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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
ヴァンチトーレ帝国の脅威
46/66

セフィーとヴィクトリアを連れて

「ぐがっ……き、貴様ぁ…………、貴様からも、あ、……あの男の、力をぉぉ、感じるぞぉ————————!!!」


 ジャックは額に神槍を突き刺したまま力の限りの怒声で天に向かって吠えた。

 ジャックの視線の先には今し方槍を投擲した姿のままでいるミネルヴァの姿。


「ミネルヴァさん!」

「ミ、ミネルヴァ様」


 倒れ伏す二人の女性、キララとトモエが同時に名を呼ぶ。


「所要が有りました故遅くなりました。キララさんにトモエ、遅れて申し訳ありません」

「お気をつけ下さい。其奴は尋常ならざる力の持ち主です」


 トモエが警告する。トモエからすれば頼もしい団長だが、強狂怖で出くわした化け物を彷彿とさせるジャックには危険を感じていた。


「ええ、分かっています。彼は強狂怖であった男と同じ存在だと……。ですが、だからこそここで退く訳にはいきません。力の差は歴然であろうとも、ここで黒騎士を止めます!」


 ミネルヴァはコダユーリオンの黒騎士と面識が有る訳ではなかったが、それでも容姿だけは知っていた。

 既に容姿は禍々しく変貌してはいるが、ミネルヴァには一目で彼が黒騎士だと判断することが出来た。


 ジャックに突き刺さる神槍が不意に消える。次の瞬間には、神槍はミネルヴァの手元に戻ってきていた。

 テルピュネを駆りジャックに迫るミネルヴァの姿を見てキララが勢い良く立ち上がり駈け出す。


 ここに、神の欠片と神魂器二人の壮絶な戦いが幕を開けた。



 一方その頃、ミーレス城の檻の中ではフヅキが戦場を盗み見ていた。


「やっぱ、あの時欠片を優先して消滅させとくべきだったか?まさかエナスの仇敵に乗り移るとは考えなかったからなぁ。でも、アレ、中身が空だよなあ?今や完全に独立してるけど、元は只の傀儡だろ?アイツ、捕り憑けるなら何でもアリかよ」


 助けに行くか?それとも欠片の相手はキララとミネルヴァに任せても良いだろうか?

 少しキツイがやってやれなくもない相手だと俺は見ているだけど。

 相手は神話級を超えると思われるunknownだが、良く観察しているとSランクの天災級に足留めされたり、キララの攻撃で大きなダメージを負ったりと至らない場面が目立つ。

 恐らくは俺が戦った欠片よりも力が弱いのだろう、格下相手に苦戦している。

 だったら、成長を促す意味で見守った方が良いのか?それとも直ぐにでも助けに行った方が良いのか?


 う~ん。


 気になることは他にもある。魔法で産み落とされた子猫、……残念ながら命は宿っていない。

 命を産み出せるのは女性の特権だろうが、神なら男神でも可能だ。現に俺が何人もの命を産み出している。

 ペティ・シオンを初め、ペティリア、ペティレア、ペティシア、ペティネア達だ。勿論、レヴァンもそうだと言えるだろう。彼女達は冥界を管理してくれる頼もしい存在に成長してくれた。

 でだ、あの子猫は俺を含め三柱の上位神の力で形創られている。その為、内包する力がそんじょそこらの神様よりも上だったりする。下手をすれば自力で命を誕生させそうな程だ。

 それ程の力を欠片が利用しようものなら大変なことになるよな。


「やっぱ、回収だけはした方が良いのかな?」


 いや、トモエが気にしてたからな。保護と言った方がいいか。


「んじゃまぁ、この居心地の良い牢屋からもそろそろ出るとしますかね」

「でしたら私達も連れていって下さいね」


 ん?


「置いていったらダメですからね」

「……セフィーさんや、なんで居んの?ヴィクトリアまで居んじゃん」


 またしても、いつの間にかセフィーと彼女が抱える燿子、それに護衛のヴィクトリアが俺の背後にちょこんと座っていた。

 何で俺は彼女達の気配はつかめないのかねぇ?


