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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
強狂怖大森林
3/66

ここは何処?私は誰?これは何?

 途方に暮れる俺、気付は森の中!訳が分からない。俺、何で森にいんの?

 最新の記憶では、日本の自宅でダラダラとテレビを見ながら茶を啜っていたのに。40を過ぎ、たまの休日を満喫して何が悪いんだ!

 ふと手を見れば、肌艶素晴らしく20代のソレだ!腰の痛みもないし視力も上がっている。嘘だろ!若返ってる⁉

 あり得ないことだ。誰もが夢見る若返りが、他でもない俺に起きている。理由は深く考えないようにしよう。記憶をたどっても分からないなら無駄な行為だ。

 そこでふと気付いた。何故だか自分の名前だけが思い出せない!俺って誰だっけ?名前を思い出そうとすると、その部分だけ記憶を抉り取ったかのようにポッカリと穴が空いている。


 ぐ~、と鳴るお腹、腹減ったな。手持ちは何も無い!

 何か森の恵みでもないかと視線を巡らすが食していいものなのか判断に迷う物ばかりだ。

 少し探索してみよう。最低でも水場は見つけておきたいしな。

 この森、緑豊かではあるが、至る所に人が進めるだけの大きな道が出来ている。

 獣道だろうか?いや、それにしては幅が広いな。まさかとは思うが巨大生物なんていないよな。熊みたいな、出会ったらヤバイ何かに遭遇したらどうしようもない。

 念の為に棒切れでも持っておくか。杖替わりにもなるしな。

 道の脇に手頃な枝を見つけ手に取る。


「はははっ、君はたった今からレーヴァテイン(笑)と名乗るがよい!」


 なんてアホなことを一人寂しく言ってみる。く~、虚しい!

 そんなこんなでボチボチ歩き出す俺!

 ここ、確実に地球じゃないな。奇抜すぎる!

 赤、青、黄色と目まぐるしく色を変える果実、陽気に歌って踊るキノコ、伸び縮みしながら話しかけてくる野草、服に付いたホコリをそっと取ってくれる立木。終いには「腹が減った」とボヤいたら『私を食べて!』と突貫してくる果実や木の実の群!なんでやねん!何気に花が慰めてくれるし、『よしよし、辛かったねっ』って!怖いわっ!


 なんて珍妙な出来事は置いておいて、さて、この奇妙な果実、食べてもいいのかな?一か八かで食ってみるか!いや、もう少し様子を見てからにしよう。

 しかし、結構な数の果物や木の実が突っ込んできたな。どうしよう、持ち歩けない数だぞ。

 俺はこの森で気が付いた時には手ぶらで何も持っていなかった。リュックなんかがあれば持ち歩けたんだが、無い物はしょうがない。

 手持ちは何も無いが、勿論服は着用している。黒のジャケット、赤いシャツ、黒のジーパンとよく俺が着ていた服だ。ジャケットとズボンには当たり前のようにポケットがある。詰めれるだけ詰めていくか。

 ズボンのポッケに木の実を入れ、ジャケットの内ポケに果実を出来るだけ多く詰め込んでいく。


「入らない分は、悪いけどここに置いていこう。折角食べられに来てくれなのに悪いな」


 何を思ったのかそんなことを口にしていた。


『気にしないで~』


 …………。


 さて、先に進もう。なにか空耳が聞こえた気がするけど気にしたら負けな気がする。


 こうして再び歩き出した俺、しばらく歩くと見晴らしのいい場所に出た。


「おっ、湖だ!」


 念願の水場だ。浮かぶ波紋は時折パシャリと魚が跳ねる。

湖底がクッキリと見通せる綺麗な湖。大きさも大したもので一周歩くなら一時間はかかるのではなかろうか?

 風に揺れる水面は、陽の光をキラキラと眩しく反射させ芸術的に美しい。スマホが有れば写真を撮っておきたいところだ。残念ながら持ってはいないんだが。ざんねん!


 って、水だ!喉乾いた!水分補給だ!

 でも、流石に直で飲むには抵抗があるな。煮沸殺菌はしたい。が、肝心の容器がない。どうしたものかな?まっ、背に腹は代えられないか。飲んじゃえ!


 両手で掬い、口内に流し込むと驚く程美味く、すんなりと体に吸収されるのが分かる!ただの湖水の筈だが、故郷の水より美味しい。カルキが入ってないからか?

 殺菌処理もしないで飲んだが、今のところお腹を壊してはいない。この際安全なものとしてしまおう。

 まあいいか、これでこの場を拠点にして森を探索するのも一つの手だと思う。もっとも、森の生き物達の憩いの場でもあるだろうから決して安全とは言えないけどな。


 さて、飲料水の問題が解決したら次は寝床だ。安全で雨風しのげる場所が無いか探さなければならない。洞窟があると有難いが、都合良く清潔で、なにも住処としていない空の洞窟なんて在るわけがないしな。難しいかもしれない。

 え?贅沢?いやいや、今まで清潔でトイレも風呂も完備された家で暮らしていたんだ。細菌やバクテリア等の抵抗力は低いと思う。油断をすれば即アウトじゃなかろうか。

 まだ焦る必要はないか?陽は登って間もないだろう。先ずは寝床より飯を探そう。

 ……、ここ湖!魚!食える!あまりに透明度の高い湖水は、水中の様子をハッキリと観察することが出来る程だ。居る居る、気持ちよさそうにスイスイと泳ぐ魚達が!

