振っただけで山を吹き飛ばすなんて冗談じゃないよ。


「あっ、そろそろ終わりそうだよ!」

「形が随分変わっているな。どうやら覚醒ってよりも進化が正解だったか」


 視界を奪う程の光を放っていた欠片が、次第に落ち着いてくる。

 その姿は獣に近く、二足歩行の狼の様な形をしている。それでいて鎧部分が所々に存在し、まるで鎧を着こんだ狼人間のようだ。

 爪は太く長く、牙は獲物を逃さぬように細く曲線を描く。身体中には体毛が生え、足は大きく狼のそれだ。

 纏う気配は一層禍々しく、放つ殺気は比べ物にならない程強大になっている。

 僅かに感じていた神気は、今では完全に神が放つに相応し程にハッキリとしていた。

 目を見張るのはラードーンだろう。メリケンサックだった神魂器は今は両の腕に巻き付く蛇のような形を取っている。独立した思考を持っているのかウネウネと動いている。


「不味いな。どうやら神の神能も使えそうだ!」

「どうするの?このままで行く?」


 正直今のままでは分が悪く、真面にやり合えば勝ち目は薄いだろう。さっきので倒せなかったのは痛かったな!


「来いキララ!こちらも神魂器を使わんと話にならん」

「うん!」


 キララが元気よく返事をして姿を変え神魂解放状態になる。


 うん、忘れているだろうから説明する。

 神魂器には五段階存在する。

 生前の姿を受肉する精霊受肉。今までのキララだね。

 武器化し潜在能力を開放、使用者に上乗せする神魂解放。今のキララだ。

 解放状態の神魂器を受肉させる神魂分霊。パワーアップした精霊受肉だと思ってくれ。

 使用者と神魂分霊を融合させ力を掛け合わせる神魂融合。どこぞの漫画であったね、フュージョン!

 神の御霊にすら収まりきらない力が流出し具現化する神魂流出の五つだ。 


 俺の右手にキララ、左手にレヴァンを握り欠片に対峙する。

 奴は今までには無かった爪と牙で襲い掛かって来た。


「ちっ、動きが段違いに上がってるな!」


 リュルフの身体強化を使い攻撃を躱すのがやっとだ。反撃に出る事が出来ない!

 こうなったらタラレバの【時空回帰・Lv1】をつかおうか。これは過去の分岐点まで遡りやり直しをする為のスキル。

 タラレバは今まで使ってなかったのでレベルが上がっていない。Lv1では数分が限度だろう。使うなら急がなくてはならない!

 だが、このスキルは発動するまでに時間が掛かる。

 どれ程遡るのか?どの分岐点か?を探り出さなくてはいけないからだ。

 勿論、遡る分岐点は欠片が進化する前、俺が奴を滅多打ちにした場面だろう。レヴァンではなく、キララでやっていればそこで終わっていた。明らかに俺の判断ミスだろうな。


 タラレバを使う為、どうにか奴の動きを止めないとならない。そこで、キララの白魔の白世界を発動させ猛吹雪を発生させる。


「す、凄い吹雪、何も見えないよぉ。でも、この雪冷たくないね」

「殿下、お手を。遭難しない様に気を付けて下さい」

「ト、トモエも気を付けて下さい。体調はどうですか?」

「ううぅ」


 なんて呑気なセフィー達の声が聞こえてくる。

 このスキル、仲間と認識している者には影響がない。が、降り積もる雪は実在するため、他の皆も足を取られるかもしれない。しかし、ここで過去へ渡れば問題無かろう!


「行くぞ!【時空か————、いぃ————!」


 スキルを発動させる瞬間、ラードーンが俺目掛けて伸びて来た。コイツ!めっちゃ伸びるじゃんか!

 慌ててキララで弾く。が、次の瞬間には欠片の爪が目の前に迫っていた。

 ちぃ、スキル発動を諦めその場を大きく後退する。

 不味いな、そろそろ【時空回帰・Lv1】の限界時間が来てしまう。

 折角とった距離が一瞬でゼロになる。欠片はキララが居なくなった分、俺に集中できるようになっていた。

 くそっ、これでは時空回帰は使えない。

 俺は何とか欠片の爪に由る連撃をキララで弾いていくが、弾いた傍からラードーンが伸び追撃を仕掛けてくる。地味に厄介な奴だな!


「ガアァアァァァ————————!」

「!」


 何だ!奴が急に吠え出したんだけど?


 ————————————!!!


 気付けば俺はラードーンに巻き付かれ中空へと放り出されていた。


「ガァァ————【百頭蛇(ヘカトン・エ)の悪食(クリプシス)】!」


 しまった!コイツもこの技を使えるのか!?

 女神(おみながみ)流を出す暇もなく、中空で拘束される俺は奴の大技に呑み込まれていく。


 この技は、前回の欠片が最後に使ったもので、その権能は【防御無視】【全吸収】【神気変換】【能力複製】【生命奪取】【食材保管】の6つだ。

 前回、欠片は神魂分霊状態で使ったが、今回は神魂解放状態だ。その分威力は低い筈だが今の俺では防ぎきれないだろう。

 前は女神(おみながみ)流剣術最秘奥【刃沙螺(バサラ)】を打ち込んでいた為に権能が発揮されなかった。だが、今回はそうではない。

 俺の体は悉くラードーンに食い千切られる!