「セフィー殿下が来たいと仰いましたので」

「来たかったので」

「キュッ」

「……」


 ダメだこの国!


「牢屋にポンポンと姫さん連れ込む奴がどこにいんだよ」

「牢屋と言えど、この場には犯罪者が居りませんので。別に構わないんじゃないかしら?」


 もしかしてヴィクトリアってばああ言えばこう言うタイプなのか?


「連れてけったって、戦場に姫さんを連れてく訳にはいかんだろ!」

「殿下の事は私がお護りしますわ」

「護るたって」


《種族:人

 名前:ヴィクトリア・ティイ・スリアンヴォス 加護:翼 ランク:A 

 称号:近衛騎士団長(+防衛指揮)

 称号Ⅱ:王家の巨盾(+鉄壁)

 魔術適性:大気、大地、回復、特殊

 信仰魔法:勝利の女神ニケ

 限界(リミット)スキル:【虚無隠伏(ミエヌモノ)

 固有(ユニーク)スキル:【鉄心石腸(フトキモノ)

 上級スキル:【剣之才】【槍之才】【防衛強化・大】

 スキル:【剣術】【槍術】【防衛術】【捕縛術】【身体強化】【魔力多重障壁】【斥候】【索敵】【尋問】》


 うん、防衛に特化したスキル群だなぁ。加護の権能も、どちらかと言えば防衛に向いていると言えなくもない。


 【翼】————、①背に光の翼を創り出し飛行が可能。②翼から羽を撒き散らし幻影を創り出す。③短距離空間転移。④回復の羽。


 ふむ、気配もなく俺の背後を取れるのは、加護の転移と限界に達した虚無のスキルの合わせ技だろうな。

 これだけの防衛能力に長けたスキルを持っているなら連れ出しても大丈夫だろうか?


 いやいや、相手はあのテュポーンの欠片だ。いくら何でも連れていくのは不味いだろう。


「いや、しかしだなぁ」

「大丈夫です、私だって凄いんですからっ!」


 凄いって何が?


《種族:人

 名前:プロセルピナ・コレー・インペラートル

 加護:春の地母神 ランク:? 

 称号:神に愛されし者(+奇跡)

 称号Ⅱ:恵みを齎す者(+恵)

 称号Ⅲ:未来の冥妃(+神化)

 称号Ⅳ:未来のプルートの嫁(+絶対力)

 魔術適性:回復、特殊、生活

 信仰魔法:冥妃ベルセフォネー

 突破(ブレークスルー)スキル:【真理】

 限界(リミット)スキル:【極運】

 固有(ユニーク)スキル:【一陽来復(ハルウララ)

 上級スキル:【逆転】

 スキル:【好転】【直感】》


 ………………?


 え!なにこれ?


 ………………っておいっ!俺の名前を称号に入れてんじゃないよ!既に俺の嫁が確約されとるやないかぁ————————!!!しかも重複しとるやないか————!!!


 ふぅふぅ、まてまて、冷静に考えよう。

 まずは加護だ。春の地母神って、神様やない?

 身体能力自体は子供のソレだろうが、ランクが分からん。俺でも見て取れないってどうなってんの?


 スキルの数こそ少ないがとんでもないのばっかやんか!

 称号からのスキル【奇跡】【恵】はこの際良しとしよう。しかしだなぁ、【神化】と【絶対力】は規格外すぎるやろがい!


 【極運】は【強運】の上位互換【豪運】の更に上のスキルだし、【一陽来復】は春の訪れを意味し、悪い事の後には良い事が有るよってスキルだ。【逆転】や【好転】もあるし幸運に特化したスキルを多く保有している。

 更にだ、初めて見たが、彼女は限界を突破したスキルを保有している。

 【真理】————、正当な真実を得るスキル。俺の【自動知(ウィズダム・)識収集(コレクション)】を軽く上回るスキルだ。


 前に俺の【名前破壊(ネーム・ブレイカー)】を言い当てたのはこのスキルか!