 これだけコッチから見えているんだ、アッチから見えていてもおかしくはない。どうやって捕まえようか。釣り道具ない、銛もない、網なんてあったら嬉しい。道具がないなら素手しかないか。素潜りしてとるしかない。ええい、(まま)よ!


 水面を覗けば映し出されるのは俺の顔、やっぱり若返っている。不思議なことに20代の頃の顔だな。ラッキーと思っておこう。

 そんなことよりも魚を捕まえよっ!


「キョロキョロ、よし、誰もいないな」


 ちょっと恥ずかしいから周りを見渡してしまう。オッケー、急いで服を脱ぐ。

 脱いだ服の上に先ほど拾ったレーヴァテイン(笑)を重石代わりに置いておく。

 いざ、入水!


「ひゃー、冷えっ冷えっ!」


 水はひんやりと冷たく、底は結構深い、水深は軽く5mを超えているだろう。

 湖底に到着すると、辺りには石や岩がゴロゴロと敷き詰められている。岩の間には小魚や海老等が身を潜めているようだ。


 コツッ


 ん?


 コツッ、コツッ、ドッ、ドスッ、ドスッ!


 なんや?

 ……、ブハァー、ゴボゴボッ!


 ぬぉ―――、()えぇ、魚が突貫してくるぅ―――!

 ダツのような口の尖った50㎝から1mを超える魚の群れが俺の身体に突進してくるんやけど―!

 群れはパッと見30匹はいそうだ。ダツは人の身体に突き刺さるが、このモドキは俺の身体に刺さることはなさそうだ。そこは安心、でも怖い!

 ダツよりも速く、鋭く、鋭角な動きを見せるダツモドキ、ぶつかった所は赤くもなっていないから問題ないかな。


 あまりに鬱陶しくて、足元に転がる拳大の綺麗な石を持ち上げ、ダツモドキの進路にかざす。


 !!!

 ノー、んなアホなぁ~!


 俺のかざした石に、ダツモドキの先端が突き刺さりビチビチッともがいとる!今も尚、俺に突貫し続けるダツモドキを見ながら冷汗が湖水に溶け込んでいく。

 石に刺さったダツモドキを持ちながら、急いで陸に上がる為に浮上する。その間もドスッだのコツッだのと突撃を繰り返すダツモドキ。流石に鬱陶しくなり、水面に顔を出したところで、突貫して来た1m級をパシッと鷲掴みにしてヒョイっと陸地に放り投げる。

 そのまま陸に上がり、石突きダツモドキも放り投げ異世界怖い、とへたり込み考えに耽ってしまう。


 この魚は明らかに地球の生物とは違う。百歩譲って速度は良しとして、あれ程の貫通力を持った魚はいない筈だ。それに、かなりの速度で直角よりも鋭い方向転換を繰り返し突貫していた。まるで稲妻のようにだ。詳しくはないが、そんな魚は地球にはいない筈。

 この森、っていうか、この世界にはより恐ろしい生物が多く存在しているのだろうか?


 暫くの間、考え事をしていと、身体も乾いてくる。何時までも裸は宜しくない。服を着よう。

 俺は脱ぎ捨てた衣服を拾い上げようとする。

 そして気付いた。

 雑に脱ぎ捨てた筈の服は丁寧に畳まれ、その上には煌びやかに宝石で彩られた、手の平サイズの小箱が置かれていることに。


「何だコレ?誰が……、誰かいるのかっ!」


 辺りを見渡しても人の気配はない。誰が置いたんだ?もしくは例の不思議な植物達がやったのだろうか?

 ヒョイッと小箱を掴み上げると、ソレが何なのか、また使い方が頭の中に流れ込んできた。


『《亜空修繕箱》、内部は亜空間になっており、大きさに関わらず物を収容出来る。中の物は時間経過によって修繕される。但し、繕える物は無機物に限られる』


「おうぅ、なんじゃこりゃ。中の物まで分かるぞ」


『《燭台切光忠》《サバイバルナイフ》《樵斧》《ハンマー》《和弓》《矢筒(木矢×20、鉄矢×20)《無限マッチ》《ロープ》《玉龍鬣(ぎょくりゅうりょう)の外套》《黒蝶の衣服》《タラリアブーツ》《神蝶絹の反物》《魔除けテント》《白金貨×1、白銀貨×5、金貨×30、銀貨×50、銅貨×100、賤貨×300》《金塊1㎏×10》《晶洞(ジオード)3種》《潤泉葫蘆(じゅんせんころ)》《食器セット》《調理器具セット》《調味料セット》』