 ………………

 ………………

 ………………あれ?


 ダメージはあるが何ともないぞ?


「何故だぁ————!!!」


 吠える欠片、大きな隙を作っている!


 チャーンス!

 キララを振るい拘束するラードーンを斬りつける。

 切断は出来なくても拘束を緩める事は可能だった。

 直ぐに拘束から抜け出し、神行歩を使い怒りで硬直する欠片に近付き技を放つ。


女神(おみながみ)流剣術、流星裂弾(メテオ・シェル・テア)!」


 あのゼウスにすげぇと言わせた剣術だ。直撃すれば只では済まない。

 剣から放たれるマナの斬弾が軌道上の空間を爆裂させながら突き進む。見ようによっては竜のブレスのようだな。


「ウゥ、ウウウゥガアァァァ————————!」


 吹き飛ばされ倒れた欠片が咆哮を上げながら立ち上がるが、上手く立てずに再び地に伏せる。

 よし、効いている!


 ……それにしても何で俺は無事なんだろうか?


『主、考えるのは後!止めを刺さないとっ!』


 と、そうだった。


女神(おみながみ)流剣術」


 俺は倒れ伏す欠片に素早く近付きキララを振り上げる。


硬断之豪剣(アストライア・ソード)!」


 振り下ろしたキララが欠片を両断する。見事に脳天から股にかけて斬り裂いた。

 真っ白な雪の上に欠片から出た大量の血液が染み込んでいく。


「……やっと終わった」


 ふっ、と息を吐きながら戦闘態勢を解く。


『『危ない!』』

『気を抜くな!』

『間に合わない!』


 キララとレヴァン、そしてリュルフとトキミが俺の中から警告する。

 何だ?と思う暇もなく、背後から伸ばされたラードーンが俺の胸から生えてくる。


「がはっ」


 大量の吐血、貫かれた胸からも洒落にならない血液が飛び散りラードーンが引っ込んでいく。


「くっ、……な、何で生きている!」

『主が殺ったのは分身体だよ!』

『倒れた瞬間に分身体をつくって背後に回り込んだよ』


 全身から力が抜け膝をつく俺にキララとレヴァンが説明してくれる。

 続けてリュルフとトキミも説明に加わる。


『先の攻撃は主が予め放っていた斬撃、後は俺とトキミで防いだが、済まぬ背後の攻撃は防ぎきれなかった』


 ああ、そう言えば斬撃を飛ばしておいたんだった。だが、それだけじゃ防ぎきれない。残りをリュルフとトキミで防いでくれたのか。


『申し訳ありません。本体の動きには気付いていたのですが間に合いませんでした』 


 気付いてなかったのは俺だけかよ。情けないな、主の俺が一番間抜けじゃないか!


『大丈夫、主?』


 レヴァンが心配そうに声を掛けてくれる。


「ぐっ、力が入らない。大分オドを喰われたようだ!」


 ラードーンの持つ【生命奪取】の効果で俺のオドの半分は持っていかれたようだ。

 半分も持ってかれたと言うべきか、半分で済んだと言うべきか。どちらにせよこれまでの様な動きは出来ないぞ。

 早く回復しなくては命取りになる。トキミが回復してくれているが、呪いが邪魔をして回復速度がやたらと遅い!

 くそっ、形勢逆転されてしまった。このままでは奴に喰いつくされかねない。


『主、俺達を出せ!俺達ならあのような小者に遅れは取らん!』

『お兄様、それではキララさんとレヴァンちゃんに失礼ですよ』

『あはははっ、私は大丈夫だよ。リュル兄とトキミ姉には敵わないもん』

『ボクも大丈夫』


 俺の中で会話している神魂器達だがリュルフを出すつもりはない。キララで十分だしこの後を考えると温存しておきたい。

 見せれば対策されかねないからな。現にキララの白魔は対策され欠片には効いてないようだ。


「ふむ、では妾が力を貸してやろう」

「?」


 誰だ?と振り向くとそこにはトモエによく似た女性が立っていた。

 右手に子猫を抱き、身につけている物はトモエの物。黄泉津大神がトモエの身体を使って降臨したようだ。

 まさか彼女本人がトモエに降りるとは思ってもみなかった。


「なっ、黄泉津の姐さん!」

「久しぶりだのベルの小倅」


 ベルとは冥妃ベルセフォネーのことだ。友達らしくよく女子会なんかしていたからな。

 同じ冥府の住神として仲がいいのだ。


 この世界を覆い尽くしても足りない程の神気を感じる。

 モノホンの神様が降臨したんだ、俺や欠片では話にならない程の大きな力の開きがある。


「では、奴の相手は妾が致そう。ヌシはそこでゆっくりと休むが良い」


 哀れ、欠片は黄泉津大神により呆気なく消し飛ばされてしまったのだった。



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