 どうなってんだ?称号に未来の妻だなんて、ゼウス……、いや、【絶対力】が備わってる時点でハデスの仕業なのは確定か?


「さあ、急ぎましょう。こうしている間にも誰かが命を落としているかもしれません!」

「そういう事でよろしくお願いするわ。大丈夫、セフィー殿下が一緒なら良い方向に事が進む筈だから」

「気楽に言ってくれる。この娘の能力は絶対に隠さにゃならんだろうに。敵方に知られれば攫われることだって考えられるんだぞ」


 これだけの幸運スキルを傍に置いておけばそのおこぼれが凄いだろうからな。

 国単位で争奪戦が勃発しても可笑しくはない。


「それは無いと思うわよ。だって、殿下が不幸に感じればそれは極運に反するもの」


 う、それもそうかも知れないが……。

 攫うにしてもセフィーに一切の不幸を感じさせる訳にはいかないだろうし、それに、攫われた(悪い事の)後には良い事が起きると【一陽来復】で約束されている。

 もしかしてセフィー、彼女は最強なんじゃなかろうか?


「…………分かったよ。連れてけば良いんだろ、連れてけば!」


 正直気乗りしないが致し方ないか。


「んじゃ門を開くからなっ。とっとと移動してしまおう」


 仕方がないから連れていこう。空間転移……、とは微妙に違うが、手っ取り早く転移しよう。

 ……え、俺にそんなスキルは無かったって?

 それが出来ちゃうんだな。リミットスキル【亜空間】を利用すると可能だったりするんだ。一度亜空に渡り、そこから任意の場所へ出ればいいだけの話だったりする。

 ワンクッション置くことになるから隙が大きく戦闘向けではないが、見知った場所なら何処へでもいけるのだよ。更に俺には無数のカメラがあるから既にこの大陸の地理は網羅している。

 因みにこの亜空間は、冥府やペティ・シオンとは全く関係ない空間で、俺の固有の亜空間です。


「わぁ~、転移ですか!?ミネルヴァやヴィクトリア以外では初めてですね」

「この場から戦場まで一足で跳べるの?私の転移では精々が数十mが限界なのに……、凄いわね」

「アンタのはどちらかと言えば戦闘向きだろ?俺のは戦闘時には使いづらいモノなんだよ」

「それでも凄いわよ!」


 何て話しながら二人と一匹が俺にくっついて来る。いや、門を潜るだけだからくっつく必要はないんだが?まっ、いっか!


 ってなことで、俺は腕に感じる柔らかな感触を楽しみつつ亜空への門を潜るのだった。


 俺達は、続けて亜空から出る為の門を潜る。

 そこで目にしたものは夥しい数の遺体と、今も激しく争い合うミネルヴァ達の姿だった。

 実際には戦場からは可成り離れた位置に出たのだが、この場所まで戦闘の余波が伝わってくる。


 俺は素早く戦場一帯を見渡し現状を把握する。

 主にジャックとの戦闘に参加しているのはミネルヴァとキララ、それと二体のギルティアラだ。

 少し離れた位置にトモエもいるが、流石に手を出せない様子だ。


「4対1でやっとのこと互角に持ち込んでいるな。肝心な子猫は……、トモエが抱えているか」

「な、……何ですかあの黒い人は……?凄まじく邪悪で悍ましい存在……。アレは神様なんですか?」


 どこか不安気に話すセフィーだが、どことなく余裕が残されている気がする。怖くはないのだろうか?