「って、都合が良すぎてかえってこわいわっ!」


 何だよコレはっ!スゲー便利グッズが入ってるじゃないか。服の上に置いてあったことからコレは俺にくれたのだろうか。しかし、誰が置いてったよ。メッセージもなくこんな所に置いてかれたら怖いじゃないか。使えるかっ!おいおい、いやいや、しかし、でも、まあ、まてよ。こんな何処かも知れない未知の土地で何の道具も無く生き延びるのは無理があるな。やっぱり頂いていこうかな。いや、しかしなぁ。……、ええい、儘よ、貰っておけ。


 こうして不思議な小箱ちゃんをゲットした俺は、取り敢えず服を着るのであった。


 さて、良いものも手に入ったことだし魚でも食うか。

 さっきの小箱ちゃんからサバイバルナイフと無限マッチ、調理器具セットの中の包丁とまな板を取り出す。小箱ちゃんを手に持ちイメージすると取り出せた。同時に森の恵みの果実や木の実を小箱ちゃんに収納、どこぞの四次元に繋がるポケットのように吸い込まれていった。


 おうっ、《生命の果実》《魔力の果実》《魅惑の果実》《力の実》《運の実》等々…………、なんて名前がついていた。このまま中に入れておこう。腐ったりしないことを祈るはかりです。


 さて、拾ってきた枝に無限マッチで火をつける。包丁でぶった切った石付きダツモドキを、サバイバルナイフで尖らせた小枝にぶっ刺し、調味料セットから取り出した塩をふりかけ火の傍にさしておく。

 焼けるまで時間がかかるだろうから、小箱ちゃんの中の物を一通り拝ませてもらおう。


 日本刀、《燭台切光忠》を取り出し鞘から引き抜く。

 光忠は、織田信長から豊臣秀吉に渡り、秀吉から伊達政宗に下賜され、徳川家に贈られた打刀だ。大震災で被災、現在焼身が存在している。何でこの世界にあるんだ?

 銘は無銘、号は燭台切、作刀者は光忠、刃長は磨上げ(すりあげ)され二尺二寸二厘(約67cm)に、三所物も揃っている。美しく反る曲線、光を反射する肌は瑞々しく女性のソレを思い浮かべる。正に想像以上の美しさだ。

 何時までも眺めていたいが仕方がない。名残惜しいが光忠を小箱ちゃんに仕舞い次をとりだす。


 ナイフ、斧、ハンマー、弓矢、ロープは極々普通の品物だ。次に外套、衣服、ブーツだ。

 玉龍鬣(ぎょくりゅうりょう)の外套は、見た目は地味な濃い茶色の外套だ。滑らかな手触りで柔らかい。黒蝶の衣服は、黒一色の極上のシャツとズボン。タラリアブーツのタラリアとは、伝令神ヘルメスの持つ神器で、羽の付いた空飛ぶサンダルだった筈だけど、ブーツなんだね。


 次、神蝶絹の反物は煌びやかだけどよく分からんな。かなり高価な品物だとは思う。

 次、魔除けテントは数人が入れるテントがそのまま小箱ちゃんに入っていた。今更だがどうやって入っていたんだ?


 後はお金と晶洞(ジオード)だな。

 こちらのお金の価値は全然分からんから今は置いておこう。

 晶洞は、水晶や瑠璃なんかが石の内側で結晶が晶出したものだな。外身はただの石のようだ。

 潤泉葫蘆(じゅんせんころ)、葫蘆とは瓢箪のことだ。潤で泉ってことは水が湧くのか?

 直ぐに栓を抜き傾けると綺麗な水が流れ出した。

 やったー、飲料水だ!少し口に含むと正に真水だ。うまい!ついついゴクゴクと飲んでしまう。やはりなくならないな。これが一番嬉しいかもしれない。


 次は食器、調理器具、調味料のセットだな。

 食器セットには多種多様な皿にナイフ、フォーク、スプーンに箸まで入っている。

 調理器具は鍋や薬缶、フライパンや包丁各種等々、台所に有るもの全般が揃っている。更に何と窯まで入っていた。驚きだ。

 調味料には、塩、砂糖、スパイス類、油にお酢やみりん、バターやマーガリンなんかも入っている。小麦粉も大量に入っている。


 これは至れり尽くせり状態じゃなかろうか?これらがあればこの未知の世界でも生きてゆける気がするな。


 さて、そろそろ魚も焼けたな、食べよう。

 いい感じに焼けたダツモドキにかぶりつく。なにこれ、めっちゃ美味いじゃん!もう少しとっときゃよかったかな。もう一匹の1m級は今も元気にピチピチ跳ね回っている。本当に魚か?と、疑いたくなる。


 ふぅ、食った食った。この世界で初めての食事は極上の美味しさだった。




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