「ああ、アレは神の力の欠片を宿した只の鎧だ。中身はないよ。故に反発し合う意識の磨れがなく、ネーム・ブレイカーで追い出すのは難しそうだな」


 もし黒騎士が意識の有る人物だった場合、どうしたって黒騎士と欠片との意識の摩擦が生まれる。

 マーズの時はその摩擦を利用して欠片を剥がしたが、今回は無理そうだ。


「セフィー殿下、戦いの余波が此方にまで及んでおります、私から離れないで下さい。フヅキ殿、ミネルヴァ達はアレに勝てるのかしら?」

「可能性は十分にあると思っている。が、一手でも間違えれば危ういな。それに時間が経つにつれて欠片の力が増している気がする。早期に決着を付けないと力の差が肥大化することになるだろうな」

「あの魔物達はミネルヴァ達を助けている様に見えるけど?……味方なの?」

「ああ、元はこの国の貴族とその護衛だぞ」


 あの二体は過去、クロノスの怒りを買った為に魔物に変えられた存在だ。フィーノを攫った貴族と護衛だな。 


「貴族?この国の?」

「そ、今は頼もしい味方だな」


 二体のギルティアラは上手くキララとミネルヴァの隙を埋めてくれているようだった。


「これはそろそろ許してやってもいいんじゃね?」


 何だか見てたら可哀想に思えてきた。この戦いが終わったらクロノスと相談して元に戻してやって貰おう。


 キララは上手く冷気を使って相手の行動力を削いでいるようだ。

 ミネルヴァはその隙に攻撃を仕掛けている。

 二人とも俺のが近くに来ていることは感じ取っている筈だが、助けを求める事はしない。二人とも誇り高き戦士だ。己の戦いを人に委ねる事はしないだろう。

 では、俺は何しに来たのか?それは、子猫の回収、もとい、保護だ。

 今はトモエと合流しよう。


「もう少し近付こう、トモエも心配だしな。セフィー、俺から離れるなよ」

「はい、分かりました!決して離れたりはしません!」


 ニコニコと答えるセフィー。


「私はミネルヴァの援護に向かった方が良いのかしら……?」

「近衛が王族から離れてどうするよ。そのままセフィーを護ってたらいいんじゃね?」


 ミネルヴァを心配そうに見つめるヴィクトリアに答える。

 キララやミネルヴァは、俺の神魂器故に死ぬことがない。逆に命を落とす可能性を孕む彼女が参加すると俺も出ないといけなくなる。そうなるとセフィーの護りが居なくなってしまうからな。


「セフィー、いざとなったら指輪の力を使って母親の元にでも転移するんだぞ!」

「うぅ、分かりました。私が邪魔をする訳にはいきませんから」


 どこか残念そうに言うが、こればかりは譲る訳にはいかないからな。

 さて、トモエの元まで来たぞ。


「大丈夫かトモエ?」


 俺が声を掛けると、一瞬ビクッとして振り返るトモエ。


「フヅキさん!どうして此処へ?なっ、プロセルピナ殿下、ヴィクトリア様まで……」

「ああ、ちょっとその子が気になってね」


 俺が子猫を指さすとトモエが複雑そうな顔をする。


「何故フヅキさんがこの子のことをご存じで?……この子には命は宿らなかったようです。ですがせめて埋葬だけでもしてやりたいと思っております」

「トモエ、その子猫、可成りの力が宿っているんだ。埋葬は恐らく無理だろう。厳重な封印が必要になるんだ」


 存在そのものが人知を超えた爆弾のようなものだ。


「……ですが、いえ、……そうですか」


 悔しそうな表情をするトモエには申し訳なく思うが、この子猫を放置する訳にはいかない。下手すればこの惑星ごと吹き飛びかねないからな。


 子猫を見詰めるトモエ。

 力だけを封印することは今の俺には出来ない。逆に存在そのもの封印なら簡単だ。亜空間に封印するだけだからだ。

 本来の俺、プルートならこの子に命を宿らせることは可能だ。それどころか力の使い方をレクチャーすることも出来る。が、今のフヅキには出来ない。

 時間を掛け呪いを解き、力を取り戻した時にでも亜空から取り出し命を宿らせるのがベストだと考えている。


 大切な我が子の様に子猫を抱きしめるトモエを見ると此方も辛い。

 断腸の想いで子猫を差し出すトモエに、礼を言いながら受け取ろうとした瞬間。


「ききき貴様ぁわ————!!!」


 !!!


 ヴィクトリアの【虚無隠伏(ミエヌモノ)】を見破り、二人と二体を掻い潜って来た欠片に見つかった!